石坂閣啓@空環研_室内空気と身の回りの化学物質の研究者

空気中の124種類以上化学物質を誰でも簡単に測定可能なエアみる法。企業→大学助教を経て独立。一般社団法人空気環境改善研究所の代表 (農学博士)https://kuukanken.jp/  LINE相談(無料)https://line.me/R/ti/p/@153awirs

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住まいの健康軸、どこに置く?あなたの基準を見直そう

皆さんにとって「健康」とはどんなイメージでしょうか?「よく眠れること」や「エネルギッシュに過ごせること」、「自分の力を発揮できること」などを思い浮かべる方も多いかもしれませんね。 ですが、私たちが考える「健康」と、国が定める「健康の基準」には大きな違いがあるんです。例えば、厚生労働省の健康基準は「死亡のリスクが低いこと」や「発がん性がないこと」が中心です。つまり、私たちが目指す「健康」とは少し異なる視点が強調されているんですね。 たとえば室内の空気環境ですが、2003年に

    • 新しい賃貸のかたち:無垢材と漆喰の賃貸物件で叶える理想の暮らし

      最近、入居者のニーズも変わってきていて、「ペットと一緒に住みたい」とか「健康的な環境で暮らしたい」という要望が増えているようです。でも、理想的な新築を建てるにはコストがかかりすぎて、手が届かないというのが現実ですよね。だからこそ、理想の暮らしを賃貸で実現したいと考える人が増えているのかなと思います。 一般的な賃貸住宅で、無垢材のフローリングや漆喰の壁など自然素材を使っている物件は、ほとんど見かけません。でも、居心地の良い場所で暮らしたいと思う方は多いですよね。無垢材の床やお

      • 家づくりで見落としがちな健康リスクと長持ちの秘訣

        家を建てたいと考える人がまず気にするのは、予算をクリアすることや、見た目がかっこいい家にしたい、寒くない家にしたい、あるいは使い勝手の良い家にしたい、といったことです。これらが最初にくるのは当然ですよね。そして、こうした条件がすべてしっかり固まった後になって、ようやく「ああ、長持ちする家がいいな」とか「健康被害が出ない家にしたいな」と思い始める傾向があるようです。 ただ、その頃にはもう建てることが決まっているので、シロアリ対策や健康リスクについて深く考える機会が減ってしまい

        • 結露対策:施工業者選びのポイント

          結露やカビのリスクを最小限に抑えるには、湿気管理に関する専門的な知識を持った信頼できる施工業者を選ぶことが非常に重要です。特に高断熱・高気密住宅の特性に合った断熱や結露対策を行える業者かどうかを見極めるポイントをいくつかご紹介します。 結露対策に対する知識と対応力を確認する 施工業者を選ぶ際、まずは「結露対策」に対する知識や対応策をどの程度持っているかを確認することが重要です。例えば、「夏型結露」と「冬型結露」それぞれに対する具体的な対策を聞いてみると良いでしょう。これら

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        • ドングリ珈琲セレモニー
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        記事

          カビ対策の基本は「乾燥」を意識した生活

          カビ対策の基本は、何よりも「乾燥」を意識した生活習慣にあります。カビの発生には、温度、水分、栄養分の3つが必要ですが、特に水分はカビの成長に欠かせない要素です。日常の小さな工夫で湿度を抑え、結露やカビのリスクを減らす方法を見ていきましょう。 1. 水回りの湿気対策 キッチンや浴室、洗濯場などの水回りは、カビが発生しやすいエリアです。調理中の水蒸気やシャワー後の湿気は放置せず、換気扇を回したり、窓を開けて換気をすることで湿気を外に逃がしましょう。また、使用後には水滴をタオル

          カビの検査方法と目的

          カビの検査方法と目的 室内でのカビの発生状況を把握するためには、適切な検査が重要です。完全にカビをゼロにすることは難しいものの、カビが大量発生している場所や種類を特定することで、効果的な対策が行えます。 まず「落下菌数」を測定する方法があります。これは、空気中のカビ胞子が一定時間でどれほどの数が落ちてくるかを調べ、基準値と比較して過剰なカビが存在するかを確認する方法です。一般家庭での標準的な基準値と比較することで、室内のカビ量を把握できます。 もう一つは、「拭き取り検査

          「この物価高でも値上げされない住宅は健康な住宅とは言い難い?」

          最近、建築材料費や輸送費、人件費が急激に高騰し、住宅価格は5年前と比べて約1.5倍に上がっています。 その結果、これまで4,000万円で家を建てられていた人が、6,000万円のローンを組まないと新築住宅を購入できなくなり、購入のハードルが非常に高くなっています。 ここで重要なのは、価格が高くなった理由です。建築材料費や人件費は、簡単に削減できないコストです。 無理に価格を下げると、「安かろう悪かろう」の住宅ができてしまい、健康に悪影響を及ぼす建材や接着剤が使われる可能性

          「この物価高でも値上げされない住宅は健康な住宅とは言い難い?」

          空気環境改善研究所では、会員を募集しています!

