マガジンのカバー画像

【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

54
メインで書いている現代を舞台にしたダークファンタジー小説のシリーズです。 重い宿命を背負った少年・ウツロが仲間たちとの出会いをとおして成長していくビルドゥングス・ロマンになってお…
運営しているクリエイター

記事一覧

第52話 毒虫の鏡月 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「人間って、何だろう?」  昼下がりの竹林を着物姿で散策しながら、当時十六歳の少年・似嵐…

朽木桜斎
12時間前
1

第51話 ブラック・ドッグ 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「これがわしの、ブラック・ドッグだ……!」  似嵐鏡月の体が、山のように盛り上がった。 …

朽木桜斎
1日前
2

第50話 あわれみ 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「雅っ、しっかりして!」 「触んな、豚女……!」 「雅……」  気づかう真田龍子の手を、…

朽木桜斎
2日前
1

第49話 兄弟 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「見ないで……龍子、柾樹……」  少女の顔が、悲しみにゆがんだ――  ウツロとアクタを捕…

朽木桜斎
3日前
1

第48話 涙 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ウツロ、こんなわたしを、愛してくれる?」  ウツロには確かに見えた。  そう言った少女…

朽木桜斎
4日前
1

第47話 ゴーゴン・ヘッド 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ウツロ、これがわたしのアルトラだよ」  伸びあがった黒髪が、ヘビのようにしゅるしゅると…

朽木桜斎
5日前
1

第46話 狂態 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ドチクショウがあああああっ!」  地面に両手をつき、天を仰いで、少女は咆哮した。 「なんでだっ!? なんで思いどおりにならないんだっ!? わたしが支配者だぞ!? 帝王はわたしなんだ! なのに、なのにっ! なんでだあああああっ!」  星川雅が抱える異常な支配欲求――  それが満たされなかったときの成れの果て。  幼児性と狂気の暴発である。  もはや自分ではコントロールできない。  制御不能となった彼女は、機械のようにひたすら大地を殴った。  だだをこねる子ども

第45話 決着 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「こうするんだよ――!」  脇腹を押さえていた右手の阿呼を顔の前、左手の吽多を頭の後ろへ…

朽木桜斎
7日前

第44話 絶技 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「叔父様、こんなのはどう?」  星川雅は背後に跳躍すると、桜の木の枝をステップ台にさらに…

朽木桜斎
8日前

第43話 処刑 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「叔父様、似嵐の家名を汚した罪で、処刑いたします」 「面白かったぞ、雅。アクタとウツロを…

朽木桜斎
8日前
3

第42話 躾 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

<作者より> 本回は星川雅の人格を表現するため、性描写が強めになっております。 閲覧に際…

朽木桜斎
9日前
6

第41話 似嵐家 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「ウツロくん、この男はね、わたしの母の弟、つまりわたしの『叔父』に当たる人なわけ。とても…

朽木桜斎
10日前
1

第40話 出現 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「『家族』の揉め事に口を挟まないでもらおうか? 出てこい」  桜の並木が作る闇の奥から、…

朽木桜斎
11日前
3

第39話 地獄 【自作小説】桜の朽木に虫の這うこと

「アクタが兄。ウツロ、お前が弟だ。つまりわしは、お前たちの実の父親ということになるわけだな」  なんだって?  俺とアクタが兄弟で?  アクタが兄さんだって?  へえ、そうなのか。  なんだかおかしいや、あはは。  で、お師匠様が?  父さんなんだ。  ふーん、えへへ。  知らなかったな~、びっくりだ。  放心したところから、ウツロの精神はすでに気の触れる寸前にさしかかっていた。  師の口から発せられる言葉のひとつひとつが面白くて仕方がない。  そんな