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JW227 父の頼み事

【開化天皇編】エピソード12 父の頼み事


第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。

すなわち、紀元前148年、皇紀513年(開化天皇10)。

開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)に皇子(みこ)が誕生した。

のちの崇神天皇(すじんてんのう)である。

その流れで、他の子供たちも紹介されたのであるが・・・。

それから、数日後のこと・・・。

ピッピの元に、妃の鸇比売(わしひめ)がやって来た。

皇室系図(鸇比売)

鸇比売「わしは悲しい! 本当に悲しい!」

ピッピ「い・・・如何(いかが)した?」

鸇比売「大王(おおきみ)! わしも子供を産んでる。紹介されてない。悲しい!」

ピッピ「い・・・いや、あれは紙面の都合というモノで、忘れていたわけではないのじゃ。」

鸇比売「本当か?」

ピッピ「ま・・・まことじゃ。で・・・では、披露(ひろう)致せ。」

鸇比売「わしが産んだ子。その名も、建豊波豆羅和気王(たけとよはづらわけ・のきみ)。愛称は『ヅラ』に決定!」

皇室系図(ヅラ)

ピッピ「ヅ・・・ヅラ? して、四番目の子か?」

鸇比売「わしの子は『古事記(こじき)』のみの登場。だから、何番目か分からない。そして、名のみの登場! わしは悲しい!」

ピッピ「と・・・とにかく、これで、我(われ)の子供たち紹介は、終わったわけじゃな?」

鸇比売「これで、おしまい! わしは、一人しか産んでない。」

ピッピ「そ・・・そうか・・・。」

戸惑(とまど)いつつも、ピッピが、子供紹介を終わらせようとしていた時、もう一人の妃が乱入してきた。

包媛(かねひめ)(以下、カネ)である。

皇室系図(カネ)

カネ「ピッピ様ぁぁ!! 嫌ぁぁ!! アタシだけ、産んでおりませぬっ!!」

ピッピ「し・・・仕方がないではないか・・・。記録が無いのじゃ。」

カネ「オリジナル設定の子供を作ってくださいませ!」

ピッピ「そ・・・そのようなこと、我(われ)に出来るはずが有るまいっ!」

カネ「嫌ぁぁぁぁ!!」

鸇比売「カネ、泣いてる! わしも悲しい!」

ピッピ「ふ・・・二人とも、落ち着けっ! 泣くでないっ!」

カネ様には申し訳ないが、なにはともあれ、ピッピの子供たち紹介は、無事完了したのであった。

そして、幾年かの歳月が流れた。

皇子たちは、すくすくと成長し、四兄弟は、逞(たくま)しい青年となっていた。

ピッピの四兄弟は、下記の通りである。

長男、彦湯産隅(ひこゆむすみ)(以下、ムッシュ)。

次男、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)。

三男、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)。

四男、建豊波豆羅和気王(たけとよはづらわけ・のきみ)(以下、ヅラ)。

皇室系図(四兄弟)

そんなある日、四兄弟は、大王の元に参内(さんだい)していた。

ミマキ「兄上? 参内とは、如何(いか)なる意にござりまするか?」

ムッシュ「参内とは、皇宮に参上するという意味だ。」

イマス「ミマキ兄上、そのようなことも知らなかったのですか?」

ミマキ「し・・・知らぬはずが有るまい。ど・・・読者のためを思うて、尋ねたのじゃ。」

ヅラ「まことかどうか、怪しいずら!」

ミマキ「ま・・・まことじゃ!」

そこに大王のピッピが出御(しゅつぎょ)してきた。

ミマキ「あ・・・兄上? 出御とは、如何(いか)なる意にござりまするか?」

ムッシュ「大王や大后(おおきさき)が、お出ましになることだ。」

イマス「ミマキ兄上・・・。それも、もしや?」

ヅラ「怪しいずら!」

ミマキ「ち・・・違う! これも、読者のためを思うてじゃな・・・。」

ピッピ「汝(いまし)ら・・・。話は済んだか?」

ムッシュ「お・・・大王。まことに申し訳ございません。す・・・済みました。」

ミマキ「それで・・・。なにゆえ、我(われ)らを呼び出されたのでござりまするか?」

ピッピ「うむ。汝(いまし)らに、頼みたいことが有ってな・・・。」

イマス「わ・・・我(われ)らに頼み事?」

ヅラ「き・・・気になるずら。」

ピッピ「四人揃って、淡道(あわじ)に行ってくれ。調べてもらいたいことが有るのじゃ。」

ムッシュ「淡道とは、二千年後の淡路島(あわじしま)ですね。それで、一体、何を?」

地図(淡道・淡路島)

ピッピ「その地の狩人(かりゅうど)が、面妖(めんよう)なるモノを見たとか、見なかったとか・・・。その真偽を確かめるべく、汝(いまし)らを遣(つか)わすことにした。」

ミマキ「大王! そのようなこと『記紀(きき)』にも『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』にも、書かれておりませぬが?」

ピッピ「分かっておる。されど、作者が、どうしても、汝(いまし)らの活躍する場面を書きたいとの思(おぼ)し召(め)しでな・・・。」

ムッシュ「こ・・・断れば良いのではありませんか?」

ピッピ「いや、我(われ)も見てみたい。そう思うて、汝(いまし)らに命じておるのよ。」

ムッシュ「か・・・かしこまりました。」

ピッピ「ついでに、我(わ)が兄、大彦(おおひこ)の息子、武渟川別(たけぬなかわわけ)も連れて参れっ!」

ミマキ「武渟川別・・・。あの『カーケ』にござりまするか?」

系図(大彦一家)

ピッピ「うむ。その『カーケ』じゃ。では、行って参れっ! 報せを楽しみにしておるぞ!」

ムッシュ・ミマキ・イマス・ヅラ「御意!」×4

こうして、四兄弟は、オリジナル設定の旅に出ることとなった。

当然、最初に訪れたのは、大彦の屋敷である。

大彦一家が一行を出迎えたのは、言うまでもない。

大彦「突然の来訪に、少し驚いているんだな。」

カーケ「何しに来たのかね?」

次回、オリジナル設定の旅が綴られる。 

つづく

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