営業はいらない、と言われる時代に営業をマネジメントすることで得られること⑤〜営業プロセス標準化の定着方法〜
いま、営業を統括する立場のマネージャーは、様々な変化、プレッシャーで悩みは尽きないでしょう。しかも営業はいらない、とまで言われる時代に…
そんなタイミング。
営業の研修講師をしていた関係もあって、様々な相談が増えています。
そうした相談内容と回答をメモしていきます。
これまでにご紹介したもの
✔︎ 一生懸命部下を助けようとするあまり目線が下がってしまったケース
✔︎ 営業プロセスが標準化されていないケースの「まずできること」
✔︎ 営業プロセスの標準化をすべき理由とその方法
✔︎ 営業プロセスの標準化がもたらす3つの効果
今回は、営業プロセス標準化定着の方法についてご紹介します。
1、マネージャー次第
いきなりの結論ですが、営業プロセスを標準化させ、定着させるのは、1にも2にもマネージャー次第です。
この件に限らず、ですが、部下を持つピープルマネージャーはどんなに小さなチームであっても、ものすごく大きな学びのチャンスを、給料をもらってできる、そういう得難い立場なのです。
部下は上司をよく見ています。
なぜなら、評価者だからです。
なぜなら、決裁者だからです。
題名に、こんな時代に営業をマネージして得られること、としているのは、まさにこの点からです。
具体的にいうと、以下の2点
☑️ チームを率い、目標に向かって育成、成長させるという経験ができる
☑️ 特に営業は数字という計測可能な結果が毎日出るのでPDCAが高頻度で回せる
しかも、営業はDXなどの大きな変革期。営業というハコを飛び越えて全社的な変革をリードできるチャンスなのです。
と、ちょっと脱線して、今、この時期に営業のマネージャーであることのチャンスの解説になってしまいましたが、それくらい、自分にとっても、部下にとっても、そして会社にとっても重要な立場だ、ということです。
2、具体的にどうすれば?
マネージャー次第というのは、まぁ、分かったけど、具体的にどうすれば、営業プロセスの定着ができるの?ということですが、3つのステップをご紹介します。
<Step1>
☑️ 面談の予定にその日行う予定の営業のプロセスを記入してもらう
☑️ 日報や週報で各プロセスの数を記入してもらう
の2つを部下にお願いする
今、報告のフォームがあれば、プロセスごとの記号を決め、欄を追加するといいと思います。
つまり、
本日の面談予定は、A(アプローチ)が甲社と乙社の2件、K(契約)が丙社1件です。
とか、
今週は、A(アプローチ)が4件、H(ヒアリング)が3件、T(提案)が4件、K(契約)が3件でした。
とか、そういう情報が分かるようにする、ということです。
<Step2>
もらった報告を週次で担当者毎とその合計であるチーム全体で集計します。
つまり、1週間で各プロセスの活動がそれぞれどれくらいあったか、を担当者毎、チーム全体で「見える化」していく訳です。
これまでも、当然案件管理はされていたと思いますが、おそらく、案件単位だったと思います。
たとえば、甲社の状況はどうなっているか?乙社の契約は先週だったけど契約後のフォローをしているのか?などです。
お気づきのように、Step1で報告してもらっているのは、案件毎ではない営業プロセス数です。
とすると、色々と面白いことが見えてくるはずです。
例えば、ある担当者は、A(アプローチ)がやたらと多い、とか、別の担当者は、T(提案)がやたらと多い、などです。
チーム平均と比べて差分が大きいところがプロセスの中身も全体とずれてしまっている可能性が高い、ということです。
<Step3>
Step2で差分が大きい担当者の差分が大きいプロセスのところに同行します。
もちろん、何をしているか聞いてもいいのですが、百聞は一見にしかずですので、同行がいいでしょう。
同行した時の注意点としては、口を挟まないことです。
あくまでもその担当者がそのプロセスでやっていることを確認しにいくことが目的なのです(もちろん、明らかに間違ったことであれば訂正は必要ですが)
そして、終わったら、なるべく時間を置かずに面談し、そのプロセスについて話し合いましょう。そうやって各プロセスの定義を具体的にすり合わせていくのです。
その際、間違ってもけなしてはダメです(こちらの投稿をご参照ください)。
以上が営業プロセス標準化のための3ステップです。
これを各担当者毎の数字がほぼ同じぐらいになるまで続けるのです。
えー、めんどくさい、と思われたかもしれませんが、今のご自身の時間の使い方を考えてみれば、同行もしているでしょうし、数字の分析もしているでしょうから、その対象と目的が明確になるだけ、とも考えれば、追加的な時間はさほどないのでは?と思います。
モグラ叩き的に気がついたことに対して行うか、中期的な目的があって行うか、の違い、と言えるのではないでしょうか?
3、まとめ
いかがでしたでしょうか?
この3ステップを回していくと、部下も「これからはプロセスしっかり見られるんだ」「このプロセスの意味はそういうことなんだ」と実感し始めます。
となると、動きも変わります。
この話をお伝えすると、多くのマネージャーの方から、「勉強会じゃダメですか?」と質問されます。
勉強会「だけ」では定着はしません。とお答えしています。
なぜなら、部下の皆様は、会社の定めたプロセスについて、何を期待されているかは理解しているはずです。別にわざわざそれを外れた行動をしようとは思っていないのです。それは勉強会しても変わりません。
加えて、知らず知らずにズレてしまっているポイントは担当者毎に違うはずです。
それを、一律の勉強会で一気に変えよう、というのはかなり無理があります。手間であっても、一人一人見てあげることが重要です。
また、副次的効果として、「本気度」が伝わります。
実はこちらの効果の方が大きいくらいです。
上司が本気で重要だと思っていることが伝われば、部下の動きは変わります。
しかも、やり方は具体的にすり合わせているのです。
これらを通じて、標準化が実現すれば、前回ご紹介した、標準化の3つの効果を得られます。
今、営業のマネジメントをされていて悩んでいるようであれば、ぜひ試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、営業プロセス標準化定着の方法についてご紹介しました。
お役に立つところがあれば嬉しいです。
次回は、営業の立場から全社的変革につながる、というお話をご紹介したいと思います。
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