あんらん。

始めまして、あんらん。と申します。 カクヨムで二年余り活動していましたが、こちらでも作品の発表をと思いたちやってきました。 妖しいもの怪しい事どもの物語を創作しています。好きな作家は京極夏彦。時代物も大好きです。どうぞよろしくお願いいたします。

あんらん。

始めまして、あんらん。と申します。 カクヨムで二年余り活動していましたが、こちらでも作品の発表をと思いたちやってきました。 妖しいもの怪しい事どもの物語を創作しています。好きな作家は京極夏彦。時代物も大好きです。どうぞよろしくお願いいたします。

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  • エッセイ

    日々の呟きや素の想いを不定期で投稿

  • 連載まとめ

    シリーズものを集めてみました。怪しい物語、鬼の物語、ファンタジーものもあります。

最近の記事

闇にうごめく影 7

誠は、そのうち俊介に連絡してみようとは思っていた。 中学からの付き合いだった。 成人してから行き来は減ったがそれなりの付き合いは続いていた。 お互いの性格も好みもまるで違うがどこか惹かれるものがあったのだ。 ただ、この前のやり取りを思い返すと、電話もメールさえも気が進まなかった。あの事件をやけに気にしていた俊介だった。 娘しおりの一番の友だちが絡む事件だが。 未だに行方の分からないさやかちゃんは心配だし、ご家族の事を思うと気の毒だが、俊介と同じ熱量にはなれなかった。 「あんな

    • マガジン登録ありがとうございます。

      この度、ほしの遥香さまの「あなたを応援したいの〜|ほしの遥華|note」に拙作『闇にうごめく影 1|あんらん。』を登録していただきました。 ほしの遥香さま誠にありがとうございます。 皆さまのスキ❤やコメントなどを日々の活力として創作活動に邁進しております。今後も精一杯精進してまいります。(●'◡'●) 『闇にうごめく影』は只今連載中、6話まで投稿しているところです。 物語は、地方のある旧家に起こった怪異から始まります。 「ホラーでもなくファンタジーでもない。目指しているのは

      • 闇にうごめく影 6

        「お前、名はなんという。どこから来た」 低く、くぐもった声だった。 周莉莉は、片膝をつき頭を垂れ、そして顔を上げてゆっくり応えた。 「周莉莉、と申します。台湾から、参りました」 「はて、聞いたことのない場所だ。唐にそのような村里があったか?」 「台湾は唐の中にあるのではございません。南の海上に浮かぶ島国でございます。それに、かつて将軍がお住まいでした国は、今、唐という名ではなく、中華人民共和国、あるいは中国と呼ばれております。 私の先祖はその中国から台湾に移住しました。ゆえに

        • 読書記録 4

          10月の記録📚📙📕📔📖📗📘📚📙📕📔📖📗📘  ・『百年の孤独』 ガブリエル・ガルシア=マルケス 著             鼓 直 訳            新潮文庫  ・『子宝船  きたきた捕物帖二』 宮部みゆき     PHP文芸文庫  ・『人類滅亡的人生案内』     深沢七郎      河出文庫  ・『ココ・シャネル 99の言葉』  酒田真実      扶桑社文庫 ―――――誰の孤独なんだろう? 世界46言語で出版され5000万部販売。ノーベル文学賞受賞作品。Ne

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        記事

          闇にうごめく影 5

          こんな事ならいつものようにさっさと回収して帰るべきだったかと、周莉莉は考えていた。 速やかに解決へ導き、速やかに依頼者の日常を取り戻す。それが信条だったというのに。 だが今回、調査室へ運び入れての通常の作業では不十分だと思われた。 何が怪異を起こしているのか確かめたかったのだ。 二日前の加賀美梅子からの聞き取りで、この屋敷この土地も何らかの影響を与えているのではないか、だとすると問題解決には怪異の現場に立ち会うべきなのではないかと考えたのだ。 梅子によると、今まで目にしたこ

          闇にうごめく影 5

          HARLEYのタンデムシートの上から 3

          10月の三連休の中日13日に、突然思い立った連れ合いが紀伊半島沿岸を廻るツーリングに連れて行ってくれました。 自宅を朝5時頃出発し、伊勢自動車道に乗って最初に入ったパーキング。 時間が時間だったので人影はまばら。売店はまだ開いてなくて、自販機の濃い抹茶ラテを飲みました。山沿いの高速道路は寒いです。あったかい飲み物は嬉しい。躰の隅々まであったまります。☕🍵☕🍵 休憩がてら寄りました。何度もお詣りしてるのでこの日は入口だけ。 紀伊半島沿岸はずっとこんな綺麗な海の景色が見られ

          HARLEYのタンデムシートの上から 3

          闇にうごめく影 4

           聡子が、隣で寝ていたはずの娘、さやかがいないことに気付いたのは、夜明け前だった。  トイレにでも行ったのかと見に行くがいない。おかしいなと思いながらも気にすることはなかったのだが、なかなか部屋に戻ってこない。そのうち他の者も起き出す時間になり、顔を合わせた者にさやかを見なかったか聞いてみたが誰も知らないという。  その時になって言いようのない不安に襲われた。そして、もしかしたらあそこかもしれないと思った。  さやかは曾祖母梅子の元に、日頃入り浸っていたのだ。梅子の入院騒ぎで

          闇にうごめく影 4

          闇にうごめく影 3

            タクシーを降りて門を潜ったあたりからすでに異変を感じていた。玄関まで続く敷石の真ん中あたりで足を止める。耳障りな低い唸り声。 ――――どこからだろう。  不快なその声に耳をそばだて、屋敷の北側からだ、と思ったその時、 「どちら様で?」藍色の袢纏を羽織った老人が庭木の影から現れた。腰には庭師仕様のベルトが巻かれている。脚立を担いでいた。 「周莉莉と申します。  加賀見梅子さまにお招きいただき、参上いたしました」  中華系の名の女性は、流ちょうな日本語でそう名乗った。    

