
Photo by
bnobita22
小さな光と羽虫と僕
光を求めてぱちぱちとガラスに向かって
ぶつかっていく羽虫の名前を僕は知らない
電球のかさの上には何年も掃除を
サボったがゆえのつけが2センチの厚さを
伴って築かれていた
小さな部屋を照らすたったひとつの電球が
僕の生活に影を落としていた
小さなテーブルの上
並べられた白い皿の中
覗き込めば僕の姿形をした影が
盛り付けられている
それを僕はスプーンを使って
すくい取り口に運ぶ
味はしない
腹の足しにもならない
ただただ虚しい作業の一つだ
自分の影を生きる糧にしてる
奴なんて僕以外に聞いた事もないが
生きていく為には仕方ないのだから
どうしようもない
光を求めて飛び回る羽虫が
ぱちばちと拍手をしているかの
ように僕の頭の上で騒がしい
今は虚しくともいつかは報われるかもしれない
羽虫は諦めない
絶えずガラスにぶつかっていく
電球から発せられる光を求めて一生懸命なのだ
僕は彼のように命を燃やして生きてはいない
彼のように虚しくとも諦めずに
立ち向かっていけば今よりも多少は気持ちが
晴れやかになるのだろうか
自らの影もまた味わい深い風味を醸し出して
惹きつけられる何かをミイダセラレルダロウカ
羽虫は諦めない
光を求めて飛び続けている
僕の頭の上でぱちぱちと拍手を
するかのように生きる喜びを
僕に気づかせるかのように羽虫は飛び続けている