『千夜千字物語』その30~単純明快
「ヨウコのことが好きなんだ」
ヨウコは一瞬空いた間を埋めるように
「やめてよー」
と笑って返した。
それでもフミトは真剣だと言った。
そんなことは言われなくても彼を見ればわかってた。
ただ冗談であって欲しいとの思いから笑って返したのだ。
できるならヨウコはこの関係をずっと続けたかった。
だからこそ前々から、
今はそれなりに幸せだし、今の生活をずっと続けて生きたい
ということを幾度となくフミト伝えてきた。
そう言えば彼が告白なんてしてくるはずがないものだと思っていた。
なぜな