ぴんぱ

読書や詩作、武術、芸術を通じて強さや美しさ、愉しさを探求しています。強く影響を受けた人物は桜井章一、執行草舟、成瀬雅春、野口晴哉、狩撫麻礼。 https://twitter.com/kmbxd991

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最近の記事

永遠のゼロ

反戦小説の金字塔「永遠のゼロ」を初めて読んだのは、恥ずかしながら去年のことだった。 昨年夏、家族旅行で九州に行ったのだが、知覧の特攻平和会館に立ち寄ることを決めていたので、その前に一度、読んでおこうと思い、ブックオフの100円コーナーで購入した。 ベストセラー作家、百田尚樹の処女作が本書であるのだが、かつての自分のようにタイトルは知っているが、その内容を知らぬ人はきっと多いのだろう。 明日、第50回の衆議院選挙の投票日であるが、もし、本書を読んだことがない人がいれば、是

    • 実子誘拐ビジネスの闇

      『実子誘拐ビジネスの闇』 池田良子 飛鳥新社 タイトルを読み、まず、思ったのが、「実子誘拐ビジネス」なるものが本当にあるのであろうかという事だった。 また、実際にあるのであれば、どんなビジネスか。 それが知りたく、読み進めていったのだが、本当にこの「実子誘拐ビジネス」が存在し、驚愕すると同時に憤りを抑えることができないまま、本レビューを綴っている。 まず、この実子誘拐ビジネスだが、合法であり、そして、法律のプロフェショナルである弁護士たちがビジネスとして行っていた。

      • 令和6年10月読書② 『戦前の大金持ち』

        『戦前の大金持ち』 出口 治明/稲泉 連/山川 徹【著】 小学館 第1章 “革命プロデューサー”梅屋庄吉 第2章 “パリの蕩尽王”薩摩治郎八 第3章 “初もの喰い狂”大倉喜八郎 第4章 “吉野の山林王”土倉庄三郎 第5章 “相場の神様”山崎種二 第6章 “世界の真珠王”御木本幸吉 最終章 “庭園日本一”足立全康 戦前の破天荒な経営者、資産家たちの金の使い方と生き方を綴った書。 本書にて紹介されていた人物たちと比すると、松下幸之助や本田宗一郎、稲森和夫といった

        • 令和6年10月読書①『暗殺』

          『暗殺』 柴田哲孝 幻冬舎 安倍総理の暗殺事件を題材にした小説。 登場人物はフィクションとして全て仮名で記されていたが、実在のモデルの想像は容易であった。 この暗殺事件の最も恐ろしいことは、統一教会の被害者である山上某が世間一般では犯人と認知されていることであって、他に犯人がいたというものなら、陰謀論者扱いされる現在のマスメディアの在り方だ。 本書、山上以外の者による犯行とその背景がフィクションという形をとりながらも克明に記されており、一部、納得のできない部分はあった

          令和6年9月読書

          『エブリシング・バブル 終わりと始まり―地政学とマネーの未来2024-2025』 エミン・ユルマズ  プレジデント社 トルコ出身のエコノミストである著者が語る地政学を通じた世界経済の未来と日本の展望。 バブル崩壊以降、「日本経済は終わった」という悲観的な論を耳にすることが多いが、「そんなことはない」と著者は語り、日本経済が直面するリスクとチャンスをフェアに論じていた点に好感がもてた。 また、本書では日本経済の黄金期の到来を予測していたが、自分は一度、大きな破綻、混乱を経

          令和6年9月読書

          令和6年8月読書②

          『怪物に出会った日―井上尚弥と闘うということ』 森合正範 (講談社) 井上尚弥と戦った過去の対戦相手への取材を通じて、プロボクサー、井上尚弥の姿に迫るスポーツ・ノンフィクション。 井上尚弥の凄さ、強さは今さら語るまでもないが、かつての対戦相手たちの人間的な魅力も存分に記されており、胸の熱くなる場面がたびたびあった。 しかし、井上尚弥の強さの根源とは何なのであろうか。 本書でもその謎は明かされることなく、不明のままであったが、井上尚弥の父であり、トレーナーでもある井上真吾が

          令和6年8月読書②

          私たちは売りたくない! ”危ないワクチン”販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭

            今月発売して以来、アマゾンも含め、全ての書店で売り切れのため、初の未読レビューとなるのだが、それだけの価値があると思い、記す。 ちなみにAmazon総合1位(2024.9.18-20)感染症内科学、 臨床医学一般の部門でも1位とのこと。 出版社による本書紹介文は以下の通り。 厚労省を始めとする公的機関や会社のプレスリリースなどで発表されているデータをもとに記されているという本書においても巷ではきっと「陰謀論」の一種として評されるのであろう。 しかし、「陰謀論」と

          私たちは売りたくない! ”危ないワクチン”販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭

          音古知芯

          数年前より古典の音読を続けている。 「万葉集」「古事記」に始まり、「枕草子」「徒然草」「平家物語」「奥の細道」「舞姫」「にごりえ」と日本の古典文学を声に出し、読んでいるのだが、訳文ではなく、原文にあたっているため、はっきりいって、意味の分からぬ文章に出くわすことも多々ある。 しかし、だからといって、辞書を引くわけでもなく、解説を読むでもなく、そのまま、音読を続けてゆく。 一度だけでなく、何度も繰り返し読む。 そうしてゆくと、何故かその分からなかった箇所の意味がふとなん

          令和6年8月読書

          『教科書の中の世界文学』 三省堂  秋草 俊一郎・戸塚 学 編 1950年代の国語の教科書から消えた作品・残った作品が25選されていたのだが、どれも素晴らしい文学ばかりだった。 一日一話のペースで読み進めていったのだが、チャペック「切手蒐集」、李正子「生まれたらそこがふるさと」、ヤーコブレフ「美人ごっこ」、ムンテヤーヌ「一切れのパン」、ホーソーン「人面の大岩」、ヘッベル「ルビー」、アンダスン「トウモロコシ蒔き」、プルス「休暇に」、スタインベック「朝めし」が特に好みであった

          令和6年8月読書

          「これから伸びる日本企業~日本のものづくりはバラ色だ」

          中学3年になる娘とその友人の3人でつくば市にある地質標本館を巡るツアーに参加してきた。 地質標本館は、国立研究機関である産業技術総合研究所の敷地内にある、国内最大級の地球科学専門の博物館であり、最新の地球科学情報とともに日本の地質、地下資源、海洋の地質、地球環境、火山と地熱、地震と活断層などがテーマごとにまとめて展示されていた。 鉱物好きの娘とは数年前に糸魚川にあるフォッサマグナミュージアムへ行ったり、ヒスイ海岸へ翡翠の採集に行ったりしていたのだが、今回の体験も彼女にとっ

          「これから伸びる日本企業~日本のものづくりはバラ色だ」

          令和7月読書③

          『人は顔を見れば99%わかる~フランス発・相貌心理学入門』 佐藤ブゾン貴子 世界で15人にしかいないとされているフランス発祥の相貌心理学教授による入門書。 相貌心理学は、1937年フランスの精神科医・臨床学者のルイ・コルマンによって「顔によって人間性、性格、パーソナリティーなどを分析する」心理学として、誕生したとのこと。 現在に至るまで1億人以上の顔分析データに基づき、その顔分析の精度は99%の正確性を誇ると言われているそうだが、本書、読んでみて、なるほどという部分も

          令和7月読書③

          令和6年7月読書②

          『教養としての書道』 前田鎌利 (自由国民社) 以前、読んだベストセラーになったプレゼン資料作成術の著者が本書の著者でもあったので、手に取った。 プレゼン資料作成術の経歴にはソフトバンクアカデミアの第1期生であり、年間第1位の実績と記されていたので、バリバリのビジネスエリートかと思っていたら、さにあらず。 実は大学時代まで、本格的に書道を打ち込んできた書家であったのだ。 内容は既知のことが多かったが、海外からも注文される日本の伝統文化の一つであることは、自分にとって意外であ

          令和6年7月読書②

          7月読書

          『ひとりで探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』 柴山元彦 (創元社) 数年前、家族で訪れた糸魚川のヒスイ海岸のことを思い出しながら、読んだ。 翡翠を見つけることはできなかったが、家内が瑪瑙を見つけだし、驚いた。 日本海に面した静かで美しい海岸だった。 そういえば、糸魚川を訪れるきっかけとなった漫画『宝石の国』が今年、完結した。 美しく儚い物語であった。 『野性の経営』 野中郁次郎 川田英樹 川田弓子 (角川書店) 第1章 人間にとって「野性」とは何か――サイエンスがもた

          令和6年6月読書③

          『永田鉄山~昭和陸軍「運命の男」』 早坂隆 (2015/06) 文藝春秋 「陸軍の至宝」「永田の後に永田なし」とまで言われ、日本陸軍史上最高のエリートであった永田鉄山の評伝。 「東條ではなく、この男だったら太平洋戦争は止められた」と言われるほどの能力、そして人望もあり(後輩である東条英機もも慕われていた!)、軍の要職についていた永田であったが、ある日、陸軍中佐、相沢三郎に襲われ、斬殺される。 本書では、その事件の背景にあったものが、永田生涯を通じ、記されており、当時の軍

          令和6年6月読書③

          令和6年6月読書②

          『幕末 戦慄の絆 ~和宮と有栖川熾仁、そして出口王仁三郎』 加治将一 (2016/04) 祥伝社文庫 副題の「和宮と有栖川熾仁、そして出口王仁三郎」がなんともそそり、買ってしまった。 明治維新最大の禁忌、明治天皇すり替え説。 孝明天皇暗殺があったことは多くの識者が語ることから、史実であろうことは理解しているのだが、その息子である明治天皇まで暗殺され、すり替えられたか否かまではまだ、判断することはできないでいる。 本書はすり替え説を採択していた歴史ミステリー。物語として

          令和6年6月読書②

          令和6年6月読書

          『昭和 写真家が捉えた時代の一瞬』 クレヴィス(2013/10) 木村伊兵衛や土門拳など、昭和を代表する名カメたちによる昭和を生きた日本人の暮らしを収めた192点が収載。現代と比較し、写真が重い。そして、昭和を生きた人々の陰影が濃ゆい。 目次 1 戦前―束の間の平穏なとき 2 戦時下の日本 3 敗戦から占領時代 4 復興への道をたどる 5 政治の季節 6 村の暮らしと人々 7 大衆消費社会の到来 8 所得倍増計画 9 昭和元禄 特に42~43Pに写る戦災孤児たちの姿が

          令和6年6月読書