
#280 「期待を上回るぞ!」と意気込む前に。
新年度でやる気に溢れる方が多くてたいへん頼もしいです。もちろん良いことなのですが、その前に当たり前だけど意外とできないこともあるよ、と思ったことを、メモ。
1、「期待を上回る」のは良いこと?
かなり前になりますが、リッツカールトン大阪の支配人をされていた林田正光さんや、ザ・ウィンザーホテル洞爺の社長をされていた窪山哲雄さん、など、一流ホテルの方が書かれた「感動を呼ぶサービス」系の本が流行った(?)時期があります。
手元にあるものだけでも、以下3冊ありました。
「サービスの教科書」窪山哲雄著(2006年2月)
「加賀谷の流儀 極上のおもてなしとは」細井勝著(2006年9月)
「サービスで小さな奇跡を起こす方法」林田正光著(2006年11月)
こうしたブームの先駆けになったのは、2005年9月に出た「リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」高野登著、でしょう。
最近ではホテル関係で見かけるのは星野リゾートぐらいでしょうか…
いずれも大変勉強になるのですが、共通しているのは、
「お客様の期待を超えるとそのサービスは感動につながる」ということです。
昔すぎるので、そのせいではないと思いますが、「期待を上回る」ことは良いことだ、と捉えている人が多い気がします。
でも、仕事、ということで考えると、上回るためにどれくらい追加的なコストや時間を投下したか、ということと、上回ったことにより得られた効果、とのバランスが問われるでしょう。
ですから、一概に、「期待を上回る」ことが良いことだ、とは言えないのです。
2、そもそも何を期待されているのか?
ご紹介したホテルのサービス関係の書籍によれば「サービス」には以下の2つの種類があります。
☑️「お客様の期待を超えるとそのサービスは感動につながる」
☑️「お客様の期待通りのサービスは満足につながる」
1つ目は先程の件ですね。
実は、この2つ目が意外と難しいのです。
「期待」も満たしていないのに、飛び道具的にプラスアルファをやってみたところで、「それはいいからこっちをお願い」という、「的外れ」になってしまいます。
そうならないためには、そもそも「何が期待されているのか」をきちんと把握できないといけません。そしてそれを確実に、いつも、提供できなければなりません。
これ、意外と難易度高くないでしょうか?
でも、一流ホテルでサービスを提供する人たちにとっては、それは「できて当たり前」というところまでトレーニングされ、自らも研鑽を積んでいるのです。
つまり、「期待されていることをきちんと把握し、それを満たすことができる」という状態を維持し続けること、が一流の最低条件、なのです。
3、まとめ
いかがでしたでしょうか?
高みを目指す、のは大変良いことです。
あとは「自分は何を期待されているのか」を正確に把握できる力を身につけることです。把握できさえすれば、それを正確に、いつも、提供できるようにスキルアップすればいいのです。
いくら自分が思う通りの仕事ができたとしても、その仕事を納品する先の担当者が期待しているものと違えば、期待は下回ることになってしまいます。
ですから、自分が思った通り仕事を仕上げる能力も大事ですが、もっと大事なのは、「何を期待されているのか」をできるだけ正確に把握できる能力なのです。
実は、「期待値をきちんと、いつも、満たしてくれる人」というのはあまりいないものです。いきなり「上回ろう」としなくても、期待値を満たす、それだけで十分差別化になります。
たかが基本、されど基本、なのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
どこかお役に立つところがあれば嬉しいです。