人生初の胃カメラ大腸検査
気づいたら検査が終わっていた
麻酔が効く前の記憶は
人生で初めて履いたオムツパンツと
お尻のあたりに穴の空いてズボンを履いた事
診察着に着替えた後に乗せられたベッドの上
クリーム色の天井と眩しいくらいのライトの灯り
14時の記憶
オルゴール調の曲が静かに流れていた
胃の検査と大腸検査
診察室に運ばれて
何やら器具を口に入れられて
鼻で呼吸をしてくださいと
言われたところまでは覚えているが
そこからはポロっと記憶が抜け落ちている
記憶が抜け落ちる前の一瞬
視界がゆらゆらと揺らぐ様な感覚だけは
なんとなくそんなものがあった気がするが
その後に何があったのかと言う感覚的な
片鱗が身体のどこを探しても
見つからなかったのは不思議だった
ふと目が覚めたら看護師から声をかけられた
検査が終わった事と歩けるかと問われた
ふらふらする頭でどうにか立ち上がり
ゆらゆら歩きながら更衣室まで行き
着替えて待合室で待機
検査の結果を待つ間ぼぉーっとしていた
頭の中で何かしらを考えようにも何もまとまらず
眠いのかゆらゆらしているのかよく分からない
感覚がむしろ心地よかったりして、、
しばらくぼんやりとする頭で待合室のテレビに
目を向けていた
米農家に殺到する米を売ってくれと
言う人からの電話のニュースが流れていた
、、、
不思議なものだ
自分が記憶を失っていた間に
身体の中を見られていたと言うのは、、
我が体の中身を胃袋の全容と腸の様子を
モニター越しに人生で初めて目の当たりにした
綺麗な桃色をした胃の内側
肉壁が映し出されていて
ぐりぐりとカメラは僕の
胃袋のあちらこちらを撮影していたようだ
ところどころぼこぼこと
荒れてはいたが胃は問題なし
腸の様子を写した画像にも
我ながら軽く感動してしまった
36年間同じ肉体を共にしながらも
一度も顔を合わせた事の無かった胃袋や
腸たちとの初めてのご対面
腸もまたしっかり丈夫で鮮やかな血色をしていて
喜ばしい状態だった
カメラは僕の腹の中をぐにぐに
と蛇の様にはい進みながら
あちらこちらにその鎌首を向けながら
僕の腸の様子を捉えていたのだ
自らの腹を見ても分からないが
そんなイメージを
思い浮かべるとちょっとこわい
小さなポリープがあったので
取り除いておきましたと先生は教えてくれたが
ポリープってそんなに簡単に
取り除けるのかと驚いた
しばらくは重たいものを持つような仕事は
控えてくださいと言われた
癌の気配も出血や異常も見られなくて安心した
僕の記憶が抜け落ちていた間に執り行われていた
検査からは不安な要素は見受けられなかった
ヘモグロビンの減少に関しては
ひとまず鉄分の不足
鉄欠乏性貧血と言う事で
失われた鉄分を補給する為の
薬を処方してもらった
結局我が身体の内面事情からは
たいした異常も見られずに
済んだのでようやく心は一安心
昨日の夜8時からものが食べられず
朝から腸内を洗浄する液体を
ガブガブ飲んでグロッキーだった我が心が
ようやく救われた瞬間だった
健康診断で異常が見られ献血もできず
赤血球やヘモグロビンの減少による貧血が
何で引き起こされているのか分からずに
この先どうなることやらと
思っていた不安の種が
これで取り除く事ができた
たかがたまたま今回の
検査の数字が悪かっただけと気にせずにいたら
もしかしたらもっと大事に
なっていたかもしれない
周りの人達からも厳しく病院に行って
診てもらいなさいと言われなければ
行かなかったかもしれない
病院に行った事で
ようやく安心を得る事ができた
これで晴れて美味しいご飯に
ありつけるていうもの
あぁ嬉しや
健康とは素晴らしい
これからも身体には気をつけて
生きていこうと思う