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叙々苑の野菜サラダのたれを分析!データでみるドレッシングの世界
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
以前「焼肉のたれ」について分析しましたが、その際に「叙々苑の野菜サラダのたれ」に関する消費者の声が多く、「もしかしてドレッシングの方が焼肉のたれより人気?」と気になり、Knowns Bizを用いて調べてみました。
前回の焼肉のたれ分析はこちらから↓
ドレッシングの認知率×満足率
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まずドレッシングの満足率×認知率を調べると、認知率に関しては「キューピードレッシング」が唯一80%超えでしたが、満足率では
1位:キューピーテイスティドレッシング
2位:叙々苑野菜サラダのたれ
3位:キューピードレッシング
という結果が出ました。
「焼肉のたれ」分析で3位だった焼肉店叙々苑の「野菜サラダのたれ」は2位に!お肉のたれよりドレッシングのファンが多いのでしょうか?
今回はそんな「叙々苑 野菜サラダのたれ」について分析してみたいと思います!
叙々苑 野菜サラダのたれ
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1994年に販売をスタートした「叙々苑 野菜サラダのたれ」。販売開始当初は叙々苑の工場スタッフが手作業でボトルを詰めており、値段が高いためにどこの百貨店やスーパーでも置いてもらえなかったそう。
営業努力の末、店頭に並び始め、口コミで大人気商品に。今では2万店の百貨店やスーパーマーケットで販売されています。
「叙々苑 野菜サラダのたれ」の最大の特長は、お酢を使っていない事。醤油ベースのたれに、いりごまやねりごまを使用し香ばしさとコクをプラスし、野菜のうまみを最大限引き出すクセになる味わいです。
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叙々苑 野菜サラダのたれ購入者のデモグラ構成比をみると20代後半~40代が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較しても同様の年代の人から選ばれています。
他のブランドと比較すると性別は男性の方がやや多いです。
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7Journeyを見てみると認知率は低いものの、離反が低く、ブランド選好率も高めです。一定のファンがついている商品であることがわかります。
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スーパーで購入できる商品ですが未認知が多いのはエリアごとの差があるのでしょうか?
「叙々苑」自体の7Journeyを見てみると認知率は80%を超えていますが、利用者居住地は他の焼肉チェーン(グレーのグラフ)と比べると関東のみが100%を超えています。関東の方に人気の商品なのでしょうか。
また、そもそもドレッシングを使う層がどれくらいいるのか?ですが、マイボイスコムが行なったドレッシングに関する調査によると、野菜やサラダなどにかけて食べるのが好きなもの部門では「市販のドレッシング」が68.8%と出ています。
2019年の調査結果と比べると、「市販のドレッシング」は減少傾向にあるようです。
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またドレッシングの使用頻度に関しては「週に2~3回」の方が最も多いです。
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そしてドレッシングをサラダ以外の用途に使用する人は2割ほどとのことです。
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ドレッシングを使う層が7割弱で使用頻度も週に2~3回と需要は低くないので、さらに顧客を増やすには関東以外のエリアを狙うような戦略を立てるとよさそうです。
前回の焼肉のたれ分析でも、エリアで受ける味という目標の元、新製品開発をしたものが人気を得ていました。今後叙々苑野菜サラダのたれ“関西風”などがあっても面白いのかな、と思いました。
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ブランドイメージでは、「上品・優雅」「ラグジュアリー・贅沢」「期待感・ワクワク」が上位に来ており、他のドレッシングのイメージとは全く異なることがわかります。
老舗高級焼肉店から展開した商品であり、小売価格も高いことが理由でしょうか。
どのような人に選ばれる?
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叙々苑 野菜サラダのたれ購入者のサイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“倹約家”“アウトドア派”“健康志向”な方が多いようです。
社会価値観では“ワーカホリック”“おりこうさん”“自分より家族優先”な方が多く、真面目で仕事への熱意が強く、家族思いな人物がイメージできます。
消費行動は"リターン期待型消費"“ブランド消費”“ステータス消費”が高いことから、使った金額以上のプラス要素を期待する傾向の他、ブランド名や憧れへのモチベーションに対価を払う傾向があるようです。
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消費者の声では美味しさや高級品とのコメントが多いですが、“味が濃厚”との声も。そのファン層も大事にしつつ、さっぱり食べたい派の方に向け叙々苑は「黒酢野菜サラダドレッシング」も販売しています。
“レタスによく合う”濃厚な叙々苑野菜サラダのたれごま風味をベースに黒酢を加え、コクがある中にもサッパリ感を出している商品で、ほんのり漂う黒酢の香りと酸味が、わかめやミックス野菜などにもぴったりだそうです。
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ドレッシングの考察
そもそも「ドレッシング」とは、植物油、お酢またはかんきつ類の果汁を主原料としてスパイスなどを混ぜ合わせ調味した、サラダなどに使われる調味料です。
ドレッシングは油の乳化状態によって3つに区分されます。
このうち半固体状ドレッシングはさらにマヨネーズ・サラダクリーミードレッシング・半固体状ドレッシングの3種類に分けられます。
ドレッシングのほかに植物油を使用していない「ドレッシングタイプ調味料」や加工油脂などを使用した「サラダ用調味料」があり、それらをあわせてドレッシング類と呼ばれています。
主なドレッシングの種類は?
