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Saas企業の社員が顧客解像度を上げるためユーザーの職場体験に行ってきた

freeeでは毎年7月にキックオフとして全社オフサイトを行っています。
今年も全国1,200名の社員が一堂に会し、一日かけてさまざまなコンテンツを実施しました。
そのコンテンツの一つとして、事前にユーザーのオフィスにお邪魔して職場体験をさせていただき、その様子をユーザーの方と共に全社員の前でレポートする、というちょっとぶっ飛んだ企画を実施しました。今回はなぜそんな企画を行ったのか、どんな効果があったのかなどをお話ししたいと思います。


はじめに

こんにちは。freeeのCulture Developmentに所属しているkussyです。2023年1月1日に入社してあっという間に半年ほど経ちました。

Culture Developmentは読んで字のごとくfreeeのカルチャーを推進するチームです。社内広報と組織開発を掛け合わせたような業務で、今回の全社オフサイトや定例の社員集会の企画運営をしたり、全社員に持ってほしい行動指針「価値基準」の浸透・進化を担っています。

さて、今回紹介する全社オフサイト「freee Spirit(フリスピ)」ですが、概要はこちらの前編で語っているので、よければお読みください。

今回は後編として、ユーザーの職場体験をレポートする企画「ユーザニア」について話していきたいと思います。

ユーザニアとは?

実はオフサイトでユーザーに登壇していただく企画は今年で2年目になります。昨年はユーザーの方に「freeeを使って日々の仕事や生活がどう変わったか」を語っていただくセッションを実施しました。特にエンジニアの社員はユーザーの方の生の声を聞く機会が少ないため、モチベーションアップに繋がったという感想を多くもらいました。

今年はそのコンテンツをパワーアップし、事前にユーザーのオフィスにお邪魔して職場体験をさせていただき、その様子をレポートしながらセッションを行う、という形式にしました。実際にユーザーの職場を見たり体験したりすることで、スモールビジネスの面白さや難しさ、その中でfreeeがどのように役に立っているか、どんな改善点があるのかを、より高い解像度で理解することが目的です。

freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げ、会計や人事労務などのバックオフィス業務を一気通貫でサポートするクラウドシステムを提供しています。このミッション達成のためには、上記のようなユーザー理解が不可欠なのです。

ユーザーの職場を見学・体験させていただくということで、「キッザニア」よろしく「ユーザニア」と名付けました。(ちなみに英語表記は「Usernear」でダブルミーニングになっています笑)

今回は2社のユーザーにご協力いただいたのですが、そのうちの1社、株式会社nojimoku様とのセッションについてご紹介したいと思います。

職場見学・体験

今回ユーザニア企画にご協力いただいた株式会社nojimoku様は、三重県熊野市で製材業を営まれている会社です。住宅用のフローリング材や構造材を提供されています。1963年に創業され、現社長の野地 伸卓様が3代目となります。今回の職場体験・オフサイトへの登壇を快く引き受けてくださいました。
nojimoku様についてはこちらのコーポレートサイトもご参照ください。(とても素敵なサイトなので是非!)

nojimoku様を訪問させていただいたのは6月中旬。私と営業・プロダクトマネージャー・エンジニアの4名で伺いました。熊野市は紀伊半島のかなり先の方にあり、近くに空港や新幹線駅ありません。野地様曰く、公共交通機関で東京からかかる時間は日本でも有数なのではないか、とのこと。そんな離れた場所でfreeeを利用いただいているというのも感慨深いです。

東京のfreeeから熊野のnojimoku様までの移動距離を示したGooglemapのスクリーンショット
freeeからnojimoku様への距離

電車と車に揺られ7時間。熊野市で一泊し、翌日朝からnojimoku様にお伺いしました。
午前中は山から切り出した木を製材していく過程を順番に見学させていただけるということで、熊野の山間にある各拠点を回ることになりました。
nojimoku様は三兄弟で経営されており、ご次男で専務取締役の良成様が案内してくださいました。

まず最初に訪れたのはnojimoku様が所有されている森から木を切り出している現場です。

木々に囲まれた未舗装の林道を良成様の案内で進むfreee一同
未舗装の林道を進んでいくと…
山の斜面から木が切り出されている状態を目にするfreee社員
一面木が切られている斜面が!

