016「最果ての季節」わたしはますます、四時にそっくりになったでしょう
す ふいに、柁夫の頭がわたしの左肩にもたれかかった。持っていた缶コーヒーが手の中で波打つ。わたしは、からだを動かすことができなくなってしまう。
この重みを、待っていたのではなかったか。
妙な期待が湧いてくるのを、わたしはあわてて打ち消した。隣にいるのは、映画の中の男ではない。わたしも、男の妻なんかではない。わたしたちには同じ血が流れている。それでも、柁夫の告白に少なからずも安堵しているのは事実だった。
ここから先は
1,394字
学生時代にとある公募で一次審査だけ通過した小説の再掲。
まさかのデータを紛失してしまい、Kindle用に一言一句打ち直している……
小説「最果ての季節」
300円
❏掲載誌:『役にたたないものは愛するしかない』 (https://koto-nrzk.booth.pm/items/5197550) ❏…
「星屑と人魚」の冊子制作費に活用させていただきます!(毎年、文学フリマ東京にて販売しています)