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機能不全おじさんジャーナル

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おじさんのフィールドワークの記録と事件簿
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記事一覧

川にまつわる怪談と初めての心霊体験。そして海外駐在員に聞いた除霊法

 数年前、私は夢のマイカーを手に入れた。

 もっとも、20代前半の頃に格安で売られていた軽自動車を買って乗っていたことがあるが数ヶ月で突然エンジンが掛からなくなり廃車となっていたのでそれ以来の、実質初めてのちゃんとした車だった。
 ちゃんとした車、とはいってもそれなりに年数のいった中古車で、細かい内装の樹脂部品などには日焼けによる劣化がちらほら見て取れた(そしてそれから2度ほど故障して細々とした

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マルチにハマったSくんの思い出

 1919年、パプアニューギニアのガルフ地区に駐在していた行政官の元へある報告が届いた。
「沿岸地域の村々で住民等が興奮状態にある」
 住民たちは村落に現れた先祖の霊に「カーゴを搭載した大きな船で親族の霊が戻ってくるのでその受け入れを準備するように」と告げられ、それを受けた指導者等はこれに従い歓迎の準備を命じた。住民の興奮状態は1920年5月22日付で沈静化したという記録があるがその間、彼らは日常

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ハッテン場に行った話 新国際劇場篇

 夏休み、大阪への日帰り旅行へと出かけた。ありがたい事に私が師匠と慕う人物からお誘いを受けたのがきっかけだ。
 
 気合を入れて朝の5時に起きると時間を掛けてヒゲを剃り、濃いコーヒーを入れる。コーヒーと共にコストコのチョコクレープを朝食にして逸る気持ちを抑えつつ家を出た。電車に揺られる事30分、待ち合わせの駅へと向かい、師匠と合流すると近況報告などをしながら一路大阪へと向かった。

 その旅行の目

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居酒屋で知り合った副業おじさんの話

 週末、最近オープンした居酒屋へと飲みに出かけた。

 夏になるとビールが飲みたくなるが、ビールという飲み物は家で飲むよりも外で飲むほうが美味しく感じられる。涼しい店内に冷えたビール、最高だ。
 なにより外で飲むと肴を用意する手間も片付ける必要も無いのがいい。
 
 その日は夕方の早い時間だけあってか、客は一人も居なかった。カウンターに座り、キリンの瓶を注文する。昔は瓶ビールなんて注文することなん

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脱法ハーブと夏の思い出

 2012年夏、二人の男性が県警の薬物銃器対策課に逮捕された。一人は同県、地方のハーブ店経営者の男性(36)で、男は私の中学2年の頃の担任の教師と同姓同名であった。
 今思うと彼はテニス部主将のような浅黒い肌にいつもポロシャツの襟を立てていて、瞳孔がバキバキに開いていそうな目をしていた。
 私の知っている彼の住所とは違うし恐らく、赤の他人であろうとは思うがなんだか私の中で妙にリンクした。何かと熱く

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 ”悲惨”な事故

 ニュースサイトで公開されている動画で見知った道が写っていた。午前二時、ガードパイプに軽乗用車が衝突し横転、炎上し夜の道を照らしている。街路樹には車内から勢いよく飛び出したぬいぐるみが引っ掛かり、ぶら下がっていた。
 
 炎上した車内からは母親の遺体。車外に投げ出された2歳の娘は出血性ショック死。ただ一人、4歳の娘が車内から救出された。
 事故の直前、助手席には父親も同乗していたが母親と車内でトラ

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ネットの海に散らばる同級生 同級生詐欺のエピローグ

 

 同窓会詐欺の一件が終わり、どこか寂しいような気持ちを抱えながら毎日を送っていると年始頃にニュースで見たとある事件がポッドキャスト番組”さむいぼラジオ”で取り上げられていた。
 この事件は登場人物の肩書がなかなか面白く、興味を持って事件当時に調べてみてはいたものの、さほど情報が出回っておらず友人間で「きっとそのうち”さむいぼ太郎”が取り上げてくれるさ」なんて話していた。
 それからこのポッド

