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歌・音楽

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2023年2月の記事一覧

勅使川原三郎、佐東利穂子:アップデイトダンスNo.95『月に憑かれたピエロ』シェーンベルク作曲

勅使川原三郎、佐東利穂子:アップデイトダンスNo.95『月に憑かれたピエロ』シェーンベルク作曲

カラス・アパラタスで上演されたダンス公演。

シェーンベルクの曲『月に憑かれたピエロ』を使用した再演作品。ドイツ語の言葉の部分は、佐東利穂子さんが朗読する日本語訳の音声が入っていたりする。

歪曲した金属片が天井からつり下げられ、照明によって光る月に見えるのも幻想的でよかった。月夜の少し怪しい世界へといざなわれる。ラストも秀逸だ。

公演情報「月に憑かれたピエロ」

「月に憑かれたピエロ」シェーン

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国立能楽堂「月間特集 近代絵画と能」:狂言『釣針』、能『枕慈童』

国立能楽堂「月間特集 近代絵画と能」:狂言『釣針』、能『枕慈童』

国立能楽堂の2023年2月主催公演。毎年行われ、8回ほど続いているという月間特集で、テーマは「近代絵画と能」。3点の作品を取り上げて、各作品で1回、計3回の公演が行われている。

私が鑑賞したのは、『枕慈童』がテーマの「普及公演」。土曜日の13時開演で、3点の絵画に関する30分の解説の後、狂言30分、休憩20分、能1時間の公演で、計2時間半弱、15:30前に終わったので、初心者でも行きやすかった。

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『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』古屋晋一著

『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』古屋晋一著

楽譜を見て指が動く、楽譜を見て音が聞こえる、指を猛烈な速度で細やかに動かせる、膨大な量の鍵盤やペダルの動きを記憶する、など、ピアニストの指先(とペダルを踏む足と、実は体全体をダイナミックに使っているのだが)や耳、脳は、訓練によって、特殊な状態になっている。

そうした仕組みを、科学の観点から一般向けにわかりやすく解説した本。

フォーカル・ジストニアという、ピアニスト(やほかの楽器の演奏家)に多い

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『音楽の基礎』芥川也寸志著

『音楽の基礎』芥川也寸志著

新書だし、入門書のような顔をしているが、中身は、ある程度楽譜を読めるなどの基礎力がないと、大部分は理解するのが難しいと思う。

『「宇宙の音楽」を聴く 指揮者の思考法』伊藤玲阿奈著

『「宇宙の音楽」を聴く 指揮者の思考法』伊藤玲阿奈著

指揮者の著者がコロナ禍に執筆した初の著書。

タイトル、コンセプト、構成のすべてがちぐはぐな印象の不思議な本だが、要するに、西洋の価値観や思考法にとらわれていた著者が、それらに基づいて行動して成功したものの、挫折と行き詰まりを経て、「東洋的な思想」に目覚め、精神的に楽になり、人生がまたうまくいくようになった、というところか。

それだけを言いたいがために、西洋の思想史や、(欧米目線での)中国思想の

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