TVOCの暫定目標値の扱いについて
シックハウス症候群は、建材や家具から放出される化学物質が原因となることが多く、特に新築やリフォーム後の住宅で発生しやすいですが、既存住宅においても、日々の換気や清掃不足で化学物質が蓄積し、空気の質が悪化する可能性があります。暫定目標値400 μg/m³は、健康被害を防ぐための一つの目安としての役割があります。
TVOC(総揮発性有機化合物)の暫定目標値について、厚生労働省の公式見解が出されています。この暫定目標値400μg/m³という数字は、国内の一般的な室内でのVOC濃度の調査結果をもとに決められたもので、達成可能な範囲内で、できるだけ低い数値として設定されました。
具体的には、さまざまな既存住宅を調査し、その結果、平均値はおよそ200μg/m³だったとされています。これが、普段の生活において人々が日常的に曝露されているVOC濃度の平均です。
もしVOC濃度が高くなった場合、約2倍の数値を目標値として設定することで、化学物質による汚染をできるだけ抑え、みんなが安心して暮らせる環境の目安として、この目標値はあります。毒性学的な観点で決められたものではなく、含まれる化学物質が必ずしも健康に悪影響を与えるものとは限りません。ですので、数値のみを重視するのではなく、成分を知ることが大変ン重要であると考えています。
TVOCは健康リスクを直接測定するための基準ではなく、一般的な既存住宅における室内空気の汚染具合を示す指標として運用されるべきものです。
また、シックハウス対策として示される指針値や暫定目標値は、新築住宅を対象にした基準ではありません。これらは、長期間住み続ける環境を前提に設定されています。