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令和6年6月読書

『昭和 写真家が捉えた時代の一瞬』 クレヴィス(2013/10)

木村伊兵衛や土門拳など、昭和を代表する名カメたちによる昭和を生きた日本人の暮らしを収めた192点が収載。現代と比較し、写真が重い。そして、昭和を生きた人々の陰影が濃ゆい。

目次

1 戦前―束の間の平穏なとき
2 戦時下の日本
3 敗戦から占領時代
4 復興への道をたどる
5 政治の季節
6 村の暮らしと人々
7 大衆消費社会の到来
8 所得倍増計画
9 昭和元禄

特に42~43Pに写る戦災孤児たちの姿が逞しくも、なんとも痛ましい。


『家系図で読み解く世界史』 神野正史 PHP研究所(2023/06)

イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、ロシアの各国史と王朝の変遷がよくわかり、メタメタおもしろかった。

原則、男系の血縁が途切れた場合に王朝の交代が行われるのだが、この血縁が途切れるタイミングに様々なドラマがあり、歴史を知る醍醐味がある。
また、ヨーロッパの王朝を栄枯盛衰を知るにつけ、日本は南北朝に分離した時期はあるものの、男系の血縁が途絶えていないという事実は驚嘆に値する。この史実を多くの日本人が知らないことは如何なものであろうか。

目次

序章 系図の基礎知識
第1章 イギリスの系譜
第2章 フランスの系譜
第3章 神聖羅帝国の系図
第4章 普墺の系譜
第5章 ロシアの系譜
第6章 丁諾希英の系譜

なお、王位継承にて一悶着のあった国家は、国内外の社会問題も連動し、危機的状況に何故か見舞われるという歴史上の法則がある。日本において、その種が芽生えつつあることを見過ごしていてはならない。


『音の秘密~原理と音楽・音響システム』 スティーブ・マーシャル 創元社(2024/04)

図解入りで読みやすかったが、音響用語をさっぱり解していない為、実感をともなっての音響そのもののシステムを把握することができなかった。
やはり、音は読むよりも、聞いたほうよい。


『ゾーンの入り方』 室伏広治   集英社新書(2017/11発売)

目次 

第一章 究極の集中力をつける
第二章 ゾーンに入る
第三章 限界の超え方
第四章 ゴールへのアプローチを最適化する
第五章 「自然体」が一番強い
第六章 体を整える

どの章も大変、参考になり、本当に買ってよかった。
ルーマニア人の母を持ち、恵まれたフィジカルをもって生まれたばかりと思っていた室伏だが、さにあらず。
ハンマー投げの選手としては小柄であり、外国人選手のトップ層と比して、肉体的ハンディが多分にあったことを知り、驚嘆した。


しかし、そのギャップを埋めていったのが、本書で記されていたゾーンに入る技術であり、メンタルの処し方であったのだ。
本書を通じて分かったのが、室伏の類稀なる知性と、その観察力と内省力から最も適切なアプローチで目標に達成しようとする求道者であることだった。「鉄人」の異名でしられた室伏だが、むしろ「哲人」の方が相応しいと感じてしまう。

本書、どの章も有益だったが、第六章は特によかった。室伏流エクササイズが8パターン紹介されており、日常生活でどれも取り入れられるものであった。実践していきたい。


『一生枡の度量』 池波正太郎   角川春樹事務所(2015/08)

池波正太郎のエッセイを久々に読む。
雑誌や新聞、芝居のプログラムに寄稿され、書籍化されていなかったものが再編集されていた。
特に読かったのは、少年時代の思い出が綴られた第四章だ。
「下町の少年」と題し、生まれ育った浅草、小学校の卒業後、働いた茅場町、株式仲買店でのエピソードはしみじみと昭和の空気を感じさせてくれる。

『世界史は化学でできている』 左巻健男 ダイアモンド社 (2021/02)

目次

すべての物質は何からできているのか?
デモクリトスもアインシュタインも原子を見つめた
万物をつくる元素と周期表
火の発見とエネルギー革命
世界でもっともおそろしい化学物質
カレーライスから見る食物の歴史
歴史を変えたビール、ワイン、蒸留酒
土器から「セラミックス」へ
都市の風景はガラスで一変する
金属が生み出した鉄器文明
金・銀への欲望が世界をグローバル化した
美しく染めよ
医学の革命と合成染料
麻薬・覚醒剤・タバコ
石油に浮かぶ文明
夢の物質の暗転
人類は火の薬を求める
化学兵器と核兵器

化学が人類にどのような影響を与えてきたかのか、歴史の側面から化学という学問の面白さを伝えた良書。

特に12章「美しく染めよ」と13章の「医学の革命と合成染料」で知った合成染料の成り立ちと染料メーカーが製薬会社へと発展していった経緯には驚いた。

合成染料はコールタールを抽出して、生み出されたのだが、その技術を応用し、化学成分を抽出することではじめて、我々の生活にお馴染みの合成医薬品の大量生産が可能となったというのだ。

他、15章「石油に浮かぶ文明」では化学繊維、プラスチックの開発史も記されており、興味深かった。

そして、何より学生時代、ほとんど興味の持てなった「化学」という教科をここまで、面白く語れる筆者の力量に感嘆した。







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ぴんぱ
人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。

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