マガジンのカバー画像

乃木坂5期生

598
他の書き手さんのです
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

泡沫のような奇跡を 《前》

泡沫のような奇跡を 《前》

深い、水底まで沈んでいくような感覚を今でも覚えてる。

光も届かない。

音も届かない。

何もない。

誰もいない。

拭えないその感覚を抱いて、私は今日も目を覚ます。

上体を起こして、腕の力で椅子に座る。

それが、私の歩き方。

「朝ごはんまだ?」

リビングに顔を出すと、バターのいい香り。

「あら、今日の授業は……」
「もう夏休み!だからちょっと散歩でもしようかなって」

腕で車輪を回

もっとみる
泡沫のような奇跡を 《後》

泡沫のような奇跡を 《後》

「おっ待たせ~」
「ごめん、海の家ちょっと混んでて」

注文された品を、それぞれに渡していく。

その最中、さっきまでとは少しだけ雰囲気が違うように思えた。

ご飯を食べ終えて、二人はまた海へと向かい、俺と咲月はまた留守番。

気温も落ち着いてきて、潮風も相まって涼しさも感じてきた。

「……」

だけど、昼食前とは違って、咲月から話しかけてくることはなく、話しかけてもぼやけた回答しか返ってこない

もっとみる
幼なじみの和#1【めっぽう弱い】

幼なじみの和#1【めっぽう弱い】

家を出て学校に向かう途中、背後から足音が近づいてくる。

タタタッ

そのままオーバーラップして突然こちらを振り向く。

和:わっ!!

〇:・・・・・

和:〇〇!!おはよっ

〇:うっす・・・

今日も朝から高めのテンションでキラキラした笑顔を向けられる。

和:なんか眠そうだね

〇:別に・・

和:私も遅くまでアニメ見ちゃって寝不足だー

〇:ふーん・・・

和:最近なんかアニメ見てる?

もっとみる
幼なじみの咲月#1【我慢できない】

幼なじみの咲月#1【我慢できない】

咲:これでよしっと!!

洗面所に立てられた2本の歯ブラシを見て満足そうに笑う。

◯:何それ?

咲:何って歯ブラシだよ

◯:それは分かる。誰のだって話

咲:私のに決まってるじゃん

◯:いらないよね・・・

咲:えぇ、お泊まりの時とか・・・

◯:泊めません

咲:けち・・・

不満そうに頬を膨らます咲月。

◯:いいから持って帰んなさい。使う事無いんだから

咲:じゃあ使わなくていいから

もっとみる
推し以外のメンバーとお家デートをしても理性を保てるのか?

推し以外のメンバーとお家デートをしても理性を保てるのか?

○:眠いっすなぁ...

僕は○○。特に強みもない大学生。

そろそろ、何か強みを得ないといけないと思いつつも
なかなか、行動を起こせません。

その証拠に私はソファーに寝転がりながら
ぼーっとスマホをいじり倒しています。

しかし、ある事には行動を起こせるんです!

ピンポーン...

とインターホンが鳴り

大きめの段ボールを猫の業者さんから受け取る。

僕は受け取って、すぐにハサミで封を開封

もっとみる
「吾輩は"にゃぎ"である」

「吾輩は"にゃぎ"である」

大学に入学して2ヶ月が経った頃

和:「○○さん、好きです!」

私は1学年上の○○さんに告白した。

和:「私と付き合ってください!」

○:「和...僕も好きだよ。こちらこそ...よろしくね。」

私たちが初めて出会ったのは大学の構内にある図書館だった。

入学したばかりで本の探し方やレポートの書き方が

よく分からなかった私に図書館に

何度も来ていた○○さんが優しく丁寧に教えてくれた。

もっとみる
『あおはるっ!』 第10話

『あおはるっ!』 第10話

和・ねえねえ、後どのくらいかな
〇・あと半分くらいじゃない?

和・そっか……

和はそう呟くと、おもむろに立ち上がった。

和・じゃあ、後の半分は……

そして、俺の隣に座る。

和・隣、いいかな?

