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令和6年7月読書②
『教養としての書道』 前田鎌利 (自由国民社)
以前、読んだベストセラーになったプレゼン資料作成術の著者が本書の著者でもあったので、手に取った。
プレゼン資料作成術の経歴にはソフトバンクアカデミアの第1期生であり、年間第1位の実績と記されていたので、バリバリのビジネスエリートかと思っていたら、さにあらず。
実は大学時代まで、本格的に書道を打ち込んできた書家であったのだ。
内容は既知のことが多かったが、海外からも注文される日本の伝統文化の一つであることは、自分にとって意外であった。
身近であるものほど、そのように感じるものなのかもしれない。
第1章 外国人が知りたい日本の伝統文化 書道への質問
第2章 これだけは知っておきたい日本の伝統文化「書道」
第3章 なぜ今、書道が注目されるのか
第4章 知っていると一目置かれる 日本書道の歴史
第5章 知っていると広がる書道の世界
第6章 知っていると自信が持てる 書道の作法
第7章 知っていると旅が楽しくなる 書道道具の聖地
『日本経済復活への新シナリオ』 エミン・ユルマズ (KADOKAWA)
トルコ出身で日本に帰化したエコノミストが書いた日本復興のシナリオと国際マーケットの分析が本書の主な内容。
【目次】
1 バイデン政権が目指す世界―5大施政方針から読み解く
2 終わらない中国の覇権主義―毛沢東を標榜する習近平
3 脱炭素社会に舵を切った世界―段階的に見直しが必要なエネルギーミックス
4 半導体戦争の行方―日の丸半導体が復活する
5 日本経済が復活するこれだけの理由―世界が日本を見倣う時代が来た!
6 『会社四季報2021年夏号』から株式市場を展望する
真新しい情報はなかったが、著者への日本に対する愛情が文章の端々から感じられた。
これからの時代は、海外の事情をよく知りつつも、日本を愛し、日本に暮らしている著者のような新たな日本人の言葉にもっと耳を傾けるべきなのであろう。
また、5章では日本の教育、世界の教育についても触れられていたのだが、その中で紹介されていたネルソン・マンデラの言葉が忘れられない。
「教育とは、世界を変えるために用いることが出来る最も強力な武器である」
『ビジネスを育てる』 ポール・ホーケン ディスカヴァー・トゥエンティワン(2024/05)
1980年代に刊行され、絶版となった名著が復刊したというので、手に取った。
第1章 あなたらしさを実現するために
第2章 成功のヒント、成功のワナ
第3章 小さくても大丈夫!
第4章 グッドアイデアだと思ったら時すでに遅し
第5章 成長の秘訣
第6章 お金
第7章 商売のセンス
第8章 まず、顧客に「パーミション」をもらうことから始めよう
第9章 顧客の視点から学ぶ
第10章 良い仲間で良い会社を作ろう
第11章 聖堂守
起業家である著者の数十年前の経験が記されているのだが、ネットビジネスが主流の現在においても通じる真理、商いの妙味が散りばめられており、復刊された理由に納得した。
そして、巻末の解説をクラシコム「北欧、暮らしの道具店」の社長が書いていたのだが、本書を参考にクラシコムを立ち上げ、経営してきたと語っており、こちらもまた大いに頷けた。
「ビジネスをするということは、お金儲けを指すのではない。あなたが、ほかの誰でもない、あなた自身になるための道なのである)ポール・ホーケン
『世を革めるのはリーダーのみにあらず』 出口治明 (NHK出版)
NHKで放映されている「100分de名著」の貞観政要編が書籍化されたものが本書(ちなみにこの「100分de名著」、毎回、本当によくできていて、いつまで続いて欲しい番組の一つだ)
「貞観政要」はリーダー論の最高峰と呼ばれ、大唐帝国を築き上げた太宗(李世民)とその臣下たちの問答集。
語るは「貞観政要」を座右の書とするライフネット生命創業者で、立命館アジア太平洋大学元学長の出口治明。
著者が実際のビジネスの現場、そして、東西の歴史に通暁しているため、時代や環境を越えてもなお、変わらぬ原理原則を上手に解説されていて、さらっと読めた。
「貞観政要」は単にリーダー論だけが語られているわけではなく、その配下である部下たちのフォロワーシップについても、おおいに言及されているという。
自分は中でも「貞観政要」にたびたび登場する政治家、魏徴が好きだ。
この人の書いた「述懐」という漢詩がまた、いい!
