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現代詩フォーラムに投稿した詩

13
現代詩フォーラムに投稿した作品です。
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記事一覧

現代詩フォーラムに投稿した詩:13

【とある虫。】

ー物事に腹這う匿名の脱け殻の群ー
物事は飯事である。
抱えた毒は甘美に膨張して、
麻痺する真昼の縮図
ー奥歯に認めた手紙の歯茎
逆さまに連ねた水飴
盆の上で煩悩は表面張力ー

(言葉遊びは冒涜でしたか?
お嫌いな理由を卑屈に陳列する。

三行半を突きつけて
女は去ってゆく
三匹の猿が憑いて来る

遠雷が近付くと春が騒ぐのです。
あれは亡霊ですよ)=あれは幽霊ですよ)いいえ、記号に

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現代詩フォーラムに投稿した詩:12

【文学的波長】

脳味噌、お花畑だね」
並んだスカートひらり
風に揺れる。

短い命が花の間だけなら、枯れた後の果実が青から赤に染まって甘くなるまで待って。

少女はケラケラ笑う。
「ポエム!」
「ポエムだ!」
虫になって這いずる彼女たち。
やがて美しい蝶に成る。
風に攫われて地面に横たわるまで待って。

(詩と小説は違うよ?)
彼は死んだ魚の眼で遠くを見る。
そう、句点が滑り込む。
(意味なんて

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現代詩フォーラムに投稿した詩:11

【白い記号の終わり】

「満たされぬ事は墜落の終わり

✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄

満たされる事は堕落の始まり」

群は個が乱立する。
軍隊と化し群体と成る。
虫だ、彼らは一列に隊列を乱さずに歩く。

◯円環◯円環◯円環◯

(私は満腹に成る事に恐怖を覚える。
それは堕落の始まりであり、野生の消失である。)
人は何時から動物である事を忘れて

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現代詩フォーラムに投稿した詩:10

【床の間にストレリチア】

風の使者が運ぶ言霊
万能の極彩色
骨を啄む嘴は箸
白磁の欠片が罅割れた
その隙間から覗く髪

(骨は灰の中から産まれたのだ)

小声で囁く参列者の中で
鬼は女の顔で骨壷を見下ろした

回転灯がくるりくるり
水色 桃色 黄色 ゆらり 立つ影に角生え
酩酊の中で快い馨が漂う

足元の雲は仄かに明滅する
遠雷と沢山の拍手
ぬるりと鎖骨で滑る液体
手で触れると首から上が無い

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現代詩フォーラムに投稿した詩:9

【その女、不足につき】

木枯らしが冬を引き連れて
醜い獣を呼び覚ます

魚の腹は濡れた月
涙は水底真珠となりて
ころころ転がり心と成った
夜更けに泣いて震えてる

か細い枝に三日月刺して
滴る孤独の蜜舐める
虫の羽音が煩くて
ひたひた裸足で過ぎ去りし
亡霊達のひたむきな
置き手紙だけ咀嚼する

甘美な夢を常備して
真昼の月は氷漬け
静かに沈む言葉を割って
乾いた暖炉に点火した

孕んだ闇は重かろ

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現代詩フォーラムに投稿した詩:8

【冬籠り】

僅かに傾いた椅子が軋む
陽溜まりから肋骨を取り出し
沈んでゆく西日を突き刺し
半熟卵の月を呑み込んだ

蛇の鱗を舵に襞は薄く透き通る
大きな川の真ん中で溺れ
死んでゆく指先の硬化された皮膚
乾いた舌先は嘴と絡んだ

水分は唾液に質量を求める
厳かに背表紙が歪んでしまう(前に)
背徳と悪徳で呪縛を解き放つ(前に)
進んでいる時間と巻き戻す杖(前に)
産前の背なに鰭が生える(後に)

