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前立腺がんだって。なんだよ、それ!

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主人公の「俺」は、シモの異変に悩んでいた。ある日、専門医のもとを訪ねる。闘病記が始まった。
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記事一覧

前立腺がんだって。なんだよ、それ!#019

ご無沙汰!

3カ月ぶりの検査は・・

なるほど、0.001。

順調に効いている。
リューブロレリン+ビカルタミドの強力チームは、俺の身体との相性も抜群なようだ。

「このまま、うん、やっていけそうですね。」
ついに0.001、0までいきそうだね。
「うーん、もちろん計測不能なところまで、一度はいっておきたいですが・・」
「特にそこへ届かなくても、十分な、・・成績です、かなり有効です。」
やっぱ

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#018

さて、ここからは駆け足で進めよう。

9月20日

PSA、0.004

もう、驚かない。

「体調は?」
特に変わりはない、頻尿も変わらない。
「うーん、もうしばらく試してみましょう。たまにまったく合わない方、いるんですが、あの、体調もわるくなったりで・・
くまさんの場合、時間がかかるのかも、ということもあります。」
了解!
「とにかく、がんの抑え込みは順調です。このまま、進めましょう。」
ラジ

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#017

さて、脱線はつきものの一連の流れ。もちろん、用語解説とはいえ当然の如し。
#008より
「十字靭帯」
すべての関節に靭帯は存在するが、特に大きくて可動域も大きい関節(膝関節、肘関節など)において発達している靭帯組織。関節の前後を覆うように存在するが、特に膝関節前十字靭帯が傷みやすい。多くのプロスポーツ選手の悩みの種。
「麻酔」
大手術では通常、全身麻酔で目が覚めたらゼンブ終わっているが、今回の検

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#016

今回から2回に分けて、この一連のなぐり書きにおける専門的「用語」の解説をしておこう。

登場人物
「俺」作者、筆者、主人公。数年前、そこそこに育てた会社を部下に押し付け、その2年後、家族に愛想をつかされ家庭を失う。波乱万丈支離滅裂なナイスガイ。
「女医」最初に飛び込んだ泌尿器科医院の経営者。色っぽい。
「渡辺先生」大病院泌尿器科部長。錦鯉というM1王者のツッコミ担当にそっくり、兄弟かと思った。沈着

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#015

3カ月経った。7月5日、である。

さぁ、どうだどうだ?データ確認も3カ月ぶりだ。やっぱり、ドキドキするね。

PSA、0.024・・

すごくないかコレ・・治療開始4カ月にして0.024。発覚時から思えば、なんと3200分の1という奇跡の数値・・

ホント?

「かなり・・合っているようですね。いい、と思います。前回の数値もそうですが、2.0を切ってくるのは・・順調と、いえますね。」
先生、ボー

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#014

5月24日、もう春とは言えないね、暑い。

さて、件(くだん、って読むんだよぉ)の骨密度検査の結果である。

素晴らしい・・

腰椎・大腿骨ともに平均を大きく上回る良好な検査結果である。

「現状、かなり良好ですね。運動はしてますか?」
まぁ、人並みには。あ、チョコザップに先週入りました。
「トレーニング施設ですね。ま、それもいいんですが、毎日継続的な・・例えばウォーキングのような運動が、大事です

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#013

2023年4月5日。

さぁ、今回は例の置き薬「リューブロレリン酢酸塩」と飲み薬「ビカルタミド」のあわせ技、1カ月でどのような効果がでているか?が焦点といえる。
とりあえず血液検査でPSAの値を確認し、今後の治療の方向性が決まる。

8時半に採血採尿センターで尿と血液は採取した。検査結果は1時間後である、ドキドキするなぁ・・

いつもどおりの待合室は、やはりいつもどおりの高齢者のラウンジ状態。

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#012

3月1日。

20日に実施した全身シンチグラフィ検査の結果が出る。
そもそもこの検査、簡潔に言えば「骨のガンを可視化する」検査だ、ホント明快。
手順で言えば、点滴ではなく静脈注射で、直にドドンと骨ガン専用造影剤が投入され、約3時間後全身に浸潤した時点で撮影する。この3時間は何しててもいいので、一旦外へ出て昼めしとしてカツカレーを食したり、家が近ければ帰ってヒルナンデスを見てもいい。
撮影は概ね3時

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#011

15日がやってきた。

待合室は、本当に混んでいる。
高齢化しているということは、俺を含めてジジィババアが増えている上に長い間生きているということ。
シモの不具合はつきものだ。

名前が呼ばれる。1診をノックする。

「おはようございます。」
「はい、お掛けになってください。どうですか?」
本当に驚いたが、一週間はオムツが離せず、昨日までは尿漏れパッドに茶色いシミが目立ったのに、今朝からぱったりそ

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#010

あぁ、寝不足。

眠ってるはずなんだけど、牢名主が暴れている記憶がある。気胸がうなっている記憶もある。
眠りが浅かったのか、はたまた夢を見ていたのか?
とにかく、トイレには2回立った。ニョロンは無かったが、大流血に変わりはなかった。

朝だ、希望の朝だ・・

目覚めてかれこれ90分、オムツの交換を求めた以外はなにもしていない。
午前8時、やっと朝食が配膳される。ゆうべは有り難かったが、今朝の内容は

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#009

這々の体で逃げ帰った病室では、70代牢名主が看護士二人を相手取って、千切っては投げちぎっては投げの大立ち回り・・

頼むからちょっと静かにしてくれよ。後生だから、ね。川原くんがさ、なんか喋ってくれてるんだ。ちゃんと聞いておきたい。

「・・ですから。そういう場合、カテーテルを挿入しないといけないんですね。それで・・」
ちょっと待ったァ!!なになに、もう一回。
「はい、これからだいたい3時間以内に尿

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#008

たいそうだなぁ。
ベッドは図体がデカい、内輪差もでかい。
はいごめんなさいよごめんなさいよ、と露払いする川原くん以下3名のお世話になる。なんだかなぁ、申し訳ない。

地階に降りる。厳重な様子の二重ドアを二つくぐる。
寒い、手術室はやっぱり寒い。
学生時代に左膝の十字靭帯ほか諸々を痛めた時の記憶がよみがえる。あのときはパンツは履いていたな、確か。

おぉ、「渡辺」先生以下スタッフが7人、誰が何をする

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#007

あぁ、来たね、運命の一日が。

夕べ荷造りしていて、はたと気付いた。「一泊」なんだ。
なにを思ってあれやこれやの大荷物を背負っていこうとしてるんだ?ワールドカップの弾丸ツアーじゃないんだぜ。

やめやめ!やり直し、やり直し。

というわけでナイキのショルダーには、
①フェイスタオル✕2
②バスタオル✕1
③下着(上下各1)、靴下2足
④パジャマ
⑤洗面一式、歯ブラシなど。
少数精鋭、である。この際

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前立腺がんだって。なんだよ、それ!#006

なんか気が速るね、そわそわしてフワフワしている。こういうのを「浮足立つ」って言うんだろうね。

午後の泌尿器科受付は、しんと静まり返り人の行き来もなく・・

「こんにちはぁ、お願いしまあす!」
小学校以来の元気いっぱいな呼びかけにも答える声はなく・・

おーい、

さみしいぞぉ。

ま、ちょっと早く着いちゃってるしね、ってかまだ12時半にもなってないじゃん。
これはほら、そのぉ、浮足立っちゃってる

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