【短編小説】無拍子な春
僕には、人の波が視える。
見えるのではなく、視える。
感じるといったほうが近いのかもしれない。
僕が人を見る時、その人の仕草や言葉遣い、口の動きから指の動きまで、些細な部分に目がいってしまう。
そんな細かな情報の一つ一つが頭の中にインプットされると、それが一つの波となって表れる。
波の高さや間隔の幅によって、その人の感情が浮き出てくるのだ。
何を馬鹿なと思うかもしれないが、僕は物心ついた時からそうだ
その波によって、人の感情を読み取れてしまう。
そして、僕の頭の中に浮かび上