マガジンのカバー画像

『自由進度学習』の進め方

16
自分で「考える」。自分で「選ぶ」。自分で「学ぶ」。 与えられた学びの効率は低い。 「じゃあ今日のめあてはね…」と始まる1話完結の授業からの脱却から始めたいと思っている。
運営しているクリエイター

記事一覧

孤立化した学びにならない為の「教師の発信」

「孤立化した学びにならないために」というテーマで話します。 私は自由進度学習をずっとやっているわけなんですけれども、これは以前もお話しましたが、教科の一人学びがオリジナルの実践なんですよね。なので、一工夫加えないと、やっぱり自習のようになってしまいがちというのは正直なところかなと思います。 教師の価値づけにも注意が必要 こつこつと個別で課題を進める時間で、教師の価値づけが「自分で進めてすごいね」とか「計画通りにやってるね」とか「黙々と取り組んでるね」という方向性だけだと、

習慣型国語のススメ

習慣型国語のススメというテーマです。習慣型国語ってのは、私の造語です。ググったら私の書いているnoteが一番上に出てきます。とてもおすすめですし、自身の学習との相性もいいと思うので、ぜひ最後までお読みください。 概要概要を話すと、国語を習慣にしてみませんかっていう提案なんです。なぜこんな提案をしているか、ちょっと、背景を先にお話しますね。国語って、小学生の間でめちゃめちゃ不人気な教科なんですよね。学研さんの1,200人を対象にしたアンケートなんですけど、嫌いな教科に20%の

『やまなし』自由進度学習

『やまなし』と自由進度学習というテーマでお話したいと思うんですけれども、最近校内研究とか授業公開とか、他校の授業協力の場でもよく見る場面があったので、私は授業していないんですけれども、自分ならこうするかなって考えながら授業を観ているので、忘れないうちに言葉に残しておこうかなというふうに思っております。 大事な前提 まず『やまなし』、教科書が変わって重点指導目標が変わりましたよね。「考えの形成」だったのが「精査解釈」に変わったのが大きな変化ですね。 今の「考えの形成」とか「

低学年での自由進度学習

今日は、低学年の自由進度学習への対応や取り組みについて述べていきます。今、低学年の担任をしていて、今後子供たちに任せた授業を志している先生もいらっしゃるのではないでしょうか?本記事が行動を起こすきっかけとなってくれると嬉しいです。 低学年の自由進度学習は可能なのか? 低学年の自由進度学習ですが、個人的には絶対できるなって思っています。だって子供たちは、慣れていますよ。幼稚園や保育園とか、それぞれによると思いますけど、私が見てきた場所は、子どもたちが自分の学び(遊び)を自ら選

自己選択できる授業だと、子どもは授業外でも勉強するようになる

自己選択・自己決定というテーマで書いていきます。 自由進度学習を根底から支えるのは自己選択・自己決定だよという話です。 自由進度学習、実際に試しに取り組んでみたって方から「すごい良かったです」「子供が生き生きしてました」「またやりたいです」って声を、本当によく、いただきます。 その方に、質問とかして話を掘り下げていくと、取り入れた瞬間にすぐ実感できるみたいなんです。なかなか教育的な手法ですぐに効果が出るってことはほとんどないと思うんですけど、この自由進度学習に関しては、

学習進度が遅れる子への個別対応

学習進度が遅れてしまう子への個別対応についてお話します。前回の投稿は仕組みに関する全体的な話をしましたが、今回は個別の関わりに焦点を当て、学習進度が遅れてしまう子への具体的な対応について考えます。 学習を通して、自分自身を知る学習は、経験を通して自分自身を知ることも非常に重要な時期だと思います。それでは、順を追って説明していきましょう。 計画する習慣を授業に組み込むまず1つ目は「計画性が不足しているタイプ」ですね。このタイプの子は、よく言えば「その瞬間を生きる」とでも言う

学習進度が遅い子が生まれる理由

「学習進度」に関して、いただいた質問にお答えしたいと思います。 質問内容は、学習進度が遅れてしまう子へのフォローや取り組みをどうしているかというものでした。こちらにお答えしていこうと思います。 仕組みから見直そう自由進度学習なので、子供たちに学習進度が可視化されているわけですから、心配になるのは当然のことだと思います。まず結論からお話しますね。結論は何かというと、仕組みから見直すことです。ぜひ、仕組みから見直してみてください。つまり、その子が学習進度が遅れていると感じるの

