『啓蒙とは何か』(カント)〜光文社古典新訳文庫を読もうシリーズ〜
一生をかけて光文社古典新訳文庫をじっくり読んでみる。そんなシリーズを始めてみようと思います。
『啓蒙とは何か』を読みました。
「啓蒙活動」なんて時折耳にするけれど、そもそもそ啓蒙って何を意味するのでしょう。
カント曰く、啓蒙とは、
それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでるということだ。
では未成年の状態とは?
カント曰く、
未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができないということである。
さらにカントは、人間はみずからの責任において、未成年の状態にとどまってしまいがちだといいます。この論文ではずーっと、一貫して「自分で考えろ」と伝えているんですね。
「自分の考えを、自分以外の人々に、自分の言葉で伝えることが教養である」というワードが好きなのですが、関連するところがあるなあと思って読んだ次第です。
カントにとって哲学は「学ぶ」ことではなく「する」こと。開放的であり実践的。いまや当たり前のことですが、当時は18世紀です。
本書は宗教批判しにくい時代情勢のなかでの主張です。つまり普遍的ではなく、この時代の意味を考える個別的事象が対象となっている。アリストテレス以来の哲学観からすれば、カントの試みは新しかった。
さらに「自分で考えろ」が伝えているように、哲学する主体が哲学者ではなく、市井の人々となりました。ここも新しかった。哲学者の役割が変わっていったというのはおもしろい。
カント入門としては絶好の本のようです。他にも4編収録されており、解説もそれぞれついていて充実しているのでオススメです。
というわけで以上です!
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