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Photo by
evekabui
雨の音がする
雨の音がする
闇の向こう
夜が濡れる音がする
静かにでも騒がしく
乱れる事なく淡々と
街を濡らしていく
雨の音がする
いつから降り出したのか分からないし
いつまで降り続くのかも分からない
明日には止むかもしれないし
七日七晩降り続くかもしれない
そんなこと言ったらキリがない
雨粒を数えたってキリがないのと一緒だ
今時点で分かっているのは
気づいた時には雨が降っていたという事
そうして当たり前のように
いつもの様に窓には雨粒が張り付き
街灯の灯りを受けては
キラキラと輝いていたという事
通りに停められた車や自転車は
すっかり濡れそぼっていて
雨粒を滴らせていた
車が走れば濡れた路面を擦る音がして
雨粒を散らす音もする
歩く人の姿は見えないが濡れた野良犬が一匹
ぺたぺたと通りを横切っていく
僕の部屋の中もびしょ濡れだ
壁や天井なんて仕切りは
雨粒にはあってないようなもの
染み込み染み出し濡れて満たされて
取り囲む全てがザアザアザアと
音を立てて濡れていた
透明な雨粒が僕をしっとりと濡らしていく
鏡があればそこに映る僕は
もしかしたらさっき見ていた
濡れた犬の姿にそっくりかもしれない
濡れる音
静かに騒がしく
街を濡らしていく
ありとあらゆるものが濡れていく
横たわればきっと
僕の夢もまた雨の気配を
感じられるかもしれない
布団の中に潜っても
雨音は聞こえるし
枕に頭を預ければ
直接脳みそに雨粒が
叩きつけられるし
吸っては吐いて
僕は濡れていく
雨の夢を見る
傘を持っていたって家に居たって
雨は構わず打ちつけてくる
ならばいっそ濡れるに
任せていた方が気が楽だというもの
心から雨が降る事を受け入れれば
濡れる事はさほど嫌なものじゃない
むしろ清々しくあると言うもの
雨音に身を委ねる様に僕は横になる
目を閉じる
濡れる夜を感じる
夜の深まりと共に
今日の雨は
雨足が強まっていく様な
そんな気配が感じられる