大好きな詩のひとつなので、ここに記す。
中原還逐鹿 投筆事戎軒 縦横計不就 慷慨志猶存
杖策謁天子 駆馬出関門 請纓繫南粤 憑軾下東藩
鬱紆陟高岫 出没望平原 古木鳴寒鳥 空山啼夜猿
既傷千里目 還驚九逝魂 豈不憚艱険 深懐国士恩
季布無二諾 侯嬴重一言 人生感意気 功名誰復論
中原還た鹿を逐い
筆を投じて戎軒を事とす
縦横の計就らざれども
慷慨の志猶存す
策に杖いて天子に謁し
馬を駆って関門を出ず
纓を請うて南粤を繋ぎ
軾に憑って東藩を下さん
鬱紆高岫に陟り
出没平原を望む
古木に寒鳥鳴き
空山に夜猿啼く
既に千里の目を傷ましめ
還た九逝の魂を驚かす
豈に艱険を憚らざらんや
深く国士の恩を懐う
季布に二諾無く
候嬴は一言を重んず
人生意気に感ず
功名誰か復た論ぜん
『臨書の疑問100』 芸術新聞社
目次
第1章 臨書の基礎知識 理論編
第2章 臨書の基礎知識 実践編
第3章 臨書のレッスン 楷書編
第4章 臨書のレッスン 行書・草書編
第5章 臨書のレッスン 篆書・隷書編
第6章 臨書のレッスン 漢字創作編
第7章 臨書の基礎知識・レッスン かな編
第8章 古典に合った筆を見つけよう
今秋、書の展覧会に出品することになったので、書の本を読みまくっている。
出品する書の書体は隷書で、実は高校、大学時代にも学んでいた字体でもある。
数年前から、再開した書であるが、幼稚園の頃から書道を続けている娘の成長が最近、著しいため、父親としても負けていられないと感じている。
本書、5名の書家が自身の臨書作品とともに書法を解説してくれているので、非常に実践的で参考となった。そして、まだ、本格的なチャレンジをしていない草書やかなの章は大いに刺激となり、いつか書いてみたいと思いが一段と高まった。
『100万円を6カ月で2億円にする方法』 浅井隆 (第二海援隊)
タイトルからいって、間違いなく手に取らない類の本ではあるのだが、頂いた本ということもあり、読んでみたらこれが滅法面白く、読んでよかったとしみじみと感じた。
これだから、読書は面白い。
本書、「日経平均オプション」の取引の手引書であり、株式や先物取引とは異なる取引があることを知ることができた。
FXや仮想通過などの取引は一切やる気はおきなかったが、このオプション取引であれば、やってみたいと思ってしまった。
以下、目次となるが、巻末に記されていた古代ローマの哲学者キケロの言葉が胸に刺さった。お金も知識もきっとそういうものなんだろう。
目次
プロローグ 龍馬が知ったら絶対やりたがるノウハウ
第1章 一九九二年八月の大反転でオプションは四〇〇倍に!
第2章 もうすぐ、人生に一度しかない大チャンスがやって来る!!
第3章 あなたの投資行動は間違っている!?
第4章 オプション投資の真実
エピローグ さあ、いよいよオプションの準備を始めよう!!
「どれほどたくさんの知識を頭に詰め込んだとしても、使わなければ意味がないどころか重いだけだ」 キケロ
『子どものうちから知っておきたい西洋美術を築いた画家20人の生涯』 チャーリー・エアーズ (ランダムハウス講談社)
紹介されていた画家は、ジョット、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アルブレヒト・デューラー、ミケランジェロ、ラファエロ、ティツィアーノ、ハンス・ホルバイン(子)、エル・グレコ、カラヴァッジョ、アルテミジア・ジェンティレスキ、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ、ディエゴ・ベラスケス、レンブラント、フランシスコ・デ・ゴヤ、ジャック=ルイ・ダヴィッド、J.M.W.ターナー、ヴジェーヌ・ドラクロワ、エドゥアール・マネ、クロード・モネ、フィンセント・ファン・ゴッホ。
20人の画家の中、唯一知らなかったのは、アルテミジア・ジェンティレスキ。
17世紀に活躍した当時としては非常に珍しい女性の画家だった。
カラヴァッジョの影響を受けたその画風は非常に陰影が深く、光の描き方はやはりカラッヴァッジョと相通ずるものがあった。
自分の好きなカラッヴァッジョの作品「ホロフェロネスを殺害するユディット」を彼女も同じモチーフとして、描いていたのが印象に残った。
本書、大判のカラーで印刷されているので、画家たちの生涯とともに名画の数々を一気に楽しめ、ちょっとしたトリップ気分を味わえた。
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