歴史好きが全力でおすすめ!読めば人生が変わる三国志小説【5選+α】
みなさん、三国志はお好きですか?
私は小説である演義も、歴史書である正史も大好きです。
小学校のときに、母が持っていた三国志の小説を読んだことがきっかけで、歴史の面白さに気づきました。
普段は古典や歴史の言葉を中心にご紹介しているのですが、今回は初心に帰って、三国志を扱った小説をご紹介しようと思います。
世の中には色々な三国志本がありますが、これからご紹介するのは、私が個人的に「これだけは絶対に押さえておきたい!」と思った、特に思い入れのある作品です。
「三国志に興味があるんだけど、歴史ってなんか難しそう・・」
「三国志を読みたいんだけど、どこから始めたらいいのかな?」
「教養の一環として歴史に触れたいんだけど、なんか面白い本とかない?」
と悩んでいる方は、ぜひ、今回ご紹介する中から気になった作品を読んでみてほしいです!
私の妹も少し前に三国志を読んでくれまして、「え、めっちゃ面白い、もっと早く読めばよかった!」と言ってくれました。
もともと歴史に興味がない子だったのですが、今では東京国立博物館にも通うほどの歴史好きになっています。
かれこれ10年くらいかけて「三国志面白いよ、はじめに読むならコレがおすすめだよ〜」と布教した甲斐があったというものです。
ということで、「歴史に興味のなかった妹」でも「無類の歴史好き」になってしまうくらい面白い三国志の小説をご紹介します!
曹操を中心とした歴史ロマン:『興亡三国志』
1冊目は『興亡三国志』です。
(著・三好徹、出版:集英社文庫)
『三国志演義』は劉備と諸葛亮が主人公で、曹操が悪役の物語です。
そのため、「演義」をベースとしたその他の三国志本でも、大抵曹操はラスボス的な立ち位置となっています。
しかし、こちらの本は違います。
曹操がメインなのです!
著者の三好徹さんは曹操の漢詩を読んで感動し、「あれほど素晴らしい詩を作る人が悪役であるはずがない」と思ったことがきっかけで、曹操を主役に据えるようにしたそうです。
曹操への熱い思いを感じますね。
ですので、内容は「演義」をベースにしてはいますが、曹操の人間像を克明に描き出し、曹操を軸に話が進む点がポイントです!
曹操の心理描写も相まって、次第に曹操に感情移入してしまいます。
しかも、流れは分かっていても、思わずハラハラドキドキしてしまうシナリオは圧巻です!
あなたも読み終わるころには曹操ファンになっているはず!
いつの間にか表紙のデザインも変わっていて、以前よりもさらにかっこよくなっていますね。
こっちも欲しい!
五斗米道の関係者視点が新しい:『秘本三国志』
2冊目は『秘本三国志』です。
(著:陳舜臣、出版:文春文庫)
三国志は大抵「黄巾の乱」という反乱から物語が始まります。
これは当時勢力を急拡大していた黄巾党という宗教によるものです。
頭に黄色い布を巻いていたから「黄巾党」というのですが、実はこの黄巾党の他にも宗教勢力が存在していました。
それが五斗米道です。
信者に五斗の升でお米を寄進させたことが名前の由来です。
本作ではその五斗米道の関係者として陳潜(ちんせん)というキャラクターが登場し、彼の視点で物語が進行します。
五斗米道は215年に曹操に降伏するまで、三国志のメインストーリーにはあまり関わってきません。
その特徴を活かし、当時の一般的な人々から見た三国志世界を描写しています!
また、「陳潜」の視点を通すことで「演義」とはまた異なるストーリーが展開されるので面白いです!
そして、私が初めて読んだ三国志でもあります。
初めて見る人物名や官職名が難しく、最初は読むのに苦労したのですが、それを補って余りある歴史ドラマが最高で、小学校にも持っていって休み時間に貪るように読んでいました。
今でも思い出深い作品です。
後漢の衰亡から丁寧に描かれる歴史叙述:『三国志』
3冊目は宮城谷昌光さんの『三国志』です。
(著:宮城谷昌光、出版:文春文庫)
古代中国を舞台にした小説といえばこの人。
春秋戦国時代に関する豊富な著作があり、どれも高く評価されています。
私も大好きです!
この本の特徴は、後漢王朝が衰えていくところから描かれる点。
通常、三国志の物語は後漢王朝が滅亡寸前のところから始まるのですが、この本では三国志の英雄たちが登場するよりも少し前の時間軸から物語が始まります。
登場するのは曹操の祖父である曹騰(そうとう)です。
三国志を読んだことのある人からすると、「曹騰って、曹操の来歴を説明する際に名前だけ出てくる人だよね」というくらいの認識だと思うので、とても新鮮に感じられるはず!
