知らなければ治せない『うつ病の思考論』〜ネガティブ思考からの脱却術〜
みんながうつ病について勘違いしてるんじゃなかろうかと思うことが一つある。
精神科医もnoteを書いてるうつ病患者の人も。
うつ病の症状にネガティブな思考に陥るパターンがよくあると思う。
普通のネガティブ思考はどうやって生まれてくるのかというと、私が思うに、
①嫌なことがあった→②自分に否定的な考えが生まれる→③嫌な気持ちになる→④①〜③を繰り返す=ネガティブ思考
というのが通常じゃなかろうか。
うつ病になりやすい人にもともとこういう考え方の人が多いとか、こういうプロセスでしか物事を見れないというのは、そんなに正しくない。
実際のうつ病のネガティブ思考のプロセスというのは、私の長年の経験上、
①何もないのに嫌な気持ちになる→②嫌な気持ちになった原因を無意識に探す→③嫌な気持ちになる出来事を見つけたりでっち上げる→④嫌な気持ちになる出来事のことが頭の中で反響する→⑤自分に否定的な考えが生まれる→⑥さらに嫌な気持ちになる→⑦ここまでのプロセスの繰り返しが強化される
こんな感じじゃなかろうか。
ポイントの一つは、最初の「①何もないのに嫌な気持ちにる」というところだ。
これは普通の健常者には起こり得ない。
「嫌な気持ち」というのは、何か具体的な出来事に対する、防御的な本能の結果であるので、何もないところに気持ちが発生している点が、うつ病患者のおかしな点だ。だから、うつ病というのは、病気だし、健康な状態と比較して異常だと言える。
多くの精神科医、うつ病患者の勘違いの一つはここにある。ネガティブ思考が癖ついた結果うつ病になったり、うつ病はただネガティブ思考を強化する病気ではないのである。
また、②と③の「嫌な気持ちになった原因を無意識に探す、でっち上げる」というのもポイントだ。
要は、これをやらなければ負の思考のループにははまらずにすむはずだ。健康な人ならなおのこと、そう思うに違いないが、これは、うつ病になってみると避られないし、避けようがない。
人の脳というのは面白いもので、整合性を取ろうとする性質がある。何もないところに自然発生的に嫌な気持ちが生まれるのは通常あり得ないため、何か理由があるはずだと、辻褄合わせを勝手にやってしまうのだ。
便利だが、こちらとしては実に困った機能である。
私たちうつ病患者としては、ネガティブな思考に囚われがちなのは、自然で仕方のないことなのだと承知しなければならない。
そうでないと、「またネガティブ思考をしてしまった、だから私は…。」などとさらに新しいネガティブサイクルを回す羽目になる。
④の「嫌な出来事が頭の中で反響する」、⑤の「自分を否定する」段階になると、意識的にネガティブ思考を止める余地が出てくるのは、このような事実を認めることができた先にある。
①から③のプロセスは、病気の症状だったり、脳の無意識的な働きだということを述べた。したがって、頭の中でこのようなプロセスが起きても、「別に病気だし、脳が勝手にそう思っているだけだし、仕方ないよね」と思えることで、自分を過度に否定することを防ぐことができる。
逆に言えば、このような工夫を知らなければ、自分を過度に責めすぎる原因になってしまうだろうし、そうはなってほしくない。
うつ病という強敵に立ち向かうためには、休息という防御の構えと、テクニックという武器が不可欠だ。
ストレスや疲労そのものから身を守る盾としての休息ばかりでは、一時的に症状が良くなったとしても、いざ新しい環境、ストレスに身を投じた時に同じた場合、同じステップでまた病気が発病する可能性がある。
今までにはない知識や工夫が、武器となり私たちのうつ病が再発するのを積極的に止められるはずだ。
この記事で紹介した理論はまさにテクニックの一部として機能し得るが、ただの一矢に過ぎない。
様々な武器を携えるためにも、実際どんなスタイルが自分に合っているだろう?と、鍛冶屋で色々な武器を吟味するように、書籍、動画、snsなどあらゆる情報筋から自分の手に馴染む知恵を取り入れていく必要がある。
noteもまたその鍛冶屋の一つかもしれないが、是非とも上手く活用していきたいものである。