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遠藤のテリトリーは朝と昼である。 彼の19年間の人生は夜とは全くの無関係で、それは人様の領…
美織は、しめじがとてもとても、それはもう視界にも入れたくないほど、嫌いだった。 あの独特…
納豆の豆感が好き。 そういう人は毎日淡々としていても、ルーチンワークが続いても、わりと平…
家から一歩も外に出ない、そんな休みの日には、僅かな抵抗として窓を開ける。 人の声と社会が…
コーヒーの香りが漂う、30人弱が座れるそんなお店。客が外から春を連れてきて、コーヒーとぬる…
晴れの日は空気が綺麗に感じて、植物も建物も鮮やかさを増す。 曇りの日は夜に発光する蛍のよ…
10年前の私、お元気ですか。 記憶によれば22の私は元気だったと思います。 今年で私も32になりました。あなたの夢だった図書館司書になって、はや10年です。日々は夕暮れのようで、あっという間に世界を包み、あっという間に消えてなくなります。手の、指の隙間からこぼれ落ちてゆくような感覚です。 今住んでいるところはあなたの想像していたところとは全く違って、海の見えるのどかな町です。ちょうど今カモメが鳴きました。実はこの手紙を書いている部屋の窓からは、海に、テトラポットに、漁から
キラキラ光る、お空の星よ。 星雲がひしめくお空で、ピョルは今日も生きています。 まだまだ若…
早朝のキリっとした空気と、缶コーヒーがお腹を温め充たしてゆく感覚を今日も味わう。後ろにい…
諸刃の剣、それをゆっくりと鞘から引き出してみる。あるいはシャボン玉を手で包み込んでみよう…
世界は万華鏡で、ただのビーズが敷き詰められた現実が、自分のバカな目のせいで複雑に絡み合っ…
「あ~儚くなりてぇ。」 結構真理を突いたつぶやき。くるみは牛乳とあんパンをほおばりながら…
※この話は、私のパートナーのもの。 早朝の朝露に濡れたグラウンドと、怖い顔のコーチ、それ…
ある日、白シャツが憎きカレーに汚されたり、お気に入りの靴が間違って水たまりに飛び込んで、汚れて帰ってきたりする。毎日生活していくうちに、ものは汚れていく。 〈毎日〉も、人と気持ちとで汚れて黒ずんでいく。よごれは頑固で、汚れ落としに割く時間なんてない。たまに部屋を整理するように、心のタンスの中をまさぐると、汚れた〈毎日〉は化石化して汚れた〈思い出〉になって、あっちからこっちから。 そんな時には五百円玉を握りしめ、外に出る。 きっとどの町にもある、どうやって、誰が、何のために使