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光文社古典新訳文庫シリーズ

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好みの光文社古典新訳文庫を一生かけてじっくり読んでいくシリーズです。
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#読書感想文

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。

ルキノ・ヴィスコンティをはじめ、これまで四度も映画化された作品。

「どうやらタイトルと内容が一致していないらしい」

そんなイメージぐらいしか持っていなかったけれど、光文社古典新訳文庫に原作があったので手に取ってみました。

本書はアメリカ犯罪小説の歴史に名を刻んだ一冊。著者はジェームズ・M・ケイン。

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『嵐が丘』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

『嵐が丘』を読んでみた〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。

著者のエミリー・ブロンテは29歳で『嵐が丘』を出版し、肺結核を患い30歳の若さで亡くなった。

イギリスの片田舎で魂を削りながらしたためた一冊。生涯で小説はこの一編のみ。彼女の死後、『嵐が丘』は世界文学を代表する一冊と称されるまでに至った。

出版時の著者と、いま読者の自分は時代は違えど29歳の同い年。

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『リア王』(シェイクスピア)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

『リア王』(シェイクスピア)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。

『リア王』を読みました。

これが黒澤明『乱』のもとにもなってる『リア王』か!ようやく読みました。

『マクベス』、『ハムレット』は亡霊や預言といった呪術的なメッセージが登場人物を突き動かしていく。

本作は裏切りや愛憎、人間の欲望だとか、どろっとしたものが発端となって生まれる悲劇。

本作の悲劇のきっ

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『啓蒙とは何か』(カント)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

『啓蒙とは何か』(カント)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。

『啓蒙とは何か』を読みました。

「啓蒙活動」なんて時折耳にするけれど、そもそもそ啓蒙って何を意味するのでしょう。

カント曰く、啓蒙とは、

それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでるということだ。

では未成年の状態とは?

カント曰く、

未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の

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『ハムレット』(シェイクスピア)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

『ハムレット』(シェイクスピア)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。

『ハムレット』を読みました。

好みの光文社古典新訳文庫で、しかもKindle Unlimitedの読み放題ということで、こちらを手に取りました。

はじめて知ったのですが、どうやらハムレットには原著にバージョン違いがあります。どれを正とするか、これまで議論がずっとあったようです。

そう、タイトルのQ

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フランス恋愛小説の最高峰と呼ばれる『アドルフ』(コンスタント)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

フランス恋愛小説の最高峰と呼ばれる『アドルフ』(コンスタント)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜

一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。

人生は選択の連続であって、現状維持だとしても自らの意思で「そうしている」。何か新しく行動を起こそうとすると緊張で身体が震えたりする。この現象は遺伝レベルのアラート。どうやら人間には「自己保存の本能」が備わっているらしい。

こういう自己保存の本能だとか、回収ができなくなったコストの投下が意思決定に影響を

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