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定期的な振り返りがより良い人生を形作る(『荘子』則陽篇)

今回取り上げるのは『荘子』則陽篇からの言葉。

行年六十にして六十化す
(読み:コウネンロクジュウにしてロクジュウカす)

『荘子』則陽篇

60歳になるまでに思想や考え方が60回変化した、という意味。

衛という国にいた蘧伯玉(きょはくぎょく)という賢人が60歳になったとき、過去59年間を振り返って自分を見つめ直したという話からきています。

この賢人は1年ごとに過去の自分を振り返り、良いところは伸ばして、間違っているところは改めていったわけですね。

それを60年間繰り返した結果、周囲から賢人と呼ばれるほどの人物になったのです。

つまり、1年ごとに我が身を振り返って改善を繰り返していけば、いずれ素晴らしい人物になることができる、ということですね。

定期的な振り返りの大切さを語っています。


定期的に振り返って改善を繰り返していく手法としては、トヨタの「カイゼン」が有名です。

海外でもその実績は高く評価され、そのまま「KAIZEN」で意味が通じるほど。

少し前には時価総額も40兆円を超え、日本で圧倒的な強さを発揮しています。

これも小さな試行錯誤の積み重ねが成し遂げた結果だと思います。

トヨタでは以下の手順で「カイゼン」を進めているそうです。

  • 現状把握

  • 問題解決のためのアイデア出し

  • 「カイゼン」の実施

  • 評価と修正

PDCAのような感じですが、これは個人の振り返りにも役立つ考え方だと思います。

例えば、『荘子』のように1年スパンで考えてみましょう。

  • 過去1年を振り返って現状を把握する

  • 問題点を洗い出し、改善案を検討する

  • 改善案を実施する

  • 1年後に実施内容の評価と修正を行う

このように考えると、個人にも「カイゼン」を当てはめることができるのではないでしょうか?

また、1年だと少し期間が長すぎるので、1~3ヶ月ごとに振り返りを行うのが良いでしょう。

  • 過去3ヶ月を振り返って現状を把握する

  • 問題点を洗い出し、今後3ヶ月の改善案を検討する

  • 改善案を実施する

  • 3ヶ月後に実施内容の評価と修正を行う

このようなイメージです。


ちなみに、私の会社ではOKRという目標管理手法を採用しており、3ヶ月ごとに目標設定と振り返りを実施しています。

Googleも取り入れている手法で、従業員の生産性向上に寄与すると言われているものです。

私はこれを個人単位に落とし込んで目標を管理しているのですが、定期的な振り返りを実施することで、

  • 自分が今どの位置にいるのか

  • どの点を改善したら良いのか

といったことが把握できるので、なかなか良いフレームワークだと思います。
(とはいえ、目標の立て方が難しいのが難点ですね・・・)

手法は「カイゼン」でもOKRでも何でも良いのですが、大事なのは定期的な振り返りです。

楽天創業者の三木谷さんも、著書の中で日々の小さな積み重ねの大切さを説かれています。

日々1%の成長を続けると、1年後には約37.8倍になるというお話です。

小さな改善の積み重ねが大きな成果につながるということですね。

行年六十にして六十化す
(読み:コウネンロクジュウにしてロクジュウカす)

『荘子』則陽篇

1年ごとに我が身を振り返って改善を繰り返していけば、いずれ素晴らしい人物になることができる、というお話をご紹介しました。

定期的な振り返りと小さな改善の積み重ねがポイントです。


実は、昨年オーディオブックで読んだ本にも似たような言葉が出てきまして、「『荘子』にも似たような言葉があったよね〜」とちょっと嬉しくなった記憶があります。

「明日は今日と違う自分になる、だよ」

『仕事は楽しいかね』,デイル・ドーテン(著),野津智子(訳),より

将来に漠然とした不安を感じている主人公に対して、とある老人から贈られたアドバイスです。

人生をより良くするためには、昨日の自分と比べて少しでも成長していくことが大事ということ。

今回の『荘子』の言葉と同じ意味合いですね。

洋の東西も、時間の流れも関係なく、いつの時代のどの場所でも変わることのない大切な考え方なんだなぁと改めて感じました。

油断すると日々の忙しさにかまけて振り返りを忘れてしまうので、ここらで一度初心を思い出して頑張っていこうと思います。


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凪平コウ@古典・歴史愛好家
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