落ち着き始めていた心音が、再びテンポとボリュームを急激に上げる。

〇・ア、イ、イイヨ

ちょっと、状況を冷静に把握しないと……

あと半分だねって話してて、そうしたら和が隣に来て……

いや、な

もっとみる
『あおはるっ!』 第11話

『あおはるっ!』 第11話

「やるじゃん」

そう言ったのはいいものの、私の心中は穏やかじゃなかった。

あの日から一週間が経って、○○と和の仲はより一層深まった。

当然だ。

球技大会は二人で優勝をつかみ取って、観覧車のトラブルは二人で支え合ってたんだから。

最近の二人を見ていると、なんとなく私は○○にとって邪魔なんじゃないかと思ってしまう。

〇・あ、プリント半分持とうか?

先生に頼まれたプリントの山。

職員室ま

もっとみる
『あおはるっ!』 第12話

『あおはるっ!』 第12話

夏に入り、衣替えの季節。

ブレザーからワイシャツに変わり、それでもなお暑い毎日がやってくる。

和・もう夏だね~
咲・うん、暑くて嫌になっちゃうね

じりじりと照り付ける陽光。

教室の中で本当によかったとすら思わせる。

〇・腕、どうしたの?

半袖の和の腕。

痛々しい湿布が貼られていた。

和・これ?ちょっと、弓で……

弓?

薺・うちの学校に弓道部あったっけ?

確かに。

うちに弓道

もっとみる
僕にチョコをくれたのが誰なのか、幼馴染は全然教えてくれません

僕にチョコをくれたのが誰なのか、幼馴染は全然教えてくれません

明日はバレンタイン。

最後に手作りでチョコを作ったのなんて、小学校の頃以来……

一抹の不安は残るものの、

「よし……!」

髪を後ろに結んで、袖を捲くる。

買い物袋から取り出すのは生クリームと薄力粉。

卵と、失敗してもいい用の沢山の板チョコ。

「レシピ、レシピ……」

スマホでレシピを調べて、いざ調理開始。

彼の好みはよく知ってる。

そこは幼馴染の有利なところ。

コンビニでよくガ

もっとみる
待ち合わせ

待ち合わせ

私の彼はちょっと抜けてる。

そんな彼の口癖は「あれ、そうだっけ?」
もう何度も聞いたその言葉に呆れるけれど、それでもずっと付き合っているのはそんな彼のことが大好きだからだ。

今日はそんな大好きな彼と1週間ぶりのデート。

「着きました!どこにいますか?」

彼からのメッセージを見て辺りを見渡したが集合場所に指定した駅東口のベンチに彼の姿はない。

おっちょこちょいな彼のことだからと思い西口へ向

もっとみる
「寝てる時のひみつ。」

「寝てる時のひみつ。」

1.

〇〇 : 社会人も大変でしょ?

和 : 時間がなぁい〜

〇〇 : 言ったでしょ、大学生の間に沢山遊びなって。

和 : 言ってたけど…もっと言ってよ、、

〇〇 : 言ったけどなぁ。

2.

和 : 〇〇とも、中々会えないし…

〇〇 : 僕も社会人3年目で、任せられる仕事も増えてるしな。

和 : …なぎ、寂しい、、

〇〇 : ごめんねちゃんと時間作れるようにするよ。

3.

もっとみる
塩な彼女の誕生日

塩な彼女の誕生日

1

和)寒っ…

○)確かにもう2月の中盤だもんね

和)早く春にならないかな…ハァー

○)和…誕生日どうする?

和)私行きたいところがあるんだけど…いい?///

2

○)へぇ…どこに行きたいの?

和)内緒

○)楽しみにしてる

和)ハードルあげないでよ

○)いいじゃんw

○)俺こっちだから…また明日

和)うん

3

ガチャ🚪

○)ただいま

遥)おかえり○○〜‼️

もっとみる
マドンナと冬のお忍びデート?

マドンナと冬のお忍びデート?

○○:チビ!

咲月:巨人!

○○:バカに言われたくないし

咲月:バカじゃないし

和:さっちゃーん

○○:バカ呼ばれてんぞ

和:帰ろー

咲月:うん!

和:ふふっ笑パチッ

学校ではバレるからウインクなんかすんなよ.......
あいつは一応彼女なんですけどね

俺サッカー部なんで冷やかしとかされたらお互いめんどくさいから隠してます

今日は夜からイルミネーション見に行く予定なんです

もっとみる