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ついにこの日がやってきた。 1年に1度のカーニバルだ。 私はこの日を待ち望んでい…
カタン。 紅音は塩を煮物に入れ、それを元の場所に戻す。 それが運悪く、隣に置いて…
私は今日も傘を差す。 道を歩けば、通行人は私をよけ、振り向きざまに二度見する。 …
「ねぇ、雪って本当に真っ白なの?」 莉花は空いた窓に顔を向けながら呟いた。 「そうだよ…
「おいおい、なんつーざまなんだこれは。片目に少し罅(ひび)入っているじゃなぇか」 ジ…
「ねぇ、また明日この桜の木の下に来てもらえる?」 私の横に座りながら小さな文庫本を…
「ねぇ、なんでアゲハチョウは捕まると飛べなくなるの?」 カケルは人差し指と親指でアゲハチョウの両羽を摘まみながらサリの眼前へと突き出した。 「飛べなくなる理由なんて簡単よ」 サリはそういうと、アゲハチョウの片羽を指で名で、人差し指の腹に虹色の鱗粉をつけた。 「これなに?」 「これはね、"鱗粉"っていうのよ。そうね、お魚さんの鱗みたいなものかしら」 「鱗?硬くないのに?」 「そう、アゲハチョウの鱗は柔らかいのよ。柔らかくて、美しくて、そしてあまりにも脆いの」 サリ
放課後の教室に、たった一人の僕が校庭を眺めながら座っている。 16時30分だというのに、…
私はビルの屋上から、地平線に夕日が落ちていくのを見送った。 夕日の斜光は、そこら…
『ねぇ、私たちの愛って罪なのかしらね』 沙耶は朱莉のか細い白い両腕をつかみ、自分の…
睡蓮に喰われる夢を見た。 睡蓮の蔦が私を縛りつけ、濁った水面へと私を引きづり込んでゆ…