現代詩フォーラムに投稿した詩:3

【御使い】

夜半の馨を残して
朝焼けは落ちてゆく

頬に残らなかった
昔日の跡を眺める

三面鏡の奥で波紋が広がる
優雅な尾鰭が翻る

昼下がりの葉の翳り
白昼夢に耽溺し
蝸牛が休んでいる

列んでいる足迹が
追従を許しているのか

(容易いのは絶やすことの方だろうか)

糸電話から春が産まれてくる
さわさわと柔らかな風が
前髪ばかりを揺らして

少しずつ置いてゆく
細胞を塗り替えるように

(歓びは噎ぶように綻んで)

季節外れの花が枯れるまで
光を吸収しようと目論む

荒れ果てた土地で
心の栄養を補う審美眼
鋭い第六感の皮膚を立たせて
血は眠らずに空を飛ぶ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?