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Photo by
haruka460
夕立ちの喜び
青かった空が灰の雲に覆われた
どこからともなく流れてきた灰の雲が
ゴロゴロと低い唸り声をあげていた
重たいものを転がしたような音が聞こえてきた
雷の音だ
生温い風と埃っぽい匂い
あたりに漂い出した雨の気配
ポツリと一粒
頬にあたり濡れた
そうしてまた一粒
ポツポツリと降り出した
たまには願ってみるものだなとしみじみと思う
傘の柄を握りしめている手に伝わるは
球体状の感触
雨粒の質感
待ちに待った雨の喜びだ
さっきまでのジリジリ感が
嘘だったかのように
いまや涼やかな居心地の良さ
傘を打つ雨粒のリズミカルな
メロディーに合わせて
踏み出す右に左に
ホップステップルンタッタ
たまには願ってみるものだなとしみじみと思う
いくつもの雨粒が傘のヘリから
滴っていくのを見るのが大好きなんだ
濡れたアスファルトのあちこちに
生まれたばかりの水溜り
長靴を履いていたら怖いものはなにもない
バシャバシャと水飛沫を
あげては歩く喜びの行進
熱せられ渇ききっていた体が
雨に冷やされて潤されていく
願ったから叶った夢のような夕立ち
これを喜ばずにいられようか
傘を打つ雨音にそっくり全身すっぽりと
包み込まれて心は贅沢な気持ち
聞き入る柔らかい雨の音色
僕の体が雨粒一粒
余すことなく求めているのがわかる