          闇にうごめく影 3

          闇にうごめく影 2

             台風並みの低気圧のせいで大幅に出発時間が遅れたが、日本行の便はなんとか飛んだ。何度も乱気流に翻弄され、飛行機は急降下と揺れを繰り返し、1時間あまりで空港に降り立つ。長い1時間だった。停止した機内ではあちこちから深いため息が漏れていた。    大学の卒業旅行から十年、もう一度行ってみようと思い立ち向かった台湾だった。二度目とはいえ五日もいたのに、結局観光めいたものは何ひとつしなかった。天候のせいもあったが他にはどこも寄る気がしなかったのだ。  連日通ったあの故宮博物院も

          闇にうごめく影 2

          闇にうごめく影 1

          「ホラーでもなくファンタジーでもない 目指すのは幻想小説」  加賀美家は、街はずれの山すその小高い丘の上にあった。  古い大きな家に五歳のさやかと母に祖母、そして曾祖母の女だけの四人家族が暮らしていた。  さやかは生まれる前に曽祖父や祖父を、産まれて間もなく父までも亡くしているが、代々この家は資産家で土地や建物を多く所有していたため生活に困ることはなかった。丘の裏山一帯もこの家の持ちものだった。    広い敷地の中に重厚な瓦屋根の木造平屋の母屋と離れ、それを挟んで北に黒漆喰

          闇にうごめく影 1

          読書記録 3

          9月の記録📚📙📕📔📖📗📘-1 今月は以下の6冊です。 ・『拾い猫のモチャ』 にごたろう作 KADOKAWA ・『狐 花』     京極夏彦 作 角川書店 ・『黄昏のために』  北方謙三 作 文藝春秋 ・『「書く」って、どんなこと?』 高橋源一郎 作 NHK出版 ・『哲学のはじまり』       戸谷洋志  作 NHK出版 ・『いっきに学び直す 教養としての西洋哲学・思想』  佐藤優 伊藤賀一 作 朝日新聞出版 ・スマートニュースに上がっていたこの、『拾い猫のモチャ』に一目

          読書記録 3

          彼女たち

          これは私が出会った女性たちの中で特に印象的な方々について書いたものです。知らない間に逝ってしまった彼女、今なお仲良くしていただいている方、そして、血縁者なのに未だに分かり合えない者・・・。 1 追悼  彼女と出会ったのは三十年前、職場の福祉施設でのことだった。    先に介護職として2年ほど勤務していたある時、施設で入所者向けの音楽活動を組むことになり、ピアノ講師をしていたという彼女を施設長が職員として採用した。  細身の長身でセミロングの髪がよく似合う、朗らかな印象の女

          読書記録 2

          先回うっかり忘れていた本が一冊ありました。何たること!日頃京極ファンを掲げている私がこれを忘れていたなんて😣 『鵼の碑』です。昨年、発売と同時にTSUTAYAに走りました。入口正面にドドーンと平積みされておりましたよ。 半笑いのレジ店員さんに、「これ、すっごい厚さですよね」と声をかけられ「いやでもこれが、京極夏彦ですよね」と返した私。でもすぐには頁をめくりませんでした。読んでしまうのがもったいなくて。だってずい分とご無沙汰でしたもの。それを4月にやっと読み進め読了していたのに

          読書記録 2

          読書記録 1 

          4月からこのnoteに参加して5か月経ちました。皆さまの記事を拝見させていただき様々な読書体験をされている方々に刺激され、私も参加当初からの自分の読書記録を投稿しようと思います。(それ以前のものはあまりに雑多なので割愛。今後小出しにしようかと😁) 4・5・6月📚📙📕📔📖📗📘 私が参加している北海道小樽の「絵本・児童文学研究センター」で、正会員として(2年の基礎講座終了者のみ。2021年から正会員)毎年、年12回の正会員ゼミを受講しています。 本年度は『ソフィーの世界』を受

          読書記録 1 

          街にうごめく影 最終話

          彼女の語り 「十五年前のことです。  私、クラスメイトのマイさんに、青い蛙の置物をあげました」  スーさんは、台湾の博物館で働いている29歳の女性だ。  同じ年頃だった日々を懐かしむように、三人の中学生を感慨深げに見回していた。華は妹と同じ名前が飛び出し少し緊張した。 「あのとき、マイさんは、クラスメイトから、酷いいじめにあっていました。あからさまだったにも関わらず、止めに入る者が、誰もいませんでした。私は転校してきたばかりでしたが、すぐに異様な状況に気付いて、マイさんを励

          街にうごめく影 最終話

          ハーレーのタンデムシートの上から  (ソフトテイルFXSB1690CC) 2

          夏の一枚 青山高原から(三重県伊賀市) 8月19日(月)、朝からサンドイッチ🥪作って青山高原へ行ってきました‼ 猛暑酷暑を避けて標高800mの涼しい場所を目指したのですが、やっぱり暑かった😅 三重県の名阪国道の始まり関ドライブインを出発し上野東ICで降り、一路青山高原口へ。この間コンビニで休憩を入れ約40分。そこからゆっくり昇り道を進むこと30分ほどで頂上でした。 津市と伊賀市の境に位置するこの青山高原は、麓の眺望も素敵ですが何といっても間近に見える巨大風車です。風力発電の

          ハーレーのタンデムシートの上から  (ソフトテイルFXSB1690CC) 2