「ひとたび価値観が更新されると、あなたの世界はもう元には戻らない。」バージョンアップ理論
社会人2年目の新人マーケター・ユキが夜な夜な遭遇する“うさぎ姿の先生”との対話を通じて、ビジネスにも恋愛にも応用できる『バージョンアップ理論』を深く学んでいく物語。
「価値観のバージョンが変われば、行動も人生も変わる」という核心を軸に、行動経済学やマーケティングの要素を織り交ぜながら展開されるストーリーは、読んだ瞬間から“あなたの視点”を変えてくれるはずです。
行動を変えたい、成長したい、今まで感じられなかった魅力を見出したい―そんな思いを抱える方こそ、この物語で“バージョンアップ理論”を体感してみてください。きっと、次のステージへの扉が開かれるでしょう。
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【序章:夜のアパートに集うふたり】
時刻は深夜1時。都内のビル街にあるマンションの一室で、灯りは淡いオレンジ色だけがともっている。
ソファに座り込むのは、少し寝不足気味のユキ――社会人2年目の新人マーケターだ。毎日のように仕事で行き詰まりながらも、SNSや広告、データ分析に奮闘している。
その隣、というかちょうどテーブルを挟んだ向かい側でカタカタとタブレットを操作しているのは、長い耳を持つ謎の“うさぎ”姿の人物……いや、うさぎ先生。彼(?)はユキが勤める会社には一切顔を出さないどころか、存在を隠して生活している。なぜかと言えば、以前に闇の組織に追われて姿を変えられたという曰くつきの“元大学教授”だからである。
この夜も、ユキの部屋では羊羹の香りが漂い、うさぎ先生がもしゃもしゃと甘い和菓子をほおばりながら、ユキの資料を覗き込んでいた。
「ユキくん、だいぶPDCAを回すところまでは定着してきたようだね。SNS戦略にも成果分析の視点が入るようになった。でも……最近、さらに成長したいと思っていないかな?」
先生はふわふわの耳をピンと立て、どこか探るような口調で問いかける。
ユキは「あ、はい……そうかもしれません」と答えた。会社では成果を出せるようになってきたが、“何か物足りない”と感じる瞬間が増えたのだ。営業的には数字を出すのがゴールかもしれないが、自分自身がもっと広い視野で物事を見られるようになったら、いろいろな行動も変わるんじゃないか……。そんな漠然とした渇望感がある。
「ふむ、だったら今夜は“バージョンアップ理論”という考え方を一緒に深掘りしてみようか。これは“価値観が変わる”と行動が変わっていく、いわば人の成長と意識変化を体系的に整理した理論なんだ」
先生は羊羹の包みを開け直しながら、にこりと微笑む。
「バージョンアップ理論……ですか? まるでゲームのレベルアップみたいな響きですね。なんだか面白そう」
ユキは思わず身を乗り出し、資料を広げようとする。この部屋で繰り広げられる“夜の講義”こそが、ユキのマーケティング知識の秘密の源泉。そうしてきたように、今夜も未知の世界へ誘われる準備を整えたのだった。
【第1章:バージョンアップ理論とは?】
1-1.価値観の“バージョン”が変わると行動が変わる?
うさぎ先生は、少し体を伸ばしながら、ユキの方を向く。
「まずは大枠の話だよ。“価値観をバージョンアップすると、これまでの行動が変わる”――これが“バージョンアップ理論”の根幹なんだ。人は、ある瞬間に“あれ? こっちのほうが面白いかも”とか“これって素晴らしいな”と気づいたら、もう以前と同じようには戻らないことが多いだろう?」
ユキは、ぽかんとした表情で考える。
「うーん、たしかに。私も子どもの頃は、アイドルグループのCDを集めるのが趣味だったんですけど、ある時に“アニメ”にハマってから一気にそっち中心になっちゃったりとか、そういうこと……ですかね? 好きな人が変わる瞬間というか」
先生は耳をパタパタとさせ、楽しそうに頷いた。
「まさにそう。好きな趣味やアーティストが変わるのも、そこに“より上の価値”を見出したからなんだ。そして、一度“新しい魅力”を知ってしまうと、もう前の段階には戻りにくくなる。まるでソフトウェアがバージョンアップしたら古いバージョンに戻さないのと同じだよね」
「なるほど……。言われてみれば、私自身も“何かに心を奪われる瞬間”っていうのは、その前の世界には戻りたくないくらい衝撃があるかも」
先生は“そうそう”と合いの手を入れた後、くるりとタブレットを回転させて、画面に表示された4つのカテゴリを示す。
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