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東京学芸大学附属小金井小学校に行ってきました その② ~理科の授業編~

こんにちは!
今日は東京学芸大学附属小金井小学校で11月に開催されたセミナーのレポート第2弾を書こうと思います。

(セミナーの全体像について知りたい方は前回の記事も読んでみてください!↓)

この記事では、公開授業② 理科6年「土地の作りと変化」(小林靖隆先生)で見学したことについて書こうと思います。

【前提】「土地の作りと変化」って、どんな単元?

ざっくりひと言で表すと、柱状図を手がかりにしながら地形の変化について学ぶ単元です。

柱状図のイメージ

私たちが暮らしている土地は川によって削られたり、地震で隆起したりして、絶えず変化しています。
長い時間をかけて、少しずつ地形が変化しているんですね。

その変化のメカニズムについて学ぶのがこの「土地の作りと変化」という単元です。

既習単元とのつながり

4年生で学んだ「雨水のゆくえ※1」と5年生の「流れる水のはたらき※2」の知識を基礎にしながら、さらに発展的な内容を学びます。

※1…砂の粒の大きさと水の染み込みやすさに関係があることを学習する単元
※2…川の侵食・運搬作用によって地形が変化することを学習する単元

単元のポイント

この単元は地学(=地球領域)に属しています。
そして小林先生いわく、地学の単元は「時間的・空間的な見方 ※3」という視点がとても大事なんだそうです。


※3 補足説明(by ふるさわ)
時間的な見方とは…たとえば柱状図を見ると、地層の重なり方からその土地の過去の環境を推測することができます。 
例)凝灰岩の地層→過去に火山の噴火があった など

空間的な見方とは…地層を分析する時は、垂直方向にも水平方向にも考える必要があります。
土地は横の方向にも、縦の(地球内部)方向にも広がっているからですね。
例) 地点A(標高0m)の、地下50mの地層
  =地点B(標高30m)の、地下80mの地層

・地層は教えるのが難しい単元
過去のことや地面の下のことは、目で直接見ることができません。
そのため、地層は児童が理解しづらい単元です。
(私が中学生に教える時も、大いにそう感じます。)


「目に見えないことは理解しづらい」という壁を、ICTを使ってどう乗り越えるのか?
ここに注目しながら記事を書いていきます。

授業の流れ

1.授業の目的を示す&学習ツールを選択する時間

まず、小林先生は児童たちに2つのことを言いました。

・今日はみんなに、3つの地点(小金井小学校、貫井神社、前原小学校)の柱状図を手がかりに野川(小金井小学校の近くにある川)の地層を推測してほしいんです
パソコンかノートを開いてください

→授業の目的を最初に明確化するとともに、児童がどのツールを使って今日の学習を進めていくのかを選ばせているんですね。

「授業の振り返り」より

自分の得意不得意や状況に応じて使うツールを選ぶ力も、ICT教育の一環です。

2.前時に習ったことを振り返る時間

・柱状図の知識について確認する
この授業は、全10時間中の5時間目です。
児童たちは前回までに柱状図について学習しているため、その知識の振り返りを行いました。

→具体的には、ローム層や砂の層などの水の染み込みやすさについて確認した後、児童たちに「じゃあ、野川の地層はどうなっているだろう?予想をパソコンに入力してみてください」と問いかけていました。

「野川の地層を推測するんだけど、柱状図や地層の特徴を根拠にして考えてね」と促しているわけですね。
それとなく子どもたちに「既習単元と紐づけて考えてね」というメッセージを送っているのだと思います。
(そうしないと、勘や直近に習った知識だけで考えてしまう可能性があるので)

児童たちからは以下のような予想が出ました。

Aさん:「(野川は)川なので、土が少し湿っているかも。
Bさん:「貫井(ぬくい)神社と同じく、ロームがあると思う。
C君:「前の授業で、先生はロームは水を吸収しやすい』って言っていました。だから、もし野川にロームがあるとしたら、川がなくなってしまうはず。だから野川には、ロームではなくて泥の層があると思う。それか、川には土を削る作用があるから、ロームはあっても薄くなっていると思う。

3.【教科書+フィールドワーク+ICT教材】3つの手段で、知識と体験を結びつけながら理解させる

次に、小林先生は児童たちの理科チャンネル(GoogleClassroom)に自作のARアプリを送り、柱状図が地下に広がる様子を児童たちのタブレットに表示しました。

さらに、Googleマップの航空写真と地形の断面図を大画面モニターに映し出し、児童たちに小金井小学校、貫井神社、野川の位置関係と高低差を視覚的に示しました。

授業で使った教材のイメージ(古澤作成)

実はこの授業の前に、児童たちは野川が見える貫井神社までフィールドワークに出ています。
実際に歩いて土地の高低差を実感したうえで、これらの教材を使っているんですね。

・教科書で知識をインプットして
・フィールドワークで体感し
・ICT教材(ARアプリ)でそれらを結びつける

これが、今回の小林先生の授業の核になる部分だと感じました。
教室内での学びと外での学びを結びつける手段として、ICTを活用しているんですね。

4.【Google classroomで提出】自分の考えをまとめる時間

ファーストインプレッションの発表が終わった後は、グループに分かれて考えを深める時間に移りました。
グループで話し合った後、児童たちは「考察」という形で、それぞれが推測したことを様々な形式でまとめて、Google Classroomで提出していました。
たとえば…

・A君…スプレッドシートに、グラフ機能を使って野川の柱状図(推測)を作成。足りない部分は文章で説明していた。

・B君…Googleマップの航空写真に柱状図のイラストを載せて、「低い場所にはローム層がないから、野川にはローム層がないと思う」と分析
→実際の写真を使いながら、標高と結びつけて野川の柱状図を推測した。

みたいな感じです。

5.正解発表の時間

児童たちの考察を先生のPCに集めた後、教室にある大型モニターに正解の柱状図を映し出し、授業終了となりました。

(本当はこの後「なぜ野川には関東ローム層がないのか?」を考察する→「流れる水のはたらきによって土地が削られたため、野川には関東ローム層がない」という結論までいく予定だったのですが、ここでチャイムが鳴ってしまいました)

【結論】この授業のポイント

この授業で、小林先生は以下の点を重視されていました。
(この項の内容は、この授業の後に開かれた「協議会(授業の振り返り)」での小林先生や中川一史先生(放送大学教授)のお話を元にしています。)

ポイント① ICT教材(ARやVRなど)の活用

「これから、特に地学の単元ではARやVRの活用が広まっていく。」
小林先生はそうおっしゃっていました。

紙の教科書で時間的・空間的なことを表現するには限界があります。
ICT教材を使って児童たちがそれらを視覚的に体感することができれば、より解像度高く理解できるようになるはずです。

ポイント② 教室内の学びと、教室の外での学びをつなげる

→小林先生は「検証結果の拡張」という言葉を使って、教室内の学びと外での学びをつなげることが重要だとおっしゃっていました。

・AR教材は、(実験やフィールドワークなど)実体験を伴うからこそ効果が発揮される
・これからは実験だけでなく、AR教材だけでもなく、それらを組み合わせて「1+1=3」にしていくことが重要

「授業の振り返り」より

実体験という核が中心にあるからこそ、AR教材のバーチャル体験の解像度が高くなり、しっかりと理解できるということなのだと思います。

おわりに

今日は東京学芸大学附属小金井小学校の理科の授業について書きました。
理科は専門外なため、もしかしたら不正確な部分もあるかもしれません。
もし間違いがありましたら、お手数ではございますがコメントやSNSのDM等で教えていただけましたら幸いです。

小金井小学校の授業はここからも見られます!

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