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7月読書
『ひとりで探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』 柴山元彦 (創元社)
数年前、家族で訪れた糸魚川のヒスイ海岸のことを思い出しながら、読んだ。
翡翠を見つけることはできなかったが、家内が瑪瑙を見つけだし、驚いた。
日本海に面した静かで美しい海岸だった。
そういえば、糸魚川を訪れるきっかけとなった漫画『宝石の国』が今年、完結した。
美しく儚い物語であった。
『野性の経営』 野中郁次郎 川田英樹 川田弓子 (角川書店)
第1章 人間にとって「野性」とは何か――サイエンスがもたらしたもの、奪ったもの
第2章 「野性の経営」の本質――SECIモデルとフロネティック・リーダーシップ
第3章 革新は「思い」から始まる――荒れ果てたドイトゥンを蘇らせた一人称の力
第4章 二人称で「共感」を生み出せ――ケシの栽培者から森の労働者になった村人たち
第5章 世界に広がるドイトゥンモデルーークンチャイの終わりなき挑戦の物語り
終章 「野性の経営」のその先へ――「クリエイティブ・ルーティン」を回し続けよ
本書、タイの麻薬地帯をソーシャルイノベーションによって国内有数の観光地に再生させたクンチャイの取り組みを通じて、新たなリーダーシップの在り方を提示する野中理論の骨子が語られている。
そのリーダーシップの在り方は「野生の経営」とも呼ばれ、人の生き抜く知恵は直観や潜在能力から生まれるという。
人が極限の状態で生き抜くことにより、元来、有している「野生」が磨かれ、混迷かつ混沌した社会をサバイブしてゆけるとのことだった。
本書をちょうど読んでいる時に、執行草舟社長も経営学ではドラッカーと野中郁次郎の著書が最も優れていたと語っている動画を目にした。
うん。まさにその通り。
『TOWER RECORDSのキセキ NO MUSIC,NO LIFE』 櫻井 雅英 (スタートナウ)
全国で書店の数が減っており、問題となっているが、レコード店はその比どころではない。
アメリカのタワーレコードはもう、とうの昔に全店閉店してしまい、世界中で現存する店舗は日本にしかもうないというのだ。
ネット配信全盛の時代になぜ、日本において、タワーレーコードは生き残ることが出来たのか。
その謎を知りたく、本書を紐解いた。
その生き残った要因として、日本の小売業界の特殊な環境と日本のタワーレコードが選択した戦略によるものが挙げられていたのだが、衰退産業と呼ばれるものの中にも、やり方次第では活路が見出せるという示唆には感銘を受けた。
しかし、20代の時分、毎回、唸らされたタワレコの「NO MUSIC,NO LIFE」の意見広告ポスターであるが、日本発のアイデアであり、のちにアメリカの本店も含め、海外においても取り入れられ、展開されるなったという。
最近、めっきり訪れなくなったタワーレコードであるが、今度、久々に立ち寄ってみようと思う。
目次
第1章 タワーレコードの軌跡
(タワーレコードの動き(年別)と周辺関連情報・年間ヒット曲&アルバム
タワーレコード小史)
第2章 タワーレコード全店舗紹介
第3章 タワーレコードの奇跡(なぜタワーレコードは日本で生き残れたか)
『愛すべき音大生の生態』 辛酸なめ子 (PHP)
家の近所に音大があるせいか、街のいたるところで、音大生の姿を見かけることが多く、親近感をもって読むことができたのだが、辛酸なめ子節がいたるところに散りばめられており、実際の生態とはややかけ離れている描写も感じつつ、読み終えた。
家内をはじめ、友人知人にも音大卒が多いため、ある程度その生態は理解しているのだが、総じて、物事の理解がはやく、集中力、胆力のある人が多かった。
音大卒の人に、長年の練習、演奏経験を通じて得た人間力を感じてならないのは、自分だけであろうか。