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個人情報が流出した話 NTTのやつ

 先日、ネット通販で弟の誕生日プレゼントを注文した。

 弟はミリタリーアイテムが好きなので通販サイトを漁り、シンプルなデザインで使い勝手も良さそうなボタンに錨マークがあしらってある可愛らしいデッドストック品のアメリカ海軍のシャツを見つけた。
 ただ、通販サイトというものは不思議なもので何か特定の目的のために活用していたとしても気づけば「何か無いかな」という漠然としたスクロールが始まっている。
 

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集団ストーカーの謎を追え

 友人の大学の同級生に少しばかり変わった女性がいる。創価学会やらヨーロッパのテロ、ナチスに戦争・・・様々な陰謀論をごちゃ混ぜにしたような(それも妙な日本語表現を用いて)内容をSNSに投稿し続けている。
 どうやら統合失調症に近しい症状が現れているらしい。
 
 ここで個人的に疑問に思ったのはなぜこういう手合の人間は創価学会を目の敵にするのか、というところだ。日本には新興宗教の数はそこそこある。そん

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昔住んでた町で起きた殺人事件 その後

 以前投稿したこの事件。
 先日、進展があり容疑者と被害者の実名報道と顔が公開された。

 報道カメラに映された赤味が強い茶髪と黒々とした太い男らしい眉毛のアンバランスさが際立つ男性は38歳というにはあまりにも老けて見えた。それは事件によって疲弊したせいというより元から老け顔だったという様な、中学生の頃からずっとこの顔である様な、そんな顔立ちだった。
 警察関係者に連れられて歩く際に報道カメラに向

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どうしようもない歯抜け達

 客先の工場長から「まだ求人出してるんなら一人面接してほしい奴が居るんだけど」というどう考えてもまともな結末にならないであろう、という声が上司にかかった。
 自社で面倒を見ないという事が全てを物語っている気もするが、その男性は件の工場長と高校時代の同級生であるそうなので自分の下に同級生が居るというのはなんだか気まずい気もする。しかし仕入先にそれを押し付けるのは如何なものかと思う。実質拒否権なんて無

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殺人事件の現場に行ってきた

 週末、同郷の友人と買い物に出かける予定があり朝も早くから家を出た。空はどんよりとした厚い雲が広がり、時折強い雨が降り注いでいた。幸い風はさほど強くなく寒さも幾分和らいでいており、待ち合わせの駅にたどり着く頃にはイギリス人じゃなくとも田舎の民ならば傘をささない程の柔らかい雨に変わっていた。
 
 その日は服屋を巡り美味しいものをたらふく食べよう、という会でまずは二人の行きつけの喫茶店でのモーニング

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昔住んでいた町で起きた殺人事件

 憂鬱な月曜日、蹴っ飛ばすことも出来ないまま布団からのそのそと起き出し、湯を沸かしてコーヒーを淹れる。電動コーヒーミルから上がる音がまるで豆たちの悲鳴の様にも聞こえる。
 
 神経症的なルーティンに則って朝のタスクを機能的に片付けていく。トーストを焼く、ゴミをまとめる、それらを済ませながら朝食の準備を済ませて小さなテーブルで朝の情報番組を見ながら朝食を摂る。
 仕事の予定を思い返しながら味気ないジ

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やっさんとの思い出

 高校を卒業して18歳で社会に出た。両親の教育方針もあり、そのまま家も追い出され一人で生きていかなければならなくなった。
 高校在学中にバイトもしていたのでその延長線であろう、とたかをくくっていたが想像していたよりも社会は子供じみていて気が抜けると同時に、どうしようもない袋小路に追い込まれた気になった。

 就職して私が配属されたのは営業課であった。営業とはいうものの主な業務は生産管理で一般的に思

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