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騎士になるのは何のためなのか? その問いに対する明確な答えを私は持たない。 誰も知…
遠征の帰還から数日が経っても未だに救護室で目の覚めないリリア。その側でウェルジアは静か…
生徒会の面々が揃って教員棟にいるマキシマムの元へと訪れていた。緊急遠征の引率であった教…
マキシマムに名を呼ばれた男もまた入室時に鋭かった目線を緩め同じように見つめ返して首を傾…
「ようこそ、ティルス・ラティリア様。遠路はるばる足をお運び頂き誠に恐縮です。はじめまして…
時は遡り、他の班が学園を出立したのを見送った後、小隊規模でユーフォルビア領へと特殊な遠…
西部生徒会のメンバー達の声が生徒会室内へと響いている。 「まだ、ティルス様が学園へ戻られていないんだわよ?」 サブリナが珍しく会議の最中に食べ物も持たずに心配した表情を見せる。いつもであれば何かを頬張りながらいる事が多い彼女がこのように神妙にしている様子が室内の緊張感をいつもより膨らませていた。 「ユーフォルビア領で何かあったのかもしれないな」 リヴォニアも冷静な佇まいで起こり得る可能性を示しつつ、その表情は曇っている。以前に言われた事がわずかに頭をよぎるがそ
「よし、みんな、進もう!」 レストを終えた生徒達は少しばかり吹きすさび始めた雪原を進…
「よし、みんな……準備はいいね? 絶対に生きて戻ろう!」 緊張で唇が乾いていく。決死の…
声の出ない女性と動けない自分が隣り合わせに天井をみつめている。 わたしのなまえはリニ…
「ここから先はどうだ?」 周囲を調べに行ったフェリシアが戻って来る。まだ少し緊張感が残…
視界に入ったその男の表情をウェルジアは知っていた。かつて自分もしたことがある顔。自らの…
その男もまた孤高に生きる人間だった。不自由のない街で生まれ育ち、何の不満もなく生きて、…
ウェルジアも二人から遅れてその足音に気付く。 (こんなに接近していたのに気配がない?) 明らかに学生とは異なるその風貌に警戒をせざるを得ない。この場所は人が到達する事が困難なはずのエリアにある洞窟のはずで誰かがいるなんてことはあり得ない。 「あらあら、こんなに簡単に倒されてしまったなんて予想外ねぇ」 倒れている巨体をそっと撫でるとまるで霧のようにホワイトグリベアの身体は消えていく。 「誰だ!?」 フェリシアが最大級の警戒を持って怒声を含んで問う。毛穴が逆立つ