「全国マヨネーズ・ドレッシング類協会」によると、ドレッシングの主な種類は下記の9つだそうです。
マヨネーズ
食用植物油脂、卵、醸造酢またはかんきつ類の果汁に、食塩や砂糖類、香辛料、調味料などを加えて乳化させた半固体状のもの。こくがあり、独特のソフトな口あたりが特徴。
サラダクリーミードレッシング
マヨネーズによく似た低カロリータイプのドレッシング。マヨネーズと同様に使うことができます。
タルタルソース
マヨネーズなどをベースにし、みじん切りにしたきゅうりのピクルス、ピーマン、玉ねぎなどを混ぜ、香辛料を加えて仕上げたドレッシング。
フレンチドレッシング
乳化タイプと分離タイプがあります。
食用植物油脂、醸造酢またはかんきつ類の果汁にこしょうまたはパプリカを加えて仕上げたさっぱりした風味が特徴。
イタリアンドレッシング
フレンチドレッシングに似たタイプですが、ワインビネガーで風味をつけたり、オニオンやガーリックなどの香辛料をきかせているのが特徴。
サウザンアイランドドレッシング
マヨネーズをベースに、細かく刻んだ野菜やピクルス、トマトケチャップを加えた色の美しい甘味のあるドレッシング。
シーザーサラダドレッシング
チーズ、アンチョビー、ガーリックの風味を特徴とする、乳化液状のドレッシングです。
コールスロードレッシング
細かく刻んだ生キャベツ用の、甘味と酸味が強く、スパイスをきかせたドレッシング。
マヨネーズタイプのものと乳化液状ドレッシングの2種類があります。
ドレッシングタイプ調味料
食用植物油脂を原材料として使用していないいわゆるノンオイルドレッシングです。
ドレッシング類の値段の推移
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全国マヨネーズ・ドレッシング類協会のドレッシング類の価格動向によると、直近10年でマヨネーズやドレッシングの小売価格は40円ほど上がっています。
ドレッシング類は平均243円とのことですが、叙々苑の野菜サラダのたれは定価702円で平均の約2.9倍とほぼ3本分の値段です。
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しかし公式でも“一度お召し上がりになったお客様は「高いだけではない」とわかる”と紹介されていたり、消費者の声を見ても「高いけど美味しい」「高級」と値段に関しては“高い”の声が多いですが、“その価値がある”とも多く書かれていました。
やはり一定数のファン層が多く、ちょっとした家庭での贅沢として選ばれている商品のようです。
また人から贈られて気に入った、逆に人に贈りたい、との声も多く、叙々苑の贈答用の公式ネットショップが充実しているのも納得しました。
叙々苑ブランド
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叙々苑の野菜サラダのたれと焼肉のたれの7Jourenyを比較してみると、ロイヤル層は焼肉のたれの方が少し多いものの、離反+離反予備軍は野菜サラダのたれの方が低いです。
また芸能人にも叙々苑の野菜サラダのたれファンは多いようです!
一方で未認知率は高めの「野菜サラダのたれ」。
未認知+値段がネックの層に向けてか、叙々苑はコストコとコラボの商品「おいしさ特得 叙々苑 野菜サラダのたれ」をコストコにて限定販売しています。本家商品との違いは綿実油という油を使用している点だそうです。
大容量でコスパもいいのでドレッシングをたくさん使う人には良さそうですね。
SNSで話題「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」
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インドカレー屋さんへ行くと、サラダにはほぼオレンジ色のドロッとしたドレッシングがかかっていますよね。今回のドレッシング分析をしていて、検索に引っかかってきたのが「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」。
あれ買えるの?!と思いました(笑)。
「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」は理研ビタミン株式会社がインドカレー屋さんで評判のドレッシングをイメージし、商品化。
2023年2月に業務用(1L)を発売し、さらに家庭用サイズ190mlを先行販売したところSNSで話題となり、累計5万本を突破。2023年8月1日より、正式に全国発売されました。
野菜がたっぷり入っていて、野菜の甘味をいかしたドレッシングです。チャーミングなネーミングと想像できる“あのドレッシング”。
今後キューピーや叙々苑の地位を揺るがす商品になるかもしれませんね!
まとめ
叙々苑野菜サラダのたれ購入者の特徴
・20代後半~40代の年齢層、やや男性が多い
・倹約家、アウトドア派、健康志向
・真面目で仕事への熱意が強く、家族思いな人が多い
・使った金額以上のプラス要素を期待する傾向
・ブランド名や憧れへのモチベーションに対価を払う傾向
倹約家が多いものの単価が高い「叙々苑野菜サラダのたれ」の人気にはとても高い満足度や消費者の期待に応える商品であることがわかりました!
筆者のひとこと
今回の分析でサラダにドレッシングをものすごくかける友人を思い出しました(笑)。本人曰く「ドレッシングがメインで野菜はおまけ」とのことですが、こういう人のためにも大容量でコスパがいい商品も需要があるのだなと思いました。
またドレッシングも焼肉のたれと同様、料理の調味料として使う方も多いようです。さまざまなサイトが活用アイデアを掲載していて、次回試してみたいと思いました!
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