現場に到着すると、ワイヤー(↑の画像の空にうっすら見える2本の線)で切り出した丸太を牽引し、斜面を滑らせながら下ろしていました。

5mを超える丸太が轟音を立てて斜面を降りてくる姿を見て、呆気に取られるfreee社員。初めて見る林業のリアルに衝撃を隠せませんでした。
普段オフィスでPCに向かってばかりの我々にとって、想像もできない業務を毎日されているということを、早くも感じ取りました。

木が切り出される現場を見て呆然としているfreee社員の一名
呆然とするfreee社員

続いて、向かったのは山から切り出された丸太が集まる「熊野原木市場」。nojimoku様では、自社の山から切り出した木だけではなく、市場からも原木を調達しています。ここで良い木材になる木を目利きして買い付けているのです。
市場に並ぶ丸太を見ても素人目には太さくらいしか違いがわかりません。しかしこの目利きで、木材の中にフシ(木材によくある黒い点のようなもの)があるかどうかを判断するというのですから、まさに職人技です。

熊野原木市場の外観がわかる写真。広大なスペースに丸太が積み重なって並べられている
積み上げられた丸太のアップ

続いてはnojimoku様の製材工場へ。複数の過程を経て、丸太が製材されていきます。まずは丸太をカットしていく作業を見せてもらいました。
下の画像の緑色の機械でノコギリが回転しており、そこを丸太が通ることでカットされていきます。
すごいスピードで作業していくので、カットの仕方が決まっているのかと思いきや、一本一本の丸太に応じて作業しているとのこと。どの部分をどう切り出すと良い木材になるのか、全て丸太を見ながら判断しているというのです。

丸太をカットする機械に丸太が挿入されていくところ

続いて、カットされた木材の端を切り落として形を整える工程を体験させてもらえることになりました。板になった木材を真っ直ぐカッターに押し込んでいきます。freee社員3人がチャレンジしましたが、誰一人上手にカットすることはできず…。一つ一つの作業が本当に職人技であることを実感させられました。

製剤の過程をチャレンジするfreee社員。板を持って機械に入れていく。
製材にチャレンジするfreee社員

その後は木材の圧着作業や塗装作業などを行う工場を順番に回らせていただきました。それぞれの作業に時間と手間がかけられており、長い時間をかけて付加価値がつけられていくことを実感しました。また、それぞれの工場が山間に点在しており、人・物の移動が非常に大変そうなのも印象に残りました。

木材を圧着する機械とそれを操作するnojimoku様の社員。
木材を圧着する過程
塗装された美しい木目のいたが並んでいる
塗装された木材

本社訪問・インタビュー

各工場の見学後、続いてnojimoku様の本社にお伺いしました。

本社オフィスの玄関の画像。「野地木材工業(株)」の看板が掲示されている
nojimoku様 本社オフィス

まずはこれまで見学してきた丸太の仕入れから製材までの過程を疑似体験できる、「セーザイゲーム」というボードゲームを体験させていただきました。
セーザイゲームの詳細については↓のリンクをご確認ください。

まず競売で丸太を仕入れ、その丸太から柱や板などをどのくらい生産できるかを競う、というルールです。
丸い「丸太ボード」の上に、木でできた「材木ブロック」を並べ、生産できた材木に書かれた金額を得ることができます。
材木ブロックの並べ方にはいくつかの制約があり、特に丸太ボードの黒くなっている部分は「フシ」を含むため、価値の低い材木しか生産できません。

丸い丸太ボードの上に材木ブロックを並べている様子
丸太ボードの上が材木ブロックでいっぱいになり、さらに並べる方法を考えている様子

フシの少ない木はまだ木が細い時からしっかりと枝打ちをし、手入れをすることで作ることができます。その分コストがかかっているため、フシの少ない木は仕入れ値も上がることになります。

フシのない木材を使えば美しい空間を作り出すことができますが、その分コストがかかります。このゲームを通して、そういった背景を建築士さんや工務店さんなどに伝えていくことが目的として作られたそうです。

また、フシのない質の高い木材を作ること・使うことは環境保全・災害対策にもつながるとのこと。市場が質の低い木材ばかりになると、できるだけ低コストで仕入れ・製材をすることになり、木材の市場価値は下がる一方になります。その結果、林業への投資が少なくなっていき、山が荒れることで土砂災害や水害のリスクが大きくなるのです。

丸太ブロックを持ちながら話す野地様の写真。
社長の野地伸卓様

nojimoku様の取り組みに心を打たれた一同。こんなに頑張っているスモールビジネスをfreeeはもっとサポートしていかねば、と強く感じました。

続いて実際にfreeeを使っている経理担当者の戸嶋様にインタビューをしました。

freee導入直後は、これまで使用していた会計ソフトとの違いが大きく、慣れるまでが大変だった、という戸嶋様。また、機能に対していくつかのフィードバックをいただき、改めてプロダクトを磨き込んでいかなくてはならないと奮起させられました。

一方でfreeeを導入したことでポジティブな変化もたくさんあったとも仰っていただきました。
特にこれまでオンプレミス型の製品を使用していたため、会計はブラックボックス化しており、社長の野地様が知りたい情報を逐一出力してもらう必要があったとのこと。しかし、freeeを導入と同時に野地様も一緒に利用方法を学ばれたことで、欲しい情報は社長自身でfreeeからすぐに見ることができるようになりました。

話している戸嶋様の写真
経理の戸嶋様

また、freee人事労務を導入したことで、離れた拠点のタイムカードを回収したり、銀行に訪れたりといった対応がなくなりなり、給与計算も自動で行われるため、給与支給の業務は5営業日近く短縮することができたとのこと。

そしてなんとその結果、戸嶋様の残業時間が激減しご両親の経営していたスナックを継ぐことができたというのです。夕方までnojimoku様で業務され、夜はスナックに立っていらっしゃると伺い、freeeがそんな生活の変化を生み出すことができたのかと感動しました。

インタビューの終了後、最後に戸嶋様が実際にfreeeを使用しているところを拝見しました。3つのモニターにfreeeとExcelを表示しながら実際に業務されている光景を目の当たりにし、プロダクトマネージャーとエンジニアはその場でプロダクトの改善について議論し始めていました。

freeeを操作する戸嶋様。その様子を後ろから見ているfreee社員
3名のfreee社員が戸嶋様が操作しているところを食い入るように見ている様子

あっという間に時間が過ぎ、nojimoku様の訪問はこれにて終了となりました。実際にユーザーの方を訪問し、普段行われている業務や実際にfreeeを使っているところを目の当たりにしたことで、プロダクトをさらに進化させ、「スモールビジネスを、世界の主役に。」というfreeeのミッションを達成するためにさらに努力していかなくてはならないと強く感じました。

オフサイト登壇

さて、ここまでだいぶ長く書いてしまいましたが、ここからが本番(笑)。

約3週間後、社長の野地様に全社オフサイトに出演いただき、伺った3名の社員とこの訪問についてセッションを行っていただきました。
セッションの内容はこれまで書いてきたものと同様。見学・体験・インタビューの内容を社員にシェアし、野地様と3名の社員に感じたことを語ってもらいました。

オフサイト当日にステージで野地様が話している様子。お伺いした3名も登壇している

セッションの最後に野地様からこんな言葉をいただきました。

これまではfreeeはソフトが自動でやってくれる無機質な印象しかなかったのですが、今回来ていただいて人として会った時に、「あ、この画面の向こうには熱を持った人たちがいて色んなことを考えながら手を動かしているんだ」と感じ取れて。僕らは人じゃないとできない仕事をやっているので、取引先なども仲間として一緒にやっていくということを大切にしているのですが、今回でfreeeも経営を支えてくれる仲間として感じることができて、嬉しく思いました。

野地様からのコメントに涙ぐむ社員も見られる中、セッションは終了しました。
事後のアンケートでは、「自分たちのやっていることがユーザーに届いているのがわかって嬉しかった」「ユーザーの本業とバックオフィス業務との繋がりの解像度が上がった」「仲間だと思えたという言葉に感動したしモチベーションが上がった」といった声が上がりました。
どのコンテンツよりも満足度が高いアンケート結果となりました。

おわりに

特にエンジニア・プロダクトマネージャー・バックオフィスの社員にとって、普段接しないユーザーと会うこと、直接コミュニケーションを取って感謝やフィードバックをいただくことは、やはり大きくモチベーションを上げる体験になると感じます。

また、実際にユーザーの職場を拝見することで、どんな仕事をされている中でどんな場面でどのようにfreeeが使われているか、という解像度が一気に上がり、ユーザーやプロダクトに対する向き合い方が大きく変わると感じました。

また、自分自身にとっても、初めてユーザーの方を訪問し、自分がなぜfreeeで働いているのかを改めて考える原体験となりました。

ここまで読んでいただきありがとうございました!
freeeが実施している全社オフサイトの取り組みが少しでも伝わっていれば幸いです。

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