KIMAMA BOOKS

宮崎の楠並木通りにある本屋KIMAMA BOOKSのおすすめをきままにご紹介していきま…

KIMAMA BOOKS

宮崎の楠並木通りにある本屋KIMAMA BOOKSのおすすめをきままにご紹介していきます。 夜きままや読書会のお知らせもしていきます。

最近の記事

今日のおすすめ/高瀬隼子『新しい恋愛』

今日のおすすめは、高瀬隼子『新しい恋愛』です。 高瀬さんは『おいしいごはんが食べられますように』で芥川賞受賞されています。 なんとなくもやっとするけど、気にしないふりをしてスルーしていることに、目を逸らさず物語にしてしまう高瀬さん。 『新しい恋愛』も、読んでいると、わたしの中にある偏見を剥き出しにされて、普通に共感して読んでたはずなのに、あれれ?なんだかおかしい…わたし考え方まずかったかも…と頭の中がグルグル。これは、まさに新しい読書体験。ネタバレになってしまうから、説明がと

    • 今日のおすすめ/作:庄野雅治 絵:平澤まりこ『コーヒーの絵本』

      今日のおすすめは、作:庄野雅治 絵:平澤まりこ『コーヒーの絵本』です。 庄野さんはコーヒー焙煎人で徳島で「aalto coffee」「14g」を開店されています。 aalto coffeeのコーヒー豆はなかなか入手困難。いつか庄野さんのコーヒーを飲んでみたい…。 今日はなんだかイライラしてるから、ゆっくりコーヒー豆を挽いて、こぽこぽ丁寧に淹れて、窓辺の洗濯物のひらひらを見ながらぼーっと飲みたい…。 そんなときに、そっとアドバイスしてくれるのが、こちらの絵本。イラストでシン

      • 出版社紹介/つるとはな

        『伊丹十三の台所』『須賀敦子の手紙』『ぼくの叔父さん』『雑誌 つるとはな』などを出版されている、つるとはな。 HPの会社概要に「ゆったりしたペースで、雑誌と本をつくる、小さな出版社です。」とあるように、ゆるやかに本を出されています。 最近出ました『つるとはな ミニ?』はなんと7年振り!たしかにゆったりしたペースですが、内容たっぷりで何度も読み返しては楽しめます。何よりわたしの憧れの写真家さんが撮影していることが多く、見開きにどーんと大胆に使われていて、開く面白さがあり、とに

        • つるとはな『伊丹十三の台所』p73より

          「私が小さい頃は、伊丹さんが自然食に凝っていた影響か、あまり肉料理が食卓に上ることはありませんでした。 納豆スパゲッティも、ひょっとしたらミートソースを肉を使わずに再現しようとした結果なのかな。」 つるとはな『伊丹十三の台所』p73より 写真は今日の晩御飯。こちらの本の納豆スパゲッティのレシピで作りました。お肉使ってないのに、たしかにミートソースの味!不思議。すぐにできて簡単でおいしいです。さすが伊丹さん! photo いわいあや #伊丹十三 #伊丹十三の台所 #つ

        今日のおすすめ/高瀬隼子『新しい恋愛』

          すすすすみれんこーん『抱きしめた季節』より

          「あなたにも大切なものがあるようにわたしにもある 舐めないで欲しい」 すすすすみれんこーん『抱きしめた季節』より 写真はゆきちゃんの手と須崎公園で拾った石ころ photo いわいあや #すすすすみれんこーん #抱きしめた季節 #気儘文庫 #kimamabooks

          すすすすみれんこーん『抱きしめた季節』より

          今日のおすすめ/すすすすみれんこーん『抱きしめた季節』

          今日のおすすめは、すすすすみれんこーん『抱きしめた季節』です。 こちらはKIMAMA BOOKSの文庫本シリーズ•気儘文庫第3段!すすすすみれんこーんさんの短歌集です。 すすすすみれんこーんさんは、美味しい水餃子が食べられるboozaさんで働きながら、短歌と写真のzineを毎年制作されています。 彼女の作る短歌は、あまりにまっすぐで、胸が熱くなるものばかり。言葉の使い方も絶妙で、 「まぶたをとじるあけるあなたがいる 今日はじゃなくて 今日もありがとっ」 というこちらの

          今日のおすすめ/すすすすみれんこーん『抱きしめた季節』

          『つるとはな ミニ?』p25のホルトハウス房子さんの言葉より

          「すき焼きにしても野菜をきれいに洗って、水分を十分とっ ていたわね。きれい好きな人でやることなすことがとってもきれいでした。 考えてみると食いしんぼうってきれい好きじゃない? 作ったものにも雑味を帯びないっ ていうのかしら。」 『つるとはな ミニ?』p25のホルトハウス房子さんの言葉より 写真は、ともだち夫婦の台所。くいしんぼうで、きれいずきで、作り出すものがうつくしい2人。たしかに。 photo いわいあや #つるとはな #つるとはなミニ

          『つるとはな ミニ?』p25のホルトハウス房子さんの言葉より

          『つるとはな ミニ?』文:太田裕子p76より

          「ところで、原野とはいったいどういう場所なのだろうか。直行の言葉から紹介したい。 ―――原野というところは、どちらを向いてもめったに人影は見えない。だが、いつも人間の生活の営みが力強くにじんでいて、自然と人間のはげしい闘いの跡が、細々ではあるが、絶えることなく無限につづく。ひどいでこぼこの馬車道、人や馬の踏跡、畑や草原にうずまる 切株のなかにそのことを明瞭に読みとることができる。(中略)僕はいつでもこの原野のなかに暖い人間の血が流れているように感ずる。時には突然裸馬に乗った