また、当時の政治的背景となる王朝の内部の話から描かれるので、三国志の時代背景も把握することができます!
宮城谷昌光さんの作品は物語も最高なので、のめり込むこと間違いなしです!
これぞ漢たちの歴史ドラマ『三国志』
4冊目は北方謙三さんの『三国志』です。
(著:北方謙三、出版:ハルキ文庫)
ハードボイルドな小説といえばこの人。
著作として『水滸伝』も有名ですね。
本作の特徴は漢たちのドラマです!
己の野望を叶えるため、義に身を捧げるため、多くの英雄たちが出会い、争い、滅んでゆく様は、どこか切なさも感じさせます。
三国志を知らない方でも、歴史の面白さを直球で感じられるはず!
手に汗握る展開も最高です!
個人的には、1冊あたり300ページ弱なのもポイント。
1冊が薄いので紙でも持ち運びやすいですし、電子でも一気読みがしやすいです!
三国志を世に知らしめた原点:『三国志演義』
5冊目は『三国志演義』です。
(著:羅貫中、訳:立間祥介、出版:徳間文庫)
「三国志」には、小説である『三国志演義』と、正史である『三国志』の2種類があります。
一般的に「三国志」と呼ぶ場合は『三国志演義』を指す場合が多いのですが、これは『三国志演義』がこの本はその『三国志演義』の日本語訳版です。
つまり、小説版三国志の原点ともいうべき本なのです!
しかも、改定新版の巻頭には登場人物表と詳細な地図が、巻末には略年表がついているので、三国志初心者でも全体像を把握しやすい!
文字も比較的大きめで、人物名や名称にはルビも振ってあるので、純粋に読みやすいのもポイント!
章末には訳者による注も用意されており、背景がわかりにくいところの補足説明もしてくれる!
なんて読みやすいんだ徳間文庫。
あと表紙とカバーデザインがめちゃくちゃかっこいいですよね。
私は紙で持っているのですが、手に取ったときに思わずニヤニヤしてしまいます。
初心者の方にとって、1巻の前半部分は背景知識の点で少し分かりにくいかもしれませんが、安心してください。
1巻の後半から尻上がりに面白くなります。
2巻からはあの有名な諸葛亮や周瑜も登場しますし、特に赤壁の戦いのシーンは興奮すること間違いなしです!
万人におすすめできるベストセラーです。
※2023年ごろまでは新刊を見かけたのですが、2024年に入った頃から在庫切れが目立つようになりました。今は主に中古での流通がメインのようです。
まとめ
以上の5冊が、私が全力でおすすめする三国志になります!
今回ご紹介した作品はどれも読みやすさと面白さが抜群なので、どれも徹夜してしまうこと間違い無しです。
個人的には金曜の夜とかに読み始めるのがおすすめです!
日々の息抜きと教養の一環として、三国志小説はいかがでしょうか?
※下に番外編を追加しましたので、良ければそちらもどうぞ!
番外編(2024年7月10日更新)
番外編として、吉川英治さんの三国志も名著です。
少し古い作品なので今回のリストには入れていなかったのですが、今ならKindle UnlimitedとAudibleで読み放題・聴き放題になっています。
ちなみに、Kindle Unlimitedでは他にも様々な古典を読むことが可能です。
私も5年以上加入しているのですが、この1年ほどで歴史や中国古典のラインナップが豊富になってきました。
読み放題には、『論語』や『荀子』といった鉄板本だけではなく、本文中でもご紹介した宮城谷昌光さんの本などもラインナップされていて、ワクワクが止まりません!
特に宮城谷先生の本は大好きなので、家では紙で、外では電子書籍で楽しみながら利用しています。
「三国志にも興味はあるけど、他にも色々読んでみたいな」という方の初めの一歩としておすすめです。
また、電子書籍が苦手な方や、そもそも本を読む時間がないという方には、Audibleをぜひ一度試していただきたいです。
もともとビジネス書の名著や小説の朗読がメインのサービスだったのですが、昨年くらいから歴史系・教養系の書籍にも力を入れてきています。
私は3年以上利用しているのですが、プロの声優・ナレーターによる朗読はとても聴きやすく、通勤中や家事のタイミングでも本を楽しむことができて、とても便利です。
歴史小説でお馴染みの司馬遼太郎さんの短編も複数配信されています。
歴史小説以外にも、『論語』や『老子』、『孫子』なども配信されているので、社会人の教養として色々な作品を耳で楽しむのも一興かと思います。
Kindle UnlimitedやAudibleを通して、さまざまな歴史・古典系の作品に触れてみていただきたいです。
きっと世界が大きく広がると思います!