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仕事自体をクリエイティブにするためのテキスト

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デジマ業界での仕事に関するあれこれを書いていくつもりです。同じ業界で仕事をする方々の参考になれば。
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2018年2月の記事一覧

パートナー会社とうまく付き合う方法

パートナー会社とうまく付き合う方法

僕は20年近くいわゆる受託側の世界に居て、発注側であるクライアント企業とお付き合いをしてきました。事業会社自体に在籍していた期間は極少ないので、視点として偏りがあることは先に書いておきますが、受託側から見た「事業会社がパートナー会社とうまく付き合う方法」を考えてみたいと思います。

なぜパートナー会社を探すのか?事業会社が外部のパートナー会社を探す、というのは、社内では得られない知見が必要だったり

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攻めるオウンドメディア

攻めるオウンドメディア

マス広告予算のデジタルシフトが語られるようになってだいぶ時間が経つ。その流れはもう変わらないとして、問題はその予算はどこに流れるのか。

主要な流入先のひとつは、当然ながらデジタル広告である。が、昨今のデジタル広告の不明朗な状況を嫌う企業が国内外で出始めており、一時的なマス広告への還流の気配もある。ただそれでもやっぱり大きなデジタルシフトの流れは変わらないと思う。(ただしマスがなくなることもないと

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[短篇] OJTという名の放置プレイ

[短篇] OJTという名の放置プレイ

本来、OJT(On-the-Job Training)とはとても有効な教育手法であるが、一方で教育施策の一例として気楽に発言できる言葉でもある。

「当社の教育施策の基本はOJTです」みたいなことは採用面接や入社オリエンなどで割とふつうに出てくる話なのではないかと思う。それは全然よいのだけれど、実際にはいきなりプロジェクトにアサインされ、見よう見まねでやってみよう!とほぼ同義になっていることが散見

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マーケティング考

マーケティング考

デジタルマーケティングを生業とする仕事に従事してはや7年。今ではすらすらと「デジタルマーケティング」という言葉を空気のように話せるけれど、要はデジタルを活用したマーケティングなのだ、という話は既に書いた。

ではマーケティングとは何なのか。

「求めている人と提供する人を結びつけること」とも書いた。ここで最も重要なのは「結びつけること」ではないかと思う。決して「売りつける」でも「追いかける」でも「

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[短篇] クライアントをまず疑う。

[短篇] クライアントをまず疑う。

受託として仕事をしていく場合、発注主としてのクライアントが存在することになる。正論としては、発注元と受託先は対等の関係であり、どちらかがもう一方に従属することはない。ただ、現実には多かれ少なかれそのような不均等な関係になることは多い。ただ、その是非が本題ではなく、本稿は「敢えてクライアントに逆らってみよう」という話である。

別にクライアントと喧嘩をしろというのではない。疑ってみる、逆らってみる、

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プロジェクトマネジメントの基本

プロジェクトマネジメントの基本

自分のコアな職能を説明する際、プロジェクトマネジメントの領域を語ることが多いものの、それを正しく説明することについてはあまり自信がない。

いちおう教科書的に答えるのであれば、PMBOKの定義に従い、有期かつユニークな目的を持った仕事であるところのプロジェクトを対象に、その完了までの計画を立て遂行すること、とかになると思う。説明としては概ね間違っていないと思うけれど、知らない人には結局なんだかよく

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コミュニケーション考

コミュニケーション考

仕事におけるコミュニケーションが大切だということは、わざわざここで説明することでもないのだけれど、コミュニケーションが苦手だという人は多いのではないかと思う。一方で、コミュニケーションが得意と断言する人ほど実はコミュニケーションがあやしいと思っている。

そもそもコミュニケーションとは何なのだろうか。

といってコミュニケーションについて真面目に書いていくなら、世の中にたくさん文献があると思うので

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マネジメントとは経営すること。

マネジメントという言葉がある。ふつうに訳すと「管理」である。例えば、プロジェクトマネジメントは「プロジェクト管理」と訳されることが多い。実際、間違っていないけれど、日本語の「管理」と英語の「management」は若干ニュアンスが異なるように思う。

日本語で「管理する」というと、粛々とつつがなく進行させていくような印象を持つ人が多いのではないだろうか。実際、プロジェクト管理を「進行管理」と解釈し

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資料を作るときの基本は愛である。

資料を作るときの基本は愛である。

「資料」とは何か? Wikipediaには以下の説明がある。

資料(しりょう)とは、研究・調査の基礎となる材料。またあることをする上で、もととなる材料。特に、研究のためのデータ。

まあ、その通りですね、と思いつつ、チームで仕事をしていく上での資料を考えた場合、もう少し補足が必要ではないかと思う。

資料には必ず目的がある。

目的とは「誰を」「いつまでに」「どうするか」のことである。例えば

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ジャーニーを描かずに旅に出よう。

ジャーニーを描かずに旅に出よう。

CXやUXという言葉が流通して久しいが、セットで登場しやすいカスタマージャーニーマップという手法。その名の通り、サービスやプロダクトに相対する顧客の体験の移ろいを旅になぞらえて可視化する。体験を可視化するとともに1枚の「絵」になることが重要で、文字で構成されたペルソナと比べて、圧倒的に分かりやすく、多人数で議論する際にも利用しやすいため、これを肴にブレストをするなど使い勝手もよい。

ただ、分かり

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デジマプロジェクトの破壊的困難さ。

デジマプロジェクトの破壊的困難さ。

前稿で書こうと思っていたことを書き切れずに終わってしまったので、本稿はその続きである。

デジマプロジェクトの困難さの本質は、スタート段階における手段と目的の混同であり、何を為したいかの曖昧さにあるということはすでに書いた。これについてはデジマ業界側の罪も大きい。テクノロジーを使えば全てが解決するかのような喧伝を行い、せっせとツールを売りつけようとする。道具は目的を達成するために存在し、それ以外で

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デジマプロジェクトをはじめる前に。

デジマプロジェクトをはじめる前に。

「デジタルマーケティング」を「デジマ」と略すことが定着しているのかどうか、中の住民からはよくわからないが、本稿では敢えてデジマで統一してみる。(なお筆者のデジマに関する考え方については前稿で触れている)

仕事柄、デジマ領域のプロジェクトに触れる機会が多いのだけれど、10年前の古き良き時代ならともかくとして、昨今のデジマプロジェクトが非常に質が悪いというか、率直に言って難易度最狂レベルだと思う。も

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デジタルマーケティングとは何なのか。

デジタルマーケティングとは何なのか。

「デジタルマーケティング」という言葉はあまり好きではない。何を指し示しているのかちっとも分からないからである。そもそも、親兄弟や友人知人の類いに話して通じない単語は市民権を得ていない単語なのだから、公然と使用してはいけないのである。

シンプルに「マーケティング」とすれば良いと思うのだが、指し示す内容が単なるデジタル広告の話だったり、サイト流入やコンバージョンの話だけだったりするので、マーケティン

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