自分に合った「学び方」に出逢える漢字学習

漢字学習を子供たちに任せることで、子供一人一人が自分に合った学び方を見つけていくという話をします。 漢字学習における自由進度学習の概要については、以前の投稿で詳しく書きましたが、簡単に説明すると、次の4つのポイントがありました。 1. 子供たちは漢字をどんどん進めてもOK。進み具合の上限は設けない。 2. テストは金曜日だけでなく、木曜日や水曜日に受けてもよい。 3. 子供自身が希望すれば再テストOK。 4. 国語の最初の5分間を「漢字タイム」とし、毎日漢字の時間を設ける

任せる前の一斉指導

漢字学習を自由進度学習の手法で取り組み始めると、基本的に「自分でやろう」というスタイルになります。しかし、いきなり全てを任せると迷子になってしまう子もいるため、「基本的な漢字学習の方法」は徹底的に指導してから任せるようにしてください。 6月から任せるイメージをもった2ヶ月間私が新しく受け持ったクラスでは、最初の2ヶ月間は徹底して同じことを繰り返し教えます。ここはAIに任せたいくらい毎日同じことを言いますが、生身の人間が毎日同じことを言っているというメッセージも、実は強力だと

自由進度学習のデメリット

自由進度学習の学習スタイルを用いるデメリットについてお話したいと思います。メリットだけ書いていても不安になる方も多いと思うので、私の現時点で感じている反対側の部分も包み隠さずにお話したいと思います。 私としては、この部分はかなり策を練っていかないと難しいポイントが一つあります。それは、協働的な学びがかなり工夫しないと難しいという点です。 対話的学びが生まれなければ、深い学びに繋がらず、資質能力が育つことにも繋がりません。 個別最適な学びとの相性 自由進度学習は、個別最適

自由進度学習と漢字学習

漢字学習についてです。皆さんはそもそも、どのように漢字学習を指導されていますか? 先生になりたての頃や、新しいクラスが始まったばかりの時など、一斉一律で進んでいくパターンが多いのではないでしょうか。私も過去に、みんなで一緒に進めるパターンで指導していました。 漢字学習の指導方法を振り返って具体的には、月曜日と金曜日に20分ずつ漢字の時間を設けていました。金曜日の20分はテストの時間として、月曜日の20分はその週の国語の教科書に出てくる漢字を扱っていました。大体10個ずつぐら

自由進度学習のメリット

自由進度学習の学習スタイルを用いるメリットは本当にたくさんあります。本記事では二つに絞ってお伝えしたいと思います。 1つ目のメリット〜自分のペースで学べること〜一つ目は、自分のペースで学べることです。進める子がどんどん進めるという方に目がいきがちでですが(もちろんそちらもメリットですが) 私はむしろ、授業スピードが速すぎて困っていた子たちにとって、自由進度学習が大きな助けになっていると実感しています。今まで授業についていけず、理解が追いつかない子たちが、何度も繰り返し学ぶ

漢字学習を自由進度学習にした理由

皆さんは、「漢字指導」を、どのようにしていますか? 私は、最初の頃は、子どもたちと一緒に、一文字一文字、新出漢字を確認していました。 ・書き順チェック ・読み方チェック ・熟語の確認 そして、なぞったり、書いたりする時間をとります。出来た人から、先生にチェックをもらいます。 月曜日に、新出漢字を確認。月曜日から木曜日までの宿題と、その週の新出漢字を関連付ける。そして金曜日に10問テストを行います。 これらの方式の良いところは、大半の子ども達にとって、無理なく進めるペ

自由進度学習とは何か?その歴史と再注目される理由

自由進度学習とは、その名の通り、授業の進度を子供一人ひとりに任せ、各自が自分に最適だと考える学習計画を立て、自らの判断と責任で学習を進める授業の方法です。この学習スタイルのオリジナルは、1980年代の愛知県緒川小学校が、一人ひとりの個性に合わせた深い学びを実現するために積み重ねてきた実践に基づいています。 再注目される背景:令和の日本型学校教育 なぜ、歴史ある自由進度学習が今再び注目されているのでしょうか?その理由は、2021年の中央教育審議会の答申にあります。「令和の日