「依存症ビジネス」についての依存症になるほどおもしろい本
名前負け、してません。
今年読んだ本の中で暫定トップ5入りする本に出会いました。その名も
タイトルに惹かれて手に取る本は数あれど、400ページ超えで一気に読ませるような本はそうそうないのでは。もしかしてこれも「依存症ビジネス」…?軽い冗談はさておき、早速中身について書いていく。
ジョブズは自分の子どもにはApple製品を与えなかった
まずプロローグからしておもしろい。現代人の多くが馴染み深い製品やサービスをあげ、開発者たちや専門家たちのほとんどは、実際には自分や家族はそれを使わないようにしているという話。なぜなら、それらの「依存性」を一番よく知っているから。
今は亡きスティーブ・ジョブズもあんなにApple製品の良さを謳いながら、自分の子どもにはApple製品を与えなかったのだとか。
目次だけでもおもしろい。でも中身はもっとおもしろい。
この本、目次だけでもまあおもしろい。そして中身はもっとおもしろい。下記に載せる目次のあとに、私が特におもしろいと思った箇所を3つピックアップしようと思う。
「好き」
=「ほしい」ではない!?
1つ目に取り上げたいのは、「好き(like)」=「ほしい(Want)」方程式への疑問だ。大抵の場合、何かに依存している人はその依存対象を「ほしい」とは思うが、「すき」かどうかでいうとまったくすきではないのだという。例えば、最新モデルのPCや車があったとしよう。「ほしい」とは多くの人が思うかもしれない。でも、それを本当に「好き」な人はどれくらいいるのだろうか?
【好き」だから「ほしい」と思うことは大いにありうると思う。けれど、その逆の「ほしい」から「好き」も成り立つかというと、決してそうではない。ありませんか?「ほしい」と思って買ったけど、買ってみたら大して「好き」じゃなかったなという買い物…。私はある。スーパーでかなり割引されていた商品。いつもは買わないのに、ついつい買ってしまって結局食べずにダメにしてしまう…そんなことが。
いつのまにか「目標」依存症になっている?
そして2つ目。昨今の世の中には「目標」に満ち溢れている。やれ売上を伸ばすために目標設定しましょう、やれ健康であるために目標を掲げましょう、やれ圧倒的に成長するために目標は高く保ちましょう…。本書は言う。
どういうことか。著者は英ガーディアン紙のオリバー・バークマン氏の言葉を引用してこう説明する。
目標を掲げすぎると、「他人」というライバルがいなくても、常に一人で「目標」と競争を続けることになる。時折自分が感じる精神的・肉体的疲労感はこれが原因だったのかもしれない。
「する」という選択 vs 「しない」という選択
3つ目。動画配信サービスなどを使っている人なら、次の動画が「自動再生」されるという体験をしたことがあるかもしれない。
2012年8月、Netflixは「自動再生」機能を導入した。それまで、視聴者は何かの動画を観たあと、次の動画を観るには自主的に「観る」という選択が必要だった。けれど、「自動再生」機能が生まれると、次の動画は勝手に始まるようになり、視聴者はそれを止めるには自分で「観ない」という判断をしなければなくなったのだ。
その結果がどうなるかは容易に想像がつくかもしれない。結果は本書で確認してもらうとして、他にも、「臓器移植をします」というチェックボックスへのチェック率と「臓器移植をしません」というチェックボックスとのそれを比較した事例も本書には収められている。
「依存」はやめられる
本書では様々な「依存症」についてスポットを当てるだけでなく、具体的に依存をやめる方法についても詳しく書かれている。私もここのところ自分の生活で実験してみているところだ。最後に、著者アダム・オルターのこの言葉でこのnoteを終えようと思う。
***
<参考>