小さな観覧車から見える風景
小さな遊園地の
小さな観覧車に
乗って見渡す家々は
どれもこれも小さくて
さらに小さな車や人の姿が
どんどん小さくなっていく
小さな観覧車がぐいぐいと
最高地点へと昇っていくに従い
人の姿はすっかり
見えなくなっていった
小さな車はゴマ粒になり
黒い点になり
点と点が重なっては
離れていくのが
あの辺りが
僕の家だろうかと
北西のあたりを見つめるが
どれもこれも
似たような形の家ばかり
ビルやマンションが
背の高い雑草の様ににゅきにゅきと
伸びている駅前の光景は
10年前と比べてだいぶ
変貌を遂げてきたようだ
醜さも発展の一部なのだ
見知らぬ人たちの営みの
集合体としての街の姿
機能性など高い場所から
見ても分からない
狭っくるしい場所に
肩身を寄せ合い
さらに細々と固まって
何をそこまでして
頑張って一所に集まって
生活していかなければ
いけないのだろうか
もっとのびのびと
生きていっても良いような
ものなのに、、
人間とは難儀な生き物だなあ
街はゆっくり
小さくなっていき
そうしてやがて
またゆっくりと元のサイズに
戻ってきた
見慣れた街の姿
僕はまたこの街の一部に戻ってきた
そうして誰かが
また観覧車に乗り込み
小さくなっていく
街を見下ろすのだ
そこには僕も含まれている
他の大多数と変わり映えの
ない誰でもない僕が
この街のどこかにいる
君には探し出せるかな?
僕はここにいるよ?
君には見えるかな?
僕はここにいるんだよ?