学習進度が遅れる子への個別対応
学習進度が遅れてしまう子への個別対応についてお話します。前回の投稿は仕組みに関する全体的な話をしましたが、今回は個別の関わりに焦点を当て、学習進度が遅れてしまう子への具体的な対応について考えます。
学習を通して、自分自身を知る
学習は、経験を通して自分自身を知ることも非常に重要な時期だと思います。それでは、順を追って説明していきましょう。
計画する習慣を授業に組み込む
まず1つ目は「計画性が不足しているタイプ」ですね。このタイプの子は、よく言えば「その瞬間を生きる」とでも言うのでしょうか。計画性がない子ってやっぱりいるんです。大人でも計画性に欠ける人はいますが、子どもたちもその日やりたいことを中心に勉強して、面白そうなことがあればそっちに移り、友達から話しかけられたらその話を優先してしまうことがあります。結果として、最終的には「勉強がつらい」「自分はダメだ」と感じてしまうことが多いですね。
このタイプの子には、まず「計画を立てる習慣」を身につけてもらうことが重要です。毎回数分でもいいので、その時間の学習目標を立てる習慣を作りましょう。例えば、今週の金曜日までに学習カードの8枚目まで終わらせることが目標なら、火曜日の段階で1日2枚ずつ進めれば間に合うといった具合です。もし予想外に時間がかかるなら、今日は3枚やろうかな、と計画的に進めていく習慣をつけるのです。
これは、たった30秒考えるだけのことですけど、その習慣があるかないかが大きな違いを生むのです。だから、適当に「できるところまでやる」でもいいときもありますが、小学校のうちに計画性を身につけることが非常に重要だと思います。
ちょっと話が大きくなりますが、私はこれを将来的には「金融教育」にも繋がると考えています。お金に関する授業は直接的にはしていませんが、この計画性というのはお金の管理にも通じる本質的な力だと思っています。自分の収支を考えて予算内で生活し、特別な支出があるときはどうするかを計画的に考える力です。これを小学生の頃から学んでおくことが、将来的に役に立つと思いながら、授業では計画を立てる習慣を子どもたちに身につけてもらっています。
目的の再確認する力を授業で育む
話が少しそれましたが、2つ目のパターンに移ります。「要領があまりよくないタイプ」の子ですね。将来的に仕事が早い人とそうでない人に分かれるように、勉強においても要領よく進められる力が求められます。
このパターンでは、目的を見失いがちになることがよくあります。ですから、関わりとしては「目的の再確認」をすることが大事です。例えば、今日は学習のチェックポイント3まで進むことを目標にして、その範囲のドリルを85%以上解けるようにするという目標を立てたとします。
しかし、つまづきすぎたり他のことに興味が湧いたりすると、その目標に向かって進めなくなってしまうんですよね。もちろん、興味を持つことは素晴らしいことです。でも、その興味に時間を費やしてしまうと、今日の目標であるチェックポイント3に到達できなくなる可能性があります。
そこで、子どもには「今日はこれを達成するって決めたよね」と目標を再確認させ、再び学習に集中させます。自分で立てた目標を意識し、目的を再確認することはとても効果的です。
小さく動く、行動を起こしておく
3つ目のパターンとしては、「いつまでも動き出さないタイプ」の子がいます。この子たちにはまず「とりあえず動こう」と言い続けます。私の勤務校では理科の授業でレポートを提出するのですが、レポートの完成が早い子は、授業を受けながらレポートに書く内容を考えています。しかし、間に合わない子は、提出日前日に焦り出してしまうんです。
このパターンは1つ目の「計画性」とも関わりがあります。まずは少しでもいいので「動き出す」ことが重要です。例えば、レポートの見出しを書くだけでもいいし、枠組みを作っておくだけでもいい。そうすれば、ゼロから始めるのではなく、スタートが少しでも楽になります。
この「まずは動く」という習慣を子どもたちに伝えることで、勉強に対して前向きな姿勢を持てるようにしていきたいと思います。「ゼロからスタート」ではなく、「少し進めておこう」という考え方を子どもたちに伝えることが大事だと思っています。
※本投稿は、個人情報保護の観点から、個人を特定できる情報を変更し、いくつかの要素を織り交ぜた架空事例として紹介しています。ご了承ください。
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