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【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

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メインで書いている現代を舞台にしたダークファンタジー小説のシリーズです。 重い宿命を背負った少年・ウツロが仲間たちとの出会いをとおして成長していくビルドゥングス・ロマンになってお…
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#ファンタジー

第56話 魔女グレコマンドラ 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「グレコマンドラ・ジョーンズ……あの悪魔のような天才科学者が、わしに誘惑をしかけてきたの…

朽木桜斎
8時間前

第55話 ウツロなアクタ 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「わしが似嵐の家を飛び出した、そのあとの話だ……」  似嵐鏡月は遥か遠い眼差しで、昔のこ…

朽木桜斎
1日前
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第54話 姉と弟 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

 凄惨な過去を話したあと、山犬の姿の似嵐鏡月は、その目から赤い涙を流した。  その場に立…

朽木桜斎
2日前
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第53話 人間 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

<作者から> 今回は残酷描写が特に強めになっております。 最大限配慮いたしましたが、閲覧…

朽木桜斎
3日前
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第52話 毒虫の鏡月 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「人間って、何だろう?」  昼下がりの竹林を着物姿で散策しながら、当時十六歳の少年・似嵐…

朽木桜斎
4日前
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第51話 ブラック・ドッグ 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「これがわしの、ブラック・ドッグだ……!」  似嵐鏡月の体が、山のように盛り上がった。 …

朽木桜斎
5日前
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第50話 あわれみ 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「雅っ、しっかりして!」 「触んな、豚女……!」 「雅……」  気づかう真田龍子の手を、星川雅は撥ね退けた―― 「友達ぶって、いい人のフリしやがって」 「雅、わたし、そんなつもりは……」 「ほら、それだよ。善人ぶってさ、吐き気がする!」  立て続けに呪いの言葉を吐く。 「何か言ってみろよ、豚女」  真田龍子は、なんとかして星川雅の心を開きたいと思った。  そのためには、まずこちらの心を開く必要がある――  彼女はそう、決心した。 「豚でかまわない」

第49話 兄弟 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「見ないで……龍子、柾樹……」  少女の顔が、悲しみにゆがんだ――  ウツロとアクタを捕…

朽木桜斎
7日前
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第48話 涙 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ウツロ、こんなわたしを、愛してくれる?」  ウツロには確かに見えた。  そう言った少女…

朽木桜斎
8日前
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第47話 ゴーゴン・ヘッド 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ウツロ、これがわたしのアルトラだよ」  伸びあがった黒髪が、ヘビのようにしゅるしゅると…

朽木桜斎
9日前
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第46話 狂態 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ドチクショウがあああああっ!」  地面に両手をつき、天を仰いで、少女は咆哮した。 「な…

朽木桜斎
10日前

第45話 決着 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「こうするんだよ――!」  脇腹を押さえていた右手の阿呼を顔の前、左手の吽多を頭の後ろへ…

朽木桜斎
11日前

第44話 絶技 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「叔父様、こんなのはどう?」  星川雅は背後に跳躍すると、桜の木の枝をステップ台にさらに…

朽木桜斎
11日前

第43話 処刑 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「叔父様、似嵐の家名を汚した罪で、処刑いたします」 「面白かったぞ、雅。アクタとウツロをすっかり骨抜きにしたな。あの腑抜けたツラ、見てられんわ」 「同じ穴のムジナでしょ、叔父様? 人間を玩具にするという点においてね」 「ほざけ雅。ミイラ取りをミイラに。お前もわしの玩具になってもらうぞ。今度こそバラバラに切り刻んでその肉片を傀儡仕掛けにし、姉貴の前で人形劇としゃれこむのだ」 「ああ、やだやだ、下劣な男。わたしをそんな目で見ないでくれる?」 「ふん、悪女が。そうだ、どう