【壁シリーズ】養老孟司:バカの壁【ビジネス書の要約ブログ】
この記事は3分で読めます。📚 2021/12更新
今回の記事も自身のアウトプットという目的でのnoteです。
新入社員時から180冊読んできた中から、メモをぱらぱら見返しながら書籍の紹介記事を書いてまいります。最近も読書が増えています。
本日は最近KindleLimitedで無料だったので読ませていただいた「バカの壁」です。養老孟司さんの壁シリーズの初めの著書ですね。
<こんな人におすすめ>
・誰とでも「話せばわかる」と信じている人
・「わかったつもり」になる人
・「自分は変わらない」と思っている人
・バカの壁の”向こう側”と”内側”について考えたい人
個人的評価:☆☆☆☆★ 前半までは☆☆☆☆☆
「話せばわかる」なんて大ウソ! イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人。互いに話が通じないのは、そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。その「バカの壁」とは何か……?
2021/12までAmazon Kindle Unlimitedで無料で閲覧できます。
1.全体の感想
導入は、「バカの壁とは、学問が行きつく自分自身の脳に存在するもの」「人生でぶつかる問題に正解なんてない。だから読者には著書を読んで異なる意見を持つことを期待する」としています。
この受け取り方ができないと、読んだ後も「何だこの書籍は??」「当たり前の内容では」で終わってしまう書籍な気がしました。
まず、”バカの壁”と聞くと「バカ」と「そうでない(=優秀な)人と」の境界にあるものとして受け取りそうです。
しかし私の理解としては、バカの壁とは【自分の脳の中で、”思考停止して終わる領域”と、そこか踏み出し”答えのない世界で、物事について考えようとする領域”の境界】としています。誰しもが自分自身の中に持つ壁であり、人と人を隔てる壁ではなく、自己の境界なのではないでしょうか。
その境界の存在をインパクトかつコンパクトな表現で表したことは、この書籍が大ヒットとなった一因かと思います。”バカの壁”なんてあまりにも耳にスッと入ってきます。
また、「深く考えず分かった気になるのは思考停止」と筆者が一貫して主張するように、気になるものに対しては分かった気にならず実際のモノに触れたり読んだりすることが(自戒を込めて)必須だと思いました。
2.本書の章立て
本書は以下のように構成されております。4章までは理解できるのですが、5章以降から難しくなってきました。
※筆者がまとめた内容ではなく、筆者の話・独白を編集部の人間ががまとめたもので、正直ロジカルな組み立てになっていないところが読みにくい方はいらっしゃいます。
1章 「バカの壁」とは何か
2章 脳の中の係数
3章 「個性を伸ばせ」という欺瞞(ぎまん)
4章 万物流転、情報不変
5章 無意識・身体・共同体
6章 バカな脳
7章 教育の怪しさ
8章 一元論を超えて
3.印象に残ったこと
☆現実はつかみどころのないもの。
芥川龍之介の藪の中(同じ事件に対して当事者らが三者三様の真相を口にする)、羅生門(下人が老婆の返答をうけて悪事を働く決心をする、)を例に出していました。
もちろん起こった事実は一つでも、登場人物の気持ちや立場によってそれぞれの話す内容は異なる。それを外部の人間が掴もうとしても困難だということかと思います。
更に具体例で9.11の事件を挙げています。ニュースや新聞で何度も見ても、何が起きたか。あの時、その場にいた人たちの感覚までは分からない。
「現実はそう簡単にわかるものではないという前提を考えず、分かった気になる」ことの例として分かりやすかったです。
☆ヘラクレイトスの言葉(万物流転)、平家物語、方丈記
成長・老化を繰り返す人間にとって昨日と今日が全く同じ人物であることはない。という主張です。
例に出した3つの中でも、日本文学の2つは「そういう意味や意図がある文章だったのか」と私の中での受け取り方が初めて変わりました。
いままで授業で習ってもただの文章や問題文にしか見えないものが、意味のある形で私に入ってきましたことを感じられました。
平家物語:祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
➾人間が変わっていけば、それに合わせて鐘の音(響き)の聞こえ方は変わる。
方丈記:ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
➾変わらないように見えて実は変化する人やモノを川に例えた。
☆東京大学医学部の口述試験「並べた二つの頭の骨の違い」
ある学生が「こちらの骨の方が大きい」と稚拙な回答をしたことに、著者は普段から実物からモノを考える習慣のなさを感じたとありました。
あなたならどこまで考えられるでしょうか。
私が考えつくのは(もし知見があるならば)どんな生き物か、性別、年代、劣化・損傷具合、などでしょうか。そこから医学的な話に繋がるための材料を言いたいですね。
悩んだ末に「大きさ」しか出なかったのは、出題の意図や対象について考える習慣がないと受け取られてしまいますね。※もちろん私よりも遥かにペーパーテストは優秀な方ではあるのでしょうが、考える力とは難しいです。
3.まとめ
恐らく、バカの壁とは【自分の脳の中で、”思考停止して終わる領域”と、そこか踏み出し”答えのない世界で、物事について考えようとする領域”の境界】のこと。
強固な壁の内側に居続けることは楽ですが、壁の向こう側に目を向けなければ、自分と違う立場のことは見えなくなる。当然、話は通じなくなる。というまとめです。
私自身、バカの壁の内容をすべて理解しきれていない範囲もあるかと思います。そこでわかった気で終わらずに、考えて知ろうとすることがバカの壁から抜ける第一歩かと感じました。
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以上