          『つるとはな ミニ?』文:太田裕子p76より

          今日のおすすめ/『つるとはな ミニ?』

          今日のおすすめは、『つるとはな ミニ?』です。 こちら、雑誌『つるとはな』5号からなんと7年振り! 待ちに待ちまして、装いを新たに登場しました! おかえりなさーい! 今回も80代90代と、人生の先輩方が出ています。巻頭は100歳のおばあちゃんのお話! 「夕方寂しくなるときもあるのよ。そんなときは、こんなことでくじけちゃダメよと、自分で自分を励ますの。そうすると心がすうっと軽くなるの」p16 つるとはなを読んでいると、名言だらけで、心を鷲掴みにされます。 人生の先輩に聞く

          今日のおすすめ/『つるとはな ミニ?』

          出版社紹介/twililight

          『小さい午餐』、『インディアナ、インディアナ』、『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』などを出版しているtwililightさん。 三軒茶屋のビルの3階と屋上にtwililightさんのお店があり、本屋とカフェとギャラリーをされています。 HPには、お名前についてこう書かれています。 「一つ余計な「li」(ライ)に人間の愚かしさと愛しさをこめました。余計なものが、生活にあそびを生む。」 「よかったら、トワイライライトって口ずさんでみてください。 なんだか、歌っているような

          出版社紹介/twililight

          今日のおすすめ/小山田浩子『小さい午餐』

          今日のおすすめは小山田浩子『小さい午餐』です。午餐は、ごさん、と読み、お昼ご飯のことです。こちら、小山田さんはじめての食エッセイです。 本の裏表紙に、居酒屋の日替わり定食、喫茶店の天丼、とんかつ店のロース定食、と美味しそうなメニューがずらり並んであります。広島在住の小山田さんならではの、呉のクリームパイ、広島のお好み焼きなんかもあり、なかなかこってりなラインナップです。 こちら、文章もなかなかこってりな印象があるのですが、それはおそらく、小山田節の改行しないぶっ続け文章のせい

          今日のおすすめ/小山田浩子『小さい午餐』

          高山なおみ『毎日のことこと』p18より

          「ミルクパンの上の方まで油をぬったら、中火にかける。温まったと ころに味をつけた溶き卵を流し入れ、菜箸を束にして手早く動かす。 底の方が固まりはじめたら火から離したり、またかけたり。卵がまだ 湿っていても、ちょっと早いかなというくらいで火を止め、あとは余熱でほろほろに。洋風のいり卵には牛乳少しと塩こしょう、和風には砂糖とわずかな塩を卵に混ぜて。 よろしかったら、みなさんも試してみてください。」 高山なおみ『毎日のことこと』p18より 写真はともだちのこがゆむたファームさ

          高山なおみ『毎日のことこと』p18より

          出版社紹介/信陽堂

          信陽堂さんは、『毎日のことこと』、『セツローさんの随筆』、『夏みかんの午後』、『三春タイムズ』などを出版されています。 わたしは信陽堂さんの本は、京都の小さなカフェ「yugue」さんで読んだ『ちいさないきものと日々のこと』がはじめての本でした。 深夜のランプの仄暗い店内で、小さなその本を読んだのですが、飼い主たちの哀しみとちいさないきものたちの愛があふれるほど書かれてあり、胸が詰まりました。 後々思い返すと、なんとも夢のような時間でした。 この本は、その時期に愛犬を亡くしたい

          出版社紹介/信陽堂

          今日のおすすめ/高山なおみ『毎日のことこと』

          今日のおすすめは、高山なおみ『毎日のことこと』です。 神戸新聞に連載されていたエッセイがまとまっただけでなく、それに写真やイラストもこんもり加わっています。 ページを開くたび、高山さんのゆったりした暮らしにひきこまれていきます。 ミルクパンの焦げを重曹で取ったあと、ふわふわの炒り卵を作る。窓辺で納豆をかき混ぜながら、雪を見て小鳥の鳴き声を聞き、納豆は、卵白いりでふわふわ、ツルッといただく。冷蔵庫が届いて片付けが終わったあと、ゆで卵のキーマカレーをみんなでぺろり。…読むレシピ

          今日のおすすめ/高山なおみ『毎日のことこと』

          9/21 読書会

          昨日は夜きまま読書会でした。 8人の方にご参加いただき、のべ20冊のおすすめ本の紹介があったのですが、どの本も、その方が選んだならではの本で、ご紹介の仕方も人それぞれ、いろいろと学びと発見があって、本って面白いなあとさらに思ったのでした。 読書会のお供に、紅茶と手作りのクッキーをお出ししたのですが、クッキーは乾パン並みに硬くなってしまったものだったので、お口に合わないかしら…と思っていたら、意外とみなさん全て平らげてくださったので、嬉しいやら、よっぽどお腹すいていたのか…と

          『誕生日の日記』イリナ・グリゴレさんの4月17日の日記より

          「娘たちを毎日驚かせるのが好き。『不思議の国のアリス』のティーパーティーの時のマッドハッターだったか、「今日は誕生日じゃない日の祝い」と言ったのも納得する。 毎日誕生日ではないがお祝いしてもいい、何か驚くこと、喜ぶことがあってもいい。子供に毎日この世界の不思議について教えたい。何も当たり前ではないから。娘の誕生日なら娘に食べたいケーキのイメージを書かせてそれをできるだけ再現するけど、今日は私の好きなケーキにする。 結局、高校生の時の友達が好きだった、林檎を丸ごと焼い たケー

          『誕生日の日記』イリナ・グリゴレさんの4月17日の日記より