          令和のシックハウス問題とは? 現在、シックハウス問題は大きな課題にはなっていませんが、令和時代に新たな形で問題が発生しています。自然素材だから安全、F☆☆☆☆だから安心といった思い込みは誤解であり、現在も健康リスクをはらんでいる可能性があります。特に、規制されていない化学物質への注意が求められます。今後、シックハウス対策はQOL向上を目指した総合的な空気環境管理へとシフトしていく必要があります。 そこで、各地域でこの問題にしっかり対応できる公務店や住宅メーカーの増加を目指し

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          AIが教える!健康的な家づくりで重視すべき10のポイント

          AIが注目される理由は、人間の行動を学習し、さまざまな分野で活用されているからです。今後、営業やマーケティングといったビジネスのあり方も、AIが中心となって変わっていくでしょう。 健康的な家づくりに関して、AIに次の質問をしました:「健康的な家で暮らすために、家を建てる際に重視すべきポイントは何でしょうか?重要な順に10個リストアップしてください。その理由も併せて教えてください。」 さらに、「高断熱・高気密住宅の需要が高まっていることを考慮し、再度順位付けを行い、根拠を基に

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          TVOCの暫定目標値の扱いについて

          シックハウス症候群は、建材や家具から放出される化学物質が原因となることが多く、特に新築やリフォーム後の住宅で発生しやすいですが、既存住宅においても、日々の換気や清掃不足で化学物質が蓄積し、空気の質が悪化する可能性があります。暫定目標値400 μg/m³は、健康被害を防ぐための一つの目安としての役割があります。 TVOC(総揮発性有機化合物)の暫定目標値について、厚生労働省の公式見解が出されています。この暫定目標値400μg/m³という数字は、国内の一般的な室内でのVOC濃度

          風の谷のナウシカと腐海と住宅のカビのはなし

          高断熱・高気密住宅で起きる夏型結露とカビの大量発生からの考察 夏型結露で壁裏に大量のカビが発生したというを数多く聞いた今年の夏。この住宅内のカビの大量発生は、生態系の「バグ」だと考えています。 私たちの身の回りには、無数のカビや菌が存在しています。ある調査によると、キッチンスポンジには15億個もの雑菌が付着しているそうです。しかし、それらがすべて悪さをしているわけではなく、バランスを保ちながら共存している状態です。実際、キッチンスポンジを除菌せずに使っても、食中毒や病気に

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          カビはどうして発生する?

          今回のテーマは「カビ」です。今年の夏、非常に暑かったですよね。この暑さの影響で、壁の裏で「夏型結露」が発生し、その結果カビが生えたという話を耳にしたことはありますか?私の知り合いの中にも、壁の裏に大量のカビが発生して、手が付けられない状態になったという例がありました。それだけではなく、他にも何件か聞いていますし、さらに人づてにもっと多くのケースがあるとも聞いています。 特に、高断熱・高気密の住宅では、なぜかカビが発生しやすくなっているんです。今回は、そのカビについて、基本的

          カビ臭い匂いの元は何?

          家の中に溢れている匂いの原因はさまざまですが、特にカビと関係する代表的な匂いとして「ジオスミン」や「2-メチルイソボルネオール」などが挙げられます。これらの物質は水道水からも臭うことがあり、土臭い匂いや墨汁のような匂いを感じることがあります。 これらの化学物質は非常に微量でも、人間が感じやすい匂いです。カビそのものではなく、カビ菌や細菌などが発生させる揮発性有機化合物 (VOC) で、特に「MVOC」と呼ばれます。 なお、カビ臭いと感じるときにカビの胞子を吸い込んでいるこ

          シックハウス問題に関する検討会の中間報告書-第24回〜第●回までのまとめ(案)へのパブリックコメントの作成案

          シックハウス問題に関する検討会の中間報告書-第24回〜第●回までのまとめ(案)へのパブリックコメントが募集されていますので、その草案を考えています。 提出しようと思っているパブリックコメントは、室内空気中に含まれる化学物質「2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(以下、TMPD-MIB)」と「2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(以下、TMPD-DIB)」の初期リスク評価に関するものです。 これらの物質は、建築材料や

          シックハウス問題に関する検討会の中間報告書-第24回〜第●回までのまとめ(案)へのパブリックコメントの作成案

          室内空気と健康への影響に関する提言

          近年、住宅環境における室内空気の質が、私たちの健康に与える影響がますます明らかになってきています。私たちは日々約20,000リットルの空気を吸い込んでおり、その空気がいかに清浄であるかは、特に子どもや高齢者などの健康にとって非常に重要です。 化学物質の少ない環境において生活することで、アトピーや喘息の症状が改善した事例が多く報告されています。これは、従来の医療だけでは解決が難しい問題に対して、住環境のアプローチが有効であることを示しています。しかし、現在の住環境における化学

          匠の技とその継承

          公民館や公共施設を匠の技術で作りませんか? 日本家屋の建築において、伝統工法を駆使する大工の棟梁・加藤さん。天井細工傘天井や土壁工法など、今では希少な技術を持つ職人です。 加藤さんは一級建築大工技能士の資格を持ち、その技術は業界でも卓越しています。令和5年度には豊橋の匠として認定され、公にもその技術が高く評価されています。この貴重な技術を次世代に引き継ぐため、代表的な作品を残していくことが非常に重要です。 公共建築物だけでなく、一般住宅の建築も承っておりますので、お気軽