シックハウス問題に関する検討会の中間報告書-第24回〜第●回までのまとめ(案)へのパブリックコメントの作成案
シックハウス問題に関する検討会の中間報告書-第24回〜第●回までのまとめ(案)へのパブリックコメントが募集されていますので、その草案を考えています。
提出しようと思っているパブリックコメントは、室内空気中に含まれる化学物質「2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(以下、TMPD-MIB)」と「2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(以下、TMPD-DIB)」の初期リスク評価に関するものです。
これらの物質は、建築材料や塗料などに使用されており、私たちの日常生活に深く関わっています。
「シックハウス問題に関する検討会」では、新たに化学物質を室内濃度指針値に追加する際に、健康に与える影響を評価し、安全な基準値を設定するために「初期リスク評価」を行っています。
しかし、第21回と第26回の検討会で、同じ物質にもかかわらず評価結果に大きな差が見られることに疑問を持っています。
【主な問題点】
キースタディの選定が不明確
TMPD-MIBの場合:
第21回検討会では、、マウスの15日間の短期試験をキースタディとして選定し、**NOAEL(無有害作用量)**を基に、240 μg/m³という室内濃度指針値案が算出されました。
一方、第26回検討会では、マウスの90日間の長期試験をキースタディとして選び、ました。26回では室内濃度指針値案は出ていませんが、**LOAEL(最低有害作用量)**を基に算出すると、5,000 μg/m³と大幅に緩い値となっています。
TMPD-DIBの場合:
第21回検討会では、マウスの28日間の短期試験をキースタディとして選び、NOAELを基に、100 μg/m³という指針値案が算出されました。
第26回検討会では、マウスの13週間の長期試験をキースタディとして選び、これに基づくと2,500 μg/m³と大きく異なる値が示されます。
主張:
あまりに数値が異なるので、どのようにキースタディが選ばれたのか、その理由と科学的根拠を明確にしてほしいと思っています。
また、評価間の一貫性を確保し、安全側に立った評価を行うことを求めます。初期リスク評価の後には詳細リスク評価が待っていますので、安全側に立つべきだと思っています。
不確実係数の適用方法における一貫性と透明性の欠如
不確実係数とは、実験結果から安全な基準値を設定する際に、動物と人の種差や、人間個体の違い、試験期間の差異などを考慮して適用される数値です。
第21回検討会では、種差10、個体差10、試験期間補正10が適用され、合計で1,000が不確実係数に使用されました。
第26回検討会では、種差10、個体差10、試験期間補正が2とされ、合計で200という緩い不確実係数が採用されています。
不確実係数の適用について、評価間の一貫性と透明性を求めます。特に、試験期間補正係数の選択理由を明確にしていただきたいです。
観察された毒性影響の人への関連性の慎重な評価
ラットの雄に見られた腎臓の硝子滴変性などの影響は、人には直接関係ないとされることがありますが、人への影響が完全に否定できるわけではありません。
そのため、慎重な評価が求められます。
人の健康を最優先に考え、観察された影響が人にも及ぶ可能性を考慮し、安全側に立った評価を行うことを求めます。
MOE(ばく露マージン)の採用による誤解の懸念
第26回検討会では、MOEという評価方法が採用され、「リスクは低い」と結論づけられました。
しかし、これにより「この物質はたくさん使っても安全」という誤解が生じる可能性があります。
MOEの採用による誤解を避けるため、適切なリスクコミュニケーションを行うことが必要です。初期リスク評価の結果をより厳格に設定し、明確な指針値を設けるべきです。
要望として
キースタディの選定基準と科学的根拠を明確にし、評価間の一貫性を確保してください。
不確実係数の適用方法について、一貫性と透明性を持たせ、試験期間補正係数の選択理由を詳しく説明してください。
観察された毒性影響の人への関連性を慎重に評価し、初期リスク評価をより安全で実施してください。
MOEの採用による誤解を避けるため、適切なリスクコミュニケーションを行い、初期リスク評価の結果をより厳しく設定してください。
以上
なお、提出締め切りは10/6です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?