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「差別化の本質は“価値観のアップデート”──顧客の視点を変えるブランド戦略」マーケティング基礎ブランディング編④全5話

「差別化しろ」と言われても、何をどう変えればいいのか分からない…。そんなあなたに必要なのは、単なる商品の違いではなく、“価値観のアップデート” という視点だ。iPhoneはスマホを、Netflixは映像体験を、Teslaは車をどう変えたのか?本話では、顧客の価値観を塗り替えることでブランドを際立たせる方法を紹介。時代が変われば、求められる価値も変わる。あなたのブランドは、その変化に適応できているか?

◯マーケティング基礎編シリーズ

1週目:WEBマーケティング編
2週目:顧客心理編
3週目:SNS拡散編
4週目:コミュニティ編
5週目:データ分析編

●6週目:ブランディング編
「ブランドとは “違い” である──競争を抜け出す差別化戦略」
「“アイコン” を持たないブランドは生き残れない──記憶に残る存在になる方法」
「AI時代はブルーオーシャンの宝庫──新市場を創り出すブランディング戦略」
「差別化の本質は“価値観のアップデート”──顧客の視点を変えるブランド戦略」
「ブランドは “意思決定” で決まる──戦略を実行するための最終チェック」

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差別化して何をしたいかを考える必要があります

ぼやける差分、曖昧な強み

 朝の通勤ラッシュを抜けた頃、ユキはいつものようにビルのオフィスフロアへ向かうエレベーターに乗った。近頃は「ブランディング」について学んでおり、1話目で“差別化の重要性”を知り、2話目で“アイコンの威力”を体感し、3話目では“AI時代のブルーオーシャン”を探ろうという話まで進んできた。だが、まだ自社の商品をどこまで変えれば良いのか、それとも変えない方が良い部分もあるのか、正直よく分かっていない。

 デスクに着きパソコンを立ち上げると、上司から呼び出される。「ユキ、差別化とかアイコンとか色々やってくれてるのはいいが、“結局どこを変えるべきなのか”が曖昧だな。うちの商品は昔から安定した品質が売りだけど、それだけで足りるのか? そもそも何を強みにするのか方向性がはっきりしない」と少し困惑した様子だ。ユキは「はい……私もそこを考えてるんですけど、あれもこれも差別化すべきか、いやいや価格は据え置きで性能をアップすべきか……“何を差別化”するのが正解か悩んでて」と答える。

 昼休み、社内のカフェで同僚に「上司から“何を変えればいいのか方針を出してほしい”と言われて参ってます」と漏らす。先輩社員が「うちは昔から保守的で、大きく変えるのも難しいしな。でも変えないとこのまま埋もれる可能性もあるし……」と頭を抱える。ユキは「価値観のアップデートが必要って話を先生から聞いてるんですよね。顧客の価値観を変えるブランディングに挑戦するとか……でも、どうやって?」と溜め息をつく。

 そう、前にうさぎ先生は「顧客の価値観を変えるマーケティングが差別化の最強手段だ」と言っていた気がする。それは既存の製品性能や価格などの枠にとらわれず、“こんな新しい見方をすると、この商品はかけがえのない存在になる”と顧客に伝えるアプローチ――要は“従来の基準”を変えてしまうやり方だ。ユキは仕事の合間に、(価値観アップデート……それができたら確かに他社との比較が無意味になるかもしれない。けど、どうすれば顧客の価値観を変えられる?)と思いあぐねた。

 定時になり、ユキはアパートへと急ぎ帰宅する。ドアを開けてリビングへ入ると、羊羹をつまむうさぎ先生がソファに横になってテレビを見ていた。ユキは靴を脱ぎつつ、「先生、ただいま。今日は“何を差別化すべきか迷ってる”って話を聞いてもらえませんか? 上司にも迫られてて……」と弱り顔で頼む。先生はテレビの音量を下げ、「おかえり、ユキくん。なるほど、“何を差別化していくか”と“顧客の価値観をどうアップデートするか”がテーマになりそうだね。ゆっくり話そうか」と耳をぴんと立てて微笑む。


価値観のアップデートはブランディングに通じます

固定観念を壊す差別化――価値観アップデートの魔力

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