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「数字をどう読む?データの可視化と洞察」【マーケティング基礎データ分析編③】全5回
数字の羅列を前にして、「結局、何を読み取ればいいの?」と困った経験はありませんか?データの可視化は、情報を直感的に理解し、的確な判断を下すための必須スキルです。本話では、棒グラフ・折れ線グラフ・ヒストグラム・散布図など、用途に応じたグラフの選び方と、KPIダッシュボードの作成方法を解説。データを“読める”人になりましょう!
5週目1話目はこちらから👇
◯マーケティング基礎編シリーズ
1週目:WEBマーケティング編
2週目:顧客心理編
3週目:SNS拡散編
4週目:コミュニティ編
5週目データ分析編
①「データは語る!分析思考の基礎とフレームワーク」
②「データ分析のプロセスを理解する」
③「数字をどう読む?データの可視化と洞察」
④「データ収集とクレンジングの基本」
⑤「データ活用で成果を出す!実践と応用」
全5話でお届けします!
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うずまく数字、見えないヒント
都心のオフィス街、朝の出勤時間を過ぎた頃、ユキが勤める中小企業のオフィスフロアには落ち着いた空気が流れていた。前回のエピソードに続き、ユキはデスクに座ってパソコンを起動し、SNSコミュニティの状況や売上データ、広告費を見比べている。コミュニティ施策が軌道に乗り始め、ユーザー同士がやり取りを楽しみ、リピーターも少しずつ増えつつある。だが、上司には「もっと数字を使って、説得力あるレポートを出してほしい」と要求されているのが現状だ。
前回、ユキは「データ分析のプロセス」をざっくり学び、KPI設計やデータの収集・整理などをスタートさせた。確かに、Excelでいくつか指標を拾い上げ、グラフにまとめてみると「イベント参加率がこう変動している」「リピート率に影響を与えているのはコレかもしれない」といった仮説が見えるようになった。でも、その数字を「どう読んで、どう洞察するか」がまだ十分ではないと感じている。単にグラフを描くだけで終わらないのが、データ分析の奥深いところだというのは頭では理解しているが、具体的なポイントがまだ曖昧なのだ。
昼休み、社内カフェでサンドイッチを食べながらユキは同僚に漏らした。「数字は集めたしグラフにもしたけど、いざ『傾向を読み解いて課題や可能性を把握しよう』と思うと、どこをどう見ればいいのか分からなくなるんですよね。棒グラフを見て『あ、上がってる』くらいしか言えなくて……」。同僚は「それはあるあるだねぇ。単に可視化するだけじゃ、本当の原因とか意味までは分からないから」と共感しながら苦笑する。
上司は「洞察が足りない」と指摘してくる。つまり「数字をどう読むか」という問題だ。折れ線グラフが上がったり下がったりしているとしても、「なぜそうなったのか」「この先どうなるのか」「じゃあどうすればいいか」といった意見を伝えられなければ意味がない。ユキの中には「可視化はできても、そこから先で詰まる……」というモヤモヤがあった。
この日、ユキは早めに退社して、いつものようにアパートへ急ぐ。もふもふの耳を持つ同居人――うさぎ先生――の協力を仰ぎたい気持ちが強かった。前回も先生のアドバイスで“KPI設計”や“データ収集のプロセス”がだいぶ見えてきたし、今回も「数字をどう読んで洞察するか」を聞いてみれば、きっとヒントが得られるだろう。
夜、アパートのドアを開けると、案の定リビングのソファには羊羹を頬張る先生が鎮座している。テレビはつけっぱなしで、何かバラエティ番組が流れているが、先生は興味なさげにチラ見するだけ。ユキは靴を脱ぎながら笑う。「先生、ただいま。実はまたデータのことで悩んでて……グラフは作ったけど、そこから先の“読み方”がよくわからなくて困ってるんです」。先生は耳をぴくりと動かし、「おかえり、ユキくん。大丈夫、きっとそこにも面白いポイントがあるよ。ちゃんと話そうか」と穏やかに促す。
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数字が語る物語、可視化が示す真実
深夜のアパート、リビングには蛍光灯の淡い光だけが漏れ、ユキは床に座ってノートPCを開き、先生はソファに横になったまま話を始める。いつものように耳を動かしながら、落ち着いた口調でデータ可視化と洞察のポイントを語り始めた。
先生は「可視化した数字は単なる“形”に過ぎない。本当に大事なのは、そこから何を読み解き、次にどう活かすかという“洞察”だよ。だから人によっては“データは語る”どころか“語らせる”とも言うんだ。読むコツさえ掴めば、数字はただの棒グラフ以上の物語を見せてくれる」と声を落ち着かせる。
ユキは「物語……ですか? 確かに、ただグラフを眺めても“増えた、減った”くらいしか分からなくて、原因や背景をどう考えればいいのか……」と首をかしげる。先生は「そこが“傾向”と“比較”、“原因仮説”だね。グラフの形を見て、『前月より上がった』とか『広告キャンペーンの後で一気に増えた』とかを突き止めると、“もしかしてキャンペーンが効いたのかな?”という仮説が立つ。その仮説を補強する追加データや、他の指標との関連をチェックすれば、ある程度の確信を持って『これが要因だろう』と話せるわけさ」
ユキは一生懸命メモを取り、「なるほど、私、折れ線グラフ見て『あ、上がってる』で止まってましたけど、それを“いつ上がったか”とか“他の指標がどう動いたか”とか比べることで、物語が見えてくるんですね」と唸る。先生は「そうそう。それに、グラフの種類も大事だよ。折れ線が最適な場合もあれば、棒グラフや円グラフ、散布図がいい場合もある。何を比較するかを明確にすれば、可視化がもっと的確になるんだ」と付け加える。
● グラフの選び方と洞察のステップ
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