現代詩フォーラムに投稿した詩:8
【冬籠り】
僅かに傾いた椅子が軋む
陽溜まりから肋骨を取り出し
沈んでゆく西日を突き刺し
半熟卵の月を呑み込んだ
蛇の鱗を舵に襞は薄く透き通る
大きな川の真ん中で溺れ
死んでゆく指先の硬化された皮膚
乾いた舌先は嘴と絡んだ
水分は唾液に質量を求める
厳かに背表紙が歪んでしまう(前に)
背徳と悪徳で呪縛を解き放つ(前に)
進んでいる時間と巻き戻す杖(前に)
産前の背なに鰭が生える(後に)
前後左右する中
胸骨の狭間を開いて
鍵を差し込んで
白磁の人形は笑んだ儘
幽かに発光する卵を剥く
あの毒牙を取り込んで
埋まってゆく首筋の遠い脈動
羨望する櫻の樹洞
冬を越すには丁度良い
孕んだ闇を膨らませ
産まれ落ちる嬰児の逆しまの夢
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