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批判的思考(クリティカル・シンキング)について③
教科で批判的思考(クリティカル・シンキング)をどう育成するか?
「教科で批判的思考をどう育成するか」は私が博士課程の中で取り組んできた大きなテーマの一つです。
教科と結びつけることで、教科の知識を習得させながら、批判的思考を促すことができると考えています。
今回は、私自身の経験を活かしながら、授業で批判的思考を育てる具体的な方法についてお話しします。
小学校、中学校、高校の教師のみならず、大学、塾講師といった教える仕事をしている方、また、ご自身の子どもの批判的思考を働かせるためのヒントにもなるかもしれません。
すぐに実践できる!
教科で批判的思考を育てる授業アイデア
① 「解答までの過程」を説明させる
学習者が解答を書き終わった後に、解答の導出過程を説明させます。
例えば、解答を求めた後に、「何故この答えになったか説明できる?」 と聞くことで、批判的思考の一部である論理的思考が鍛えられます。
また、説明の際に知識を活用することが必要になるので、教科等の知識も定着しやすくなります。
※なお、批判的思考(クリティカル・シンキング)は論理的思考(ロジカル・シンキング)に似た概念ではありますが、別物となります。
この件、よく学会や学校現場の方に質問されることが多いので、どこかお話できれば幸いです!
② 「間違い探し問題」を取り入れる
意図的に誤った解答を用意し、生徒にその誤りを指摘させる活動も有効です。
例えば、「先生がわざと計算ミスをする」 などして、生徒に
「どこが間違っている?」
と考えさせるのも効果的です。
この方法、よく学校現場では使われる手法だと思いますが、実はこの「間違い探し」によって児童・生徒の批判的思考も触発させることができています。
批判的思考は「本当にそうか?」という「懐疑性」からスタートすることが指摘されています。
学習者に本当にそうなのか?という視点をもたせることは重要です。
同時に、教科の知識にもとづいて間違いがあるかジャッジするので、教科等の知識の獲得も促されます。
③ 「他の解き方はないか?」考えさせる
複数の解答や、解答は同じでも複数の解法がある問題は、一つの解き方に固執するのではなく、「他の方法でも解けるか?」を考えさせることで、柔軟な思考力を養うことができます。
たとえば、数学を例にすると、方程式を解いた後に、
「別の方法で解くことはできる?」と聞くことで、
複数の視点から考える力を育てることができます。
この方法も、一つの回答に対して複数の教科等の知識を活用することになるので、教科等の活用力が育成されます。
また、批判的思考では、複数の視点・立場で考えようとすることが重視されています。別の解決過程や別解を考えることで、そうした批判的思考の一部である複数の視点・立場から考えようとする思考力を育成できる可能性があります。
まとめ
授業で「説明させる」「間違い探し」「別解を探す」活動を取り入れることで、批判的思考を促進できると考えられます。
今後も、学校教育の中で批判的思考をどう育てるか?について、
さまざまな視点から考えていきます。
興味のある方は、ぜひ引き続きチェックしてみてください!