目次
第1章 いざ、音大生ワールド
第2章 魅惑の音大イベント体験
第3章 音大生の不思議な日常
第4章 音大潜入ルポ―洗足学園音楽大学訪問
第5章 音大生を待ち受ける未来
(音大生の光と闇 “対談” 音大生の未来(新垣隆×辛酸なめ子))
『死ぬか生きるか海・山・川 絶体絶命アウトドア体験談55』 つり人社書籍編集部 (つり人社)
森でサルの群れに囲まれる、川辺でマムシに噛まれる、磯で雷が落ち全身吹っ飛ばされて失神する、毒キノコのベニテングタケにあたる、船長に忘れられて迎えの船が来ず水もない磯に置き去りにされる、堤防外向きの消波ブロックから転落等々、三途の川を渡りかけ、九死に一生を得たエピソードが55話収められており、一寸先は闇をあらためて実感。
目次
危険な生物との死闘編
恐ろしい自然の脅威編
食にまつわる危機一髪編
アウトドアでもやっぱり人間が怖い編
思わぬアクシデントで九死に一生編
『修験道がつくった日本の闇』 関 裕二 (ポプラ社)
20代のころ、大晦日に修験道の行場に行き、滝行を行ったことを思い出した。冬場で水量は少ないとのことだったのだが、消防ホースを何本か束ねたような水量は十分にあり、十数メートルから落下してくる水圧に負け、もののみごとに滝つぼに突き落とされた。
アドレナリンが出まくっていたので、さほど、寒さを感じることもなく、
岩にしがみつき、なんとか滝場に戻り、また、水の激しく流れ落ちてくる滝の下に立ったのだが、滝行では落ちてくる水の水圧にまけず、正しい姿勢を取り、その場にい続けることが何よりも難しい。
そして、次第に滝に打たれ続けていると、温度も息苦しさも感じない静かな時間がやってくる。
たぶん、そのまま、いつづけるとたぶん死ぬことになるのであろうが、焚火をたいて待っていてくれる同行人の呼ぶ声が聞こえた時点で、滝行は一旦、止めることとなっていた。
終わった後、入った温泉の暖かさは今でも忘れられない。
目次
第1章 歴史の闇と修験道(明治政府の修験道潰し)
第2章 役小角の正体(修験道の開祖)
第3章 安倍晴明の奇跡(希代の陰陽師)
第4章 葛城の祟り(国家神道の誕生)
第5章 反骨の修験道誕生
『それからの帝国』 佐藤優 (光文社)
久し振りに一息で本を読み終えた。
毎日、数冊の本を併読しながら、読み進めているのだが、この本だけは読み始めてみたら、一気に読む衝動にかられ、読了した。
年に数度、あるかないかの体験だった。
佐藤優の本は数十冊と、いままでかなり、読んできたのだが、本書は抜群の面白さだった。
著者のロシア駐在時代の自伝の一部であり、また、その地で出会った一人の天才との友情の物語でもあった。
そして、その天才とはモスクワ国立大学哲学部科学的無神論学科のゼミで知り合ったアレクサンドル・ユリエビッチ・カザコフ(本書の中では愛称であるサーシャで語られていた)
サーシャが日本を訪れ、著者と再会を果たすのが本書のクライマックス。
五十二歳と四十六歳の中年の変わらぬ友情。そして、出会いより数十年を経たサーシャ、そして、著者の変遷、現在の姿に涙。
目次
第1章 前夜(三位一体の乾杯;革命は酒場から始まる;ジョージアレストラン「アラグヴィ」;無責任体制;バルト三国の風土;モスクワ・リガ駅;ラトビア人のアイデンティティ;連邦を構成する条約;二重スパイ;警告のシグナル;世界観の全体主義;ナショナル・ボルシェリズム;3日で終わったクーデター)
第2章 失踪(外交行嚢の現金;拘置所にて;コヘレトの言葉;保釈;研修指導官;スターバックス;井上邸訪問)
第3章 再会(サンクトペテルブルクからの電話;招待状;断酒;靖国神社;沖縄系日本人;懲罰部隊;ハマーセンター;ナショナリズムへの傾倒;公定ナショナリズム;鈴木宗男事件;メドベージェフ;日本の形勢悪化;記録と記憶;継承;急ぎつつ、待つ)
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