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pasteltime
感情任せに降りしきる雨
音も数も猛烈で叩きつける様に
降りしきる透明な球体
東海地方の空を覆った線状降水帯
もはや凶器の類いとしか思えない水の塊
その凶暴さ冷酷さ
普段の穏やかな雨降りの様子とは
打って変わって今日の雨は感情任せに
投げつけられている石つぶてかの様だった
破裂音と共に弾けて中身が撒き散らされた
雨の粒はその圧倒的な物量でもって
瞬く間に流れを形作った
アスファルトに出来た雨水の流れからは
優しさなんて感じられない
処理しきれない雨水が溜まりに溜まり溢れ返り
カタカタカタカタと音を立てて
マンホールの蓋を下から押し上げ踊らせていた
風もびょーびょーと雨粒と絡み合っては
傘を持って歩く人に体当たりをかまして
傘の形を変えてしまっていた
もはや防ぎようの無い絶望感無力感
逃げようもなく
争いようもなく
なすすべもなく
すべてが濡れていく
すべてが流されていく
すべてが飲み込まれていく
車のワイパーも右に左にかいてもかいても
一瞬も静まることの無い
雨粒の猛威にヘトヘトのご様子
あぁいつ止むともしれない嵐の唸り声
昨日までの穏やかな景色が嘘かのように
降りしきる雨粒を僕は
見ている事しか出来ない
何も出来ない僕は
ただただ逃げ惑い隠れ潜む
小さな生き物として嵐が過ぎ去るのを
ただただ祈るしか術がなかったのだ