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現代詩フォーラムに投稿した詩:7

【傾聴する額縁】

夥しいツノの群れが
君の皮膚の上を這ってゆく

生焼けの空が爛れている
膝の上の夕日を何度も剥ぎ取る
未だ白い三日月を突き刺して
悼みが止むまで雨を飲み込む地面
爪先で詰って
ポケットの中の鍵を慰める

知恵熱が発している声
重い扉 鴉の鳴き声 電車の走る音

悲しみ 哀しみ 孤独 カナシミ

壁の染みが浮かび上がってくる
人の姿で浮かび上がってくる
少しずつ少しずつ
近づいて

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現代詩フォーラムに投稿した詩:6

【加速する山羊の角】

珈琲の渦の奥に一つ
小惑星が沈んでいます

あれは浮かんでいるのです(彼方側では)

音は滴り落ちるので
雨さえ頭上へと上がってゆきます

すべての事象があべこべなのです(此方側では)

滑るように魚は稜線を食べてゆきます
あれは夜の端くれなのです

そうして失くなってゆく記憶を追憶します(其方側では)

正しいと間違いを並べ立て
列を成している群青色の翳(彼を翁と云うので

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現代詩フォーラムに投稿した詩:5

【凍寵】

夥しい数の言葉が
壁一面に記されて
其処だけ羅列標本
        恋愛感情を剥ぎ取って
        継ぎ接ぎの怪物が孵化
        そんな夜半で御座った
赤い芙蓉が広がり
金魚の尾鰭が翻る
翳りの下へ滑空し
        市松模様の天鵞絨の幕
        喜劇と悲劇の睦まじさ
        舌根に蔓延る藤壺の念
こんな情景を混入
空白ばかり雄弁で
衣擦れが暗香疎影

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現代詩フォーラムに投稿した詩:4

【行列の足】

穏やかに沈んでゆく
貝殻の奥で
一枚の花弁のひとひら
(花占いを信じている女の子)
無差別に積み上げられている時間

嫋やかに蕩けている
石膏の奥で
一粒の星屑のひとかけ
(星占いを信じている男の子)
無尽蔵に燃え尽きてゆく思考

艶やかに開いてゆく
空想の奥で
一齧りの果実のひとさじ
(占い師と呪い師の食卓)
無造作に朽ち果ててゆく言葉

切り揃えた前髪が風に弄ばれる
五行の変換

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現代詩フォーラムに投稿した詩:3

【御使い】

夜半の馨を残して
朝焼けは落ちてゆく

頬に残らなかった
昔日の跡を眺める

三面鏡の奥で波紋が広がる
優雅な尾鰭が翻る

昼下がりの葉の翳り
白昼夢に耽溺し
蝸牛が休んでいる

列んでいる足迹が
追従を許しているのか

(容易いのは絶やすことの方だろうか)

糸電話から春が産まれてくる
さわさわと柔らかな風が
前髪ばかりを揺らして

少しずつ置いてゆく
細胞を塗り替えるように

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現代詩フォーラムに投稿した詩:2

【朝昼夜)顔のない花】

背中を左右に開いて
川の水が溢れ出した

(孤独な独白が掘り起こされる)

胸骨の狭間を裂いて
海の水が零れ出した

(虚言を齎す陽が差し込む)

真白い骨が尖ってゆく
鏡の中で番犬が唸っている

跫音ばかり憶える耳が
幻聴と空耳を抱いて貝に成る

(月が虚無と虚言を宿す)

妄言に含まれた4月の指が
中指だけを失くし  た

舌先が痺れて青紫に染まる
地面の上へ落ちて蔓

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現代詩フォーラムに投稿した詩:1

【曲線の音色】

夏の夜の終わりに
妖精の輪に足を踏み入れた

短針を飲み込んで
長針を吐き出した
秒針の枯渇が凍結してゆく
三針の傷痕が開いてゆく

真白いシーツの奥で蠢く
化生に成りつつある獣

冷蔵庫の低い唸り声
魚眼レンズの海鳴り
白砂が靴の中で歌い乍ら
浜木綿の色が滲む

歌集を啄んだ指先
爪先は背表紙を蹴飛ばした

秋の早朝
静かに枯れ落ちる言葉
血生臭いのは疼く所為
白い